歯並びや歯の噛み合わせをよくするための治療法としてマウスピース矯正が人気となっていますが、費用がどのくらいかかるのか気になる人も多いのではないでしょうか?
この記事では、マウスピース矯正の料金について解説します。
結論として、マウスピース矯正にかかる費用は治療する範囲や治療を行う歯科医院によって異なり、安く済ませられる場合もあれば高額になるケースもあるなど、価格に大きな差があります。
「安いから」という理由だけで選ぶと失敗する恐れがあるため、安いマウスピース矯正の危険性についても把握していただけたらと思います。
〇この記事で分かること
- マウスピース矯正が人気の理由とは
- マウスピースは保険適用になるのか
- マウスピース矯正の相場費用
- 安いマウスピース矯正がある理由
- マウスピース矯正で失敗しない歯科医院の選び方
マウスピース矯正が人気の理由
マウスピース矯正の費用についてお話をする前に、矯正歯科においてマウスピース矯正が人気となっている理由について説明します。
歯列矯正の方法として、他にワイヤー矯正がありますが、マウスピース矯正にはワイヤー矯正にはない以下のメリットがあるのです。
- 透明だから目立ちにくい
- 自由に取り外せる
- 痛みが少ない
マウスピース矯正のメリット①透明だから目立ちにくい
マウスピース矯正の装置は透明なプラスチックでできているため、注意して見なければ装着していると気づかれにくいです。
治療中であっても口元を気にすることなく話したり笑顔を見せたりすることができるため、普段と変わらない生活を送れます。
従来のワイヤー矯正は目立ちやすいというデメリットがあるため、見た目を気にする方におすすめの治療法と言えるでしょう。
マウスピース矯正のメリット②自由に取り外せる
治療中の装置を装着し続けているワイヤー矯正とは違い、マウスピース矯正は取り外しが可能であるため、食事もこれまでと同じように行えるほか、歯磨きもしやすいです。
口の中を清潔に保つことが可能なので、虫歯になるリスクを軽減させられるメリットもあります。
マウスピース矯正のメリット③痛みが少ない
ワイヤー矯正の場合は、歯の表面にブラケットとワイヤーを装着するため、装置が口の中の粘膜に当たりやすくなり、痛みを感じたり口内炎になったりすることがあります。
その点、マウスピース矯正は痛みが少ないのが特徴です。
マウスピース装着直後は痛みや違和感がありますが、時間の経過とともになくなるでしょう。
マウスピース矯正は保険適用になる?気になる費用
マウスピース矯正を検討している方の多くが気になるのは費用面ではないかと思います。
病院で治療を受ける際に、
- 保険診療
- 自由診療
上記のどちらかで費用が大きく変わるのですが、マウスピース矯正は保険診療となるのか、そして費用はどのくらいかかるのかについて詳しく解説していきます。
基本的に歯列矯正は保険適用にならない
マウスピース矯正に限らず、審美的な改善を目的とした歯列矯正には健康保険が適用されず、自由診療となります。
つまり、マウスピース矯正をはじめとした歯列矯正にかかる費用は基本的に全額自己負担ということです。
歯列矯正が保険適用になるケース
歯列矯正はほとんどの場合保険が適用されないという話をしましたが、一部の症例において保険が適用され、1〜3割負担となります。
条件として、以下の場合に限ります。
- 国(厚生労働省)が定める疾患や症候群による咬合異常
- 前歯3歯以上の永久歯萌出不全による咬合異常
- 顎変形症における手術前の術前矯正や手術後の術後矯正
マウスピース矯正の費用は?
