口の中の痛みや違和感が気になって鏡を見てみると、血豆のようなものができていることがあります。口の中の血豆はなぜできて、できた場合はどのように対処するといいのでしょうか。血豆が潰れてしまった場合にすべきことなども交えながらわかりやすく解説します。
口内炎とは?
口内炎とは、口内の粘膜に起こる炎症を総称したものです。口内炎は唇の表・裏や舌、頬、喉などあらゆる場所に発生し、原因は口内炎の種類によって異なります。「アフタ性口内炎」や「カタル性口内炎」は強い痛みをともなうことが多く、重い例では食事を取ることも困難になる厄介な病気です。
血豆とは?
血豆とは、何らかの原因によって内出血を起こし、豆のような形状で滞っている状態を指す言葉です。血豆は口腔内だけでなく、手足や指先などの全身で発症する可能性があります。口内に血豆ができる原因はさまざまですが、基本的には口内炎の一種と考えて問題ありません。
口の中に血豆ができる3つの原因
口の中に血豆ができる原因は、主に以下の3つです。
<口の中に血豆ができる3つの原因>
- 噛んでしまったなどの外傷
- ストレス
- アレルギー
まずはどうして口の中に血豆ができてしまうのか、そのメカニズムを解説します。
噛んでしまったなどの外傷
血豆ができる原因としてとくに多いのが外傷です。誤って噛んでしまったり、歯列矯正で使っている矯正器具が接触してしまったりしたことが原因で粘膜に傷が付き、内出血して血豆になることがあります。また、歯並びや歯ぎしりが血豆を作ってしまうこともあり、外傷を負った自覚がないまま血豆ができるケースもあります。
ストレス
過度なストレスが口腔内の血豆の原因になることもあります。人はストレスを感じると頬の内側を噛むことがあり、これが原因で内出血を起こして血豆ができることがあるのです。食いしばりの癖がある人などは、とくに注意しなければなりません。
アレルギー
特定の食材やゴム、金属などが原因でアレルギーを引き起こし、それが血豆を生み出すケースも見られます。アレルギーが原因で血豆が発生する場合、アレルギー物質を遠ざける以外に対処法がありません。アレルギーを特定できない場合は、アレルギー検査を受けて原因を特定するといいでしょう。
口の中の血豆への対処法
口の中の血豆への対処法として有効なのは以下の4つです。
<口の中の血豆への対処法>
- 栄養状態を改善する
- 日々のストレスを解消する
- 入れ歯や矯正器具を調整する
- 痛みが強い場合は市販の薬も有効
基本的には自然に治癒しますが、悪化させないための対処法として確認しておきましょう。
①栄養状態を改善する
口腔内の環境を改善させるためには、栄養状態の見直しがもっとも有効的です。とくにビタミンB群には免疫力を高めて皮膚・粘膜のサイクルを改善する作用が含まれるため、バランスのいい食生活を心がけましょう。食事だけで十分な栄養素を摂れない場合は、サプリメントの利用をおすすめします。
②日々のストレスを解消する
ストレスを抱えていると免疫力が落ち、血豆を改善させるために要する時間が延びてしまいます。趣味の時間やリラックスして過ごせる時間を増やして、少しでもストレスを減らしましょう。また、睡眠時間をたっぷり取って、しっかりと疲労を回復させることも大切です。
③入れ歯や矯正器具を調整する
入れ歯や矯正器具が干渉して傷を付けている場合、今できている血豆が治ったとしても、将来的に血豆や口内炎を再発させるリスクが高い状態です。何もしていなくてもチクチクとした痛みを感じたり、咀嚼した際に入れ歯や矯正器具が粘膜に触れたりする場合は、入れ歯や矯正器具を調整しましょう。
ただし、自己判断で入れ歯を外したまま過ごしたり、矯正器具を外したりすることは避けるべきです。口内炎以外のトラブルに発展したり、歯列矯正が予定どおりに進まなくなったりする恐れがあります。必ず担当医や歯科医に相談し、医師に調整を依頼しましょう。
④痛みが強い場合は市販の薬も有効
外傷やストレス、アレルギーが原因で発生した血豆は、約1~2週間以内には自然に症状が改善していきます。ただし、痛みが強くて完治まで我慢できない場合や、血豆を潰さないか不安な場合は、市販の薬を使って治療する道を選ぶのも有効です。
口内炎用の市販薬は大きく「塗るタイプ」「スプレータイプ」「貼るタイプ」の3種類にわかれます。血豆ができている場合は、貼るタイプの市販薬を選ぶといいでしょう。患部を保護しながら有効成分を浸透させられるため、誤って噛んで血豆を潰してしまうといったトラブルも避けやすくなります。
口の中で血豆が潰れてしまったら?
口の中の血豆は自然に潰れたり、何らかの衝撃で破れてしまったりすることがあります。自然に内出血が引いた場合は治癒に向かっている合図としてポジティブに考えて構いませんが、誤って潰してしまった場合は細菌に感染しやすい状態になるため要注意です。十分に口腔内のケアを行い、口内に潜んでいる細菌を減らしながら様子を見ましょう。
口の中の血豆は潰していい?
結論として、口の中の血豆を潰してはいけません。なぜなら患部が無防備な状態でさらされてしまい、細菌の影響を受けやすくなるためです。細菌感染を起こして口内炎が悪化したり、口内炎からの回復が遅れたりする恐れがあるため、血豆をわざと潰すのは避けてください。
口の中の血豆が長引く場合は、医療機関を受診する
口の中にできた血豆がなかなか治らない場合は、医療機関を受診して精密検査を受けることをおすすめします。何度も同じ場所に血豆が再発したり、血豆が増えたり、血豆ができる原因として思い当たる節がなかったりする場合も受診しましょう。まれなケースではありますが、以下のような病気が口内に血豆を作っている可能性もあります。
<口の中に血豆ができることがある主な病気>
- がん
- 白血病
がんや白血病によってできる血豆の特徴や、それぞれの病気の主な症状を表にまとめてみましょう。
【がんや白血病によってできる血豆や症状の特徴】
がん | ・黒色の血豆ができ、急激に大きくなる ・染みのような形の血豆ができている ・血豆が痛んだり、かゆくなったりする |
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白血病 | ・血豆の周辺から出血した際、血が止まりにくい ・歯茎にも腫れや出血が見られる ・発熱や頭痛、吐き気などの症状が出ている |
通常の血豆とは違うと感じる場合や、上記にあてはまる症状が出ている場合は、速やかな歯科の受診をおすすめします。いずれも命にかかわる重大な病なので、早期発見・早期治療に努めることが病気を完治させるための重要なポイントです。
まとめ
口の中に血豆ができる原因は、基本的には「外傷」「ストレス」「アレルギー」のいずれかです。基本的には1~2週間で自然に治りますが、痛みが強い場合は市販薬の使用も検討しましょう。また、その他の症状をともなっている場合はがんや白血病を発症している可能性もあるため、速やかに検査を受けることをおすすめします。
高輪クリニックでは、医科と歯科の横のつながりを大事にした医療を行っています。口腔内の血豆も適切に処置し、がんなどの問題がないかくわしい検査も可能です。口内の血豆にお悩みなら、まずは当院にご相談ください。