口内炎にはさまざまな種類がありますが、大きく「赤いもの」と「白いもの」にわかれます。それでは、それぞれの口内炎にはどのような特徴があり、どのように治すとよいのでしょうか。口内炎とよく似た症状が出る「舌がん」などとの見分け方も交えながら、わかりやすく解説します。
口内炎には「赤いできもの」と「白いできもの」がある
口内炎には「赤いできもの」と「白いできもの」があり、それぞれ種類が異なります。口内で痛みを感じたら、まずは鏡で口内炎の色を確認してみましょう。赤ければ「カタル性口内炎」、白ければそれ以外の種類の口内炎と考えて問題ありません。
赤いできものは「カタル性口内炎」
赤い斑点上のできものがある場合は「カタル性口内炎」と考えられます。カタル性口内炎が発症する原因は、主に外部からの刺激です。誤って噛んでしまったり、熱いものを食べてやけどしてしまったりした場合に発症するため、噛み癖などを直さない限りは再発してしまいます。
カタル性口内炎以外は全て白いできもの
患部が白っぽくなっている口内炎は、全てカタル性口内炎以外の種類の口内炎と考えましょう。白い口内炎は大きく4種類にわかれ、原因はさまざまです。ただし、口内炎以外の疾患が原因で白いできものができている可能性もあります。見分け方は【白いできものは口内炎でない場合もある】で解説しているので、こちらもご一読ください。
白い口内炎の種類
白い口内炎の種類は以下の4つです。
<白い口内炎の種類>
- アフタ性口内炎
- ヘルペス性口内炎
- カンジダ性口内炎
- ニコチン性口内炎
それぞれの特徴と原因、そして治し方について解説していきます。
アフタ性口内炎
白いできものが発生する口内炎のなかでとくに多いのがアフタ性口内炎です。患部を刺激すると強く痛む場合が多く、飲食をしにくくなる場合があります。アフタ性口内炎の特徴をまとめました。
【アフタ性口内炎の特徴】
形状 | 円形または楕円形で2~6mm程度の大きさ |
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痛み | 強い |
個数 | 1~3個程度 |
患部がやや窪み、はっきりとした輪郭を持つこともアフタ性口内炎の特徴です。原因や治し方についても詳しく見ていきましょう。
アフタ性口内炎の原因・治し方
アフタ性口内炎の原因として考えられるのが免疫力の低下です。睡眠不足やビタミン不足、ストレスのたまりすぎなどが原因で免疫力が下がり、細菌の影響を受けやすくなったために発症します。女性の場合は、生理前や妊娠中など、ホルモンバランスが崩れやすい時期に発症しやすくなる点も特徴です。
アフタ性口内炎は発症から1~2週間程度で自然に治ります。できるだけ早く治し、再発を防ぎたいならば、生活習慣の見直しやストレスの発散は必要不可欠です。また、患部を刺激しないように食べ物に注意し、歯磨きの際も歯磨き粉の使用は見合わせましょう。
ヘルペス性口内炎
ヘルペス性口内炎を発症すると、口内にいくつもの白い水ぶくれのようなできものが発生します。頬や唇の裏側、舌、歯茎だけでなく喉にも水ぶくれができる場合があり、広範囲に症状が広がることが特徴です。その他の特徴もチェックしておきましょう。
【ヘルペス性口内炎の特徴】
形状 | 周囲が赤く、中心部分が白い水ぶくれ |
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痛み | 強い |
個数 | 口腔内や喉に多数発生する |
あちこちに水ぶくれができることに加えて強い痛みもともなうため、重症例では軽い飲食すら苦痛を感じることがあります。また、高熱やだるさなどの症状をともなうケースも見られ、全身にダメージがおよぶ恐れがある点にも注意しなければなりません。
ヘルペス性口内炎の原因・治し方
ヘルペス性口内炎の原因は、ヘルペスウイルスの感染です。人から人だけでなく、モノから人に移るケースも見られます。また、1度感染するとウイルスを保持することになるため、完治した後も免疫力が低下したタイミングで再発する可能性があります。