では、マウスピース矯正にかかる費用はいくらかというと、歯科医院によって異なり、奥歯を含む全体を矯正する場合の相場は70万円〜100万円程度となります。
このように価格に大きく差が出てしまうのは、保険が適用されない矯正歯科では、歯科医院それぞれが自由に価格を設定できるため、歯科医院によって安かったり、高額になったりするからです。
マウスピース矯正にかかる費用の内訳
マウスピース矯正の費用は装置の製作費だけではありません。
矯正治療が始まる前から完全に終了するまでの費用の内訳を紹介しますので、なぜ費用が高額になってしまうのか、ご確認いただけたらと思います。
〇マウスピース矯正の費用(治療前)
カウンセリング料 | 無料〜5,000円程度 |
検査料、診察料 | 1万円〜6万5,000円程度 |
〇マウスピース矯正の費用(治療中)
マウスピース費用 | 10万円〜100万円程度 |
処置料 | 無料〜1万円程度 |
〇マウスピース矯正の費用(保定期間)
保定処置料(リテーナー) | 無料〜6万円程度 |
処置料 | 無料〜5,000円程度 |
マウスピース矯正を検討している方は、治療前と保定期間の料金が見積もりに含まれているのか、別に費用がかかるのかを確認すると良いでしょう。
ワイヤー矯正の方が安い?
マウスピース矯正の方がワイヤー矯正よりも費用がかかると思われがちですが、ワイヤー矯正の表側矯正の場合の費用相場は60万円〜100万円程度と大きな差はありません。
また、矯正装置が目立たない裏側矯正の場合は、より高度な技術が必要になるため、100万円〜150万円程度と、マウスピース矯正よりも費用が高くなる傾向にあります。
医療費控除で費用を抑えられる場合もある
マウスピース矯正は、基本的には自由診療となるので治療費が高額になりがちですが、少しでも費用を抑えたいという方は、医療費控除を申請するという選択肢があります。
医療費控除というのは、1月1日から12月31日までの間に支払った医療費が、一定の額を超えた際に所得控除を受けられる制度です。
ただし、注意していただきたいのはマウスピース矯正を受けた全ての人が医療費控除の対象となるわけではなく、審美性を目的とした歯列矯正には適用されません。
歯並びや噛み合わせが悪いことで
- 咀嚼がうまくできない
- しっかり発音ができない
などの機能面を回復するための治療であるとみなされると控除の対象となり得ます。
医療費控除を受けるためには医師の診断が必要不可欠であり、美容目的では控除を受けられないと理解しておきましょう。
安いマウスピース矯正は危険?安い理由とは
マウスピース矯正を行っている歯科医院の中には、相場に比べて費用がかなり抑えられているところもあります。
マウスピース矯正の費用が安い歯科医院を選びたい方は、治療を受ける前に安い理由を知ることが大切です。
治療費が安くなっているのは以下のような理由が考えられます。
- 部分矯正だから安い
- モニター料金だから安い
- 治療期間が短い
- コストの削減
- 市販のマウスピースで矯正
マウスピース矯正の費用が安い理由と危険性について詳しく説明しますので、ご確認ください。
安い理由:部分矯正
気になる部分だけを矯正する部分矯正は、全体矯正と違って動かす歯の範囲が限定的なため、費用を安く済ませることができます。
動かす歯も少ないため治療も短期間で終わります。
安い理由:モニター料金
歯科医院によっては、歯科矯正のモニターを募集している場合があります。
条件を満たした場合に、通常の矯正費用よりも安いモニター価格で治療が受けられるため、費用を安く抑えられるのです。
ただし、全ての歯科医院でモニター募集をしているとは限りません。
また、モニター価格で治療を受けた際はほとんどの場合、症例写真の提供やアンケートの回答などに協力する必要があります。
安い理由:治療期間が短い
歯科医院でマウスピース矯正を行う場合、後戻りを防ぐために治療後に保定装置(リテーナー)を装着します。
しかし、安いマウスピース矯正を行っている歯科医院の中には、このようなアフターケアが行われていない場合があります。
