失った歯の治療法として、インプラント治療を検討している方は多いでしょう。そこで気になるのは、インプラント治療にかかる費用相場です。本記事では、インプラント治療に保険適用ができるかどうかを解説し、保険適用ができない場合に治療費を抑える方法もあわせてご紹介します。
インプラント治療は保険適用になる?
結論として、インプラント治療には原則として保険適用できません。後述するように、一部の条件を満たす場合に限り、保険適用が認められる可能性はあります。しかし「虫歯で失った歯を治療したい」「見た目をきれいにしたい」などの目的でインプラント治療を行う場合、自由診療で治療することが基本です。
原則として自由診療になる
2022年現在、インプラント治療に保険を適用することは認められていません。これは日本全国どの歯科医院を利用したとしても同じです。保険適用できるのは必要最低限の治療に限られており、インプラントは審美性向上の意味合いが強いと捉えられるため、保険適用外となります。
保険適用と自由診療の違い
保険適用と自由診療の違いは、治療法や治療に用いる素材、そして治療費の負担額です。保険適用できる治療法・素材は必要最低限のものに限られていて、自由診療のものと比べると審美性・機能性で劣ります。ただ自己負担額を2~3割に減らせるため、治療費が安くなることが保険適用のメリットです。
将来的に保険適用になる可能性はある?
2012年4月から、後述する条件を満たした場合のインプラント治療において、保険適用できるように条件が緩和されました。そのため、今後さらに緩和が進み、将来的に保険適用の範囲が広がる可能性がないとはいい切れません。
しかし、インプラント治療は見た目のよさを追求して行う治療法です。保険適用できる「ブリッジ」や「入れ歯」でも、セラミックなど審美性の高い素材を使う場合は保険を適用できません。このような事情があることから、残念ながら今後もインプラントが「原則自由診療」であり続けることは変わらないでしょう。
インプラント治療が保険適用になるための条件
インプラント治療は原則としてすべて自由診療ですが、以下の条件を満たす場合は保険適用される可能性があります。
<インプラント治療が保険適用になるための条件>
- 病気や第三者による外傷で、広範囲の歯を失った
- 生まれつき顎骨が連続して3分の1以上欠損、または形成不全になっている
- 条件が整った施設で治療を受ける
それぞれをくわしく解説しましょう。
病気や第三者による外傷で、広範囲の歯を失った
病気やケガなどの後天的な理由によって外傷を負い、広範囲の歯を失った場合です。具体的には顎骨全体の3分の1以上が連続して欠損している場合などが挙げられます。また、腫瘍などの病気で手術を受け、下顎を切除した場合なども保険適用できる可能性があります。
生まれつき顎骨が連続して3分の1以上欠損、または形成不全になっている
先天的な理由で顎骨が連続して3分の1以上を欠損している場合、もしくは顎の骨が形成不全になっている場合です。たとえば上顎から鼻腔までの骨に欠損がある場合など、骨格に生まれつきの異常が認められる場合に、インプラント治療が保険適用になる可能性があります。
条件が整った施設で治療を受ける
先述した2つのうちいずれか1つが認められ、なおかつ以下の条件を満たす施設で治療を受けた場合、インプラント治療で保険適用が認められます。
<インプラント治療に保険適用する条件>
- 歯科または歯科口腔外科を標榜する保険医療機関であること
- 診療科で5年以上の経験、療養の3年以上の経験を持つ常勤歯科医師が2名以上いること
- 病院であること
- 当直体制が整っていること
- 医療機器保守管理、医薬品の安全確保のための体制が整っていること
上記の条件を満たす歯科医院でなければ保険適用できないため注意しましょう。
インプラントの治療費を抑える、保険適用以外の方法はある?
インプラントの治療費を抑える方法は、保険適用以外にも3つあります。
<インプラントの治療費を抑える保険適用以外の方法>
- 医療費控除
- 高額療養費制度
- デンタルローン
それぞれの注意点や申請方法などをくわしく説明します。
医療費控除
確定申告で医療費控除を適用することで、インプラント治療にかかった費用の一部が戻る可能性があります。医療費控除は、インプラント治療を含む医療費支払額の合計が10万円を超えた場合が対象となるため、条件を満たす場合は忘れずに申告しましょう。
医療費控除でいくらお金が戻る?
医療費控除の計算方法は次のとおりです。
<医療費控除の計算方法>
- 医療費の総額-保険金等で補填した金額-10万円もしくは所得額の5%のうち少ない金額
なお、医療費控除の上限額は200万円までです。
医療費控除を受けるには確定申告が必要
医療費控除を受けるには、先述したように確定申告が必要です。確定申告は例年2月16日~3月15日にかけて行われ、この期間中に申告しなければなりません。この際は、医療費を証明する領収書や交通費のメモなどの書類を添付する必要があるため、レシートなどは忘れずに保管しておきましょう。
高額療養費制度
高額療養費制度とは、1ヶ月の間に発生した医療費が一定額を超過した場合、超過分の払い戻しを受けられる制度です。インプラント治療では、保険適用が認められるケースに限って治療費が高額療養費制度の対象となるため、高額療養費制度の併用も忘れずに行いましょう。
デンタルローン
歯科治療における費用の支払い方法のひとつがデンタルローンです。厳密にいえばインプラント治療費が割引されるわけではありませんが、治療費を分割で支払えるため、1回あたりの支払い額を減らせます。ただしデンタルローンには利息がかかるほか、適用するためには審査が必要なため注意しましょう。
生命保険は利用できない
生命保険のなかには、入院・手術の際に「お見舞い金」や「手術手当金」が支払われるものもあります。しかし、インプラント治療に関しては、原則として生命保険の利用が不可能です。生命保険が支払われるのは、基本的に保険適用の治療を受けた場合に限られるため、保険金は受け取れないものと考えましょう。
まとめ
結論として、インプラント治療には原則として保険適用ができません。ただし、一部の条件を満たす場合に限りインプラント治療でも保険適用できる場合があります。医療費控除やデンタルローンで支払いの負担を減らすことも可能なので、費用について気になる場合は歯科医院に相談しましょう。
高輪クリニックでも、インプラント治療に関するあらゆる質問にお答えしています。保険適用ができる「入れ歯」や「ブリッジ治療」で失った歯を補うことも可能です。治療法ごとのメリット・デメリットをくわしく解説しながら、患者様の希望に沿った治療を提案できるため、まずは当院にご相談ください。