ヘルペス性口内炎を発症した場合は、専門医による治療を受けましょう。投薬治療によって症状が治まりやすくなるほか、家族への感染なども防ぎやすくなります。完治するまではタオルや食器などを共有せず、清潔な状態を保つことがおすすめです。
カンジダ性口内炎
カンジダ性口内炎は「口腔カンジダ症」とも呼ばれます。急性期には白い苔が付着したように見えますが、慢性期になると舌や粘膜に赤い斑点が見られるようになることが特徴です。
【カンジダ性口内炎の特徴】
形状 | 線や点、まだら模様で膜のような平坦な形 |
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痛み | ほとんどない |
個数 | 1~2個程度 |
急性期の場合はガーゼなどで拭うと剥がれることがありますが、患部が痛む可能性もあるため、むやみに触るべきではありません。
カンジダ性口内炎の原因・治し方
カンジダは口内に潜む常在菌の1種です。糖尿病などの持病を抱えていたり、免疫力が低下したりすることが原因でカンジダが異常に増殖すると口内炎を発生させることがあります。したがって予防は困難ですが、クリニックを受診すると抗真菌剤が処方されるため、重症化する前に完治させることも可能です。高輪クリニックでは、抗真菌薬を使用せず、カンジタを効果的に減らせる乳酸菌サプリのご用意もあります。
ニコチン性口内炎
ニコチン性口内炎は、口内の天井にあたる箇所を指す「口蓋」が白く変色することが特徴です。
【ニコチン性口内炎の特徴】
形状 | 円形もしくは楕円形でわずかに膨らんでいる |
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痛み | ほとんどない |
個数 | 1個 |
通常、痛みを感じることはほぼありません。しかし刺激を加えると口蓋にひび割れのような症状が出ることがあり、飲食の際にしみるような痛みを覚える可能性があります。
ニコチン性口内炎の原因・治し方
ニコチン性口内炎の主な原因は喫煙です。タバコに含まれるニコチンなどの影響を受け、口内炎が発症すると考えられています。症状を改善させるためには禁煙、もしくはタバコの本数を制限するしかありません。また、歯磨きやうがいの回数を増やし、口腔内を清潔な状態に保つことも有効的です。
白いできものは口内炎でない場合もある
白いできものがある場合、口内炎以外の病気のサインかもしれません。
<口内炎とよく間違えやすい病気>
- 白板症
- 舌がん
- 口腔がん
それぞれの特徴を簡潔に解説します。
白板症
頬や舌が白っぽくなり、ただれをともなうこともある病変です。喫煙やアルコール、義歯などによる刺激の積み重ねが原因で発症すると考えられており、悪性化するとがんになる恐れもあります。
舌がん
舌の縁に乱れた形の潰瘍ができることが舌がんの特徴です。舌への継続的な刺激が原因で発症すると考えられており、通常の口内炎と違って2週間以上が経過しても治癒しません。
口腔がん
歯肉に発生するがんで、口内炎のほかに歯肉からの出血や歯のぐらつきといった症状が見られます。舌がんと同じく治癒しにくいため、発症から2週間が経過しても改善しない場合は口腔がんを疑いましょう。
白い口内炎がなかなか治らない場合は医療機関を受診しよう
白い口内炎は、通常であれば発症から1~2週間のうちに自然治癒します。しかし舌がんなどその他の疾患が潜んでいる場合、口内炎のような症状を確認してから2週間以上が経過しても治らないケースがほとんどです。白い口内炎がなかなか治らない場合は、念のため医療機関を受診して検査を受けましょう。高輪クリニックでは、検査や対処法などのご相談も受け付けています。
まとめ
口内炎は「赤いできもの」と「白いできもの」の2種類があります。白いできものがなかなか治らない場合、舌がんなどの重い疾患を患っている可能性があるため、念のため医療機関を受診しましょう。
高輪クリニックでは、医科と歯科が連携した医療をお届けしています。口内炎と間違えやすい疾患も見落とさず、適切な治療へのスムーズな移行が可能です。口腔内の状態に不安を抱えておられるなら、放置せずに当院の精密検査をご利用ください。