万が一後戻りしてしまったら、再び矯正し直す必要があるため注意しなければなりません。
いくら治療期間が短く済むといっても、治療に必要な期間を省くと、しっかりした効果を得られない可能性があります。
安い理由:無駄なコストを削減している
歯科医院によっては、より多くの悩みを抱えている患者に矯正治療を受けてもらえるよう、コストを削減するなど企業努力によって安い価格で提供している場合があります。
しかし、マウスピース矯正の治療費には
- オーダーメイドで作成するための光学式スキャナー
- レントゲンやCTなどの高額な医療機器
- 専門的な知識を得るための勉強代
なども含まれており、費用が掛かってしまうのにはそれなりの理由があるのです。
相場よりも大きく差がある場合は、上記のような矯正歯科において大切なものが省かれていることも考えられるので、注意しなければなりません。
安い理由:市販のマウスピースで矯正
近年は、ネットやドラッグストアなど、市販のマウスピース装置の購入が可能となっており、いずれも低価格で手に入れられます。
しかし、歯科医院で作る完全オーダーメイドのマウスピース矯正装置と違い、市販のマウスピース矯正装置には基本的に歯並びを自分の理想通りに矯正する効果は期待できません。
また、何かトラブルが起きたとしても完全に自己責任となるため、歯並びや噛み合わせを改善したいのであれば歯科医院での歯列矯正をおすすめします。
マウスピース矯正がある歯科医院を選ぶときに注意すべきこと
マウスピース矯正は決して安い治療ではないため、失敗しないためには歯科医院選びが重要となります。
そこで、マウスピース矯正を行っている歯科医院を選ぶ際に気を付けていただきたいことを紹介します。
自宅から通いやすいか
歯科医院を選ぶ際は、自宅や職場から通いやすい場所を選びましょう。
マウスピース矯正の期間は治療する部分にもよりますが、治療には数ヶ月〜2年半程度かかります。
期間内には
- マウスピースをきちんと装着できているか
- 口の中の状態はどうなっているか
- 歯が計画どおりに移動しているか
などを確認するために、数週間に1度の頻度で通院する必要があります。
もし、通いにくい歯科医院を選ぶと、通院が面倒で途中で行かなくなってしまったり、万が一のことがあった場合にすぐに対応してもらえなかったりするため、近場で選んだ方が良いでしょう。
実績が豊富な歯科医院であるか
審美性を求める矯正歯科において、治療にあたる歯科医師の腕が重要となります。
日本矯正歯科学会の認定医以上の資格を持つ歯科医師は、矯正の技術・知識ともに豊富であると証明できるので、一つの選ぶ基準として参考にしてください。
知識や経験が豊富な歯科医師が治療を行うことで、万が一のトラブルにも迅速に対処できる可能性が高くなります。
歯科医院の公式HPなどには医師の経歴やマウスピース矯正の写真を見れるので、チェックしてみてください。
カウンセリングや治療前検査をしっかり行ってくれるか
矯正歯科は患者さんの状態に合わせた治療をしなければならないため、歯並びだけでなく顎の骨や顎関節の形などを正確に把握して綿密な治療計画を立てる必要があります。
ですから「きちんと精密検査したうえで治療を行ってくれるかどうか」は、重要なポイントです。
また、カウンセリングで治療の説明を受ける際には、マウスピース矯正のデメリットやリスクについてもしっかり説明してくれるのか、という点についてもチェックしましょう。
安いマウスピース矯正は理由を確認しよう
マウスピース矯正の料金について解説しました。
基本的に自由診療となるマウスピース矯正は全額自己負担となり、全体矯正の場合は費用相場として70万円〜100万円程度かかると覚えておきましょう。
相場よりも安い場合もありますが、費用が安いからといって安易に歯科医院を選ばず、まずは安い理由を知ることが大切です。
そのうえで、満足した治療を受けるためは、気になる歯科医院でカウンセリングを受け、信頼のおけるクリニックであるかを判断してください。
ぜひ今回の記事を参考にして理想の歯並びを手に入れていただけたらと思います。