入れ歯の装着や歯科治療の型取りで嘔吐反射を起こしてしまう方は多いのではないでしょうか。歯科治療における嘔吐反射が苦手で、受診を避けてしまっている方も少なくないでしょう。
実際に、嘔吐反射がひどい場合は入れ歯の装着が難しいケースがあり、他の治療法が向いていることがあります。しかし、すべてのケースで入れ歯が難しいわけではありません。
そこで今回は、嘔吐反射が起こる原因や対処法について解説します。嘔吐反射がひどくて入れ歯が入れられないとお悩みの方は、ぜひ参考にしてください。
嘔吐反射がひどいと入れ歯ができない場合もある
入れ歯は失った歯の本数が多いほど大きくなるため、嘔吐反射がひどい場合は入れ歯の装着が辛く感じることがあります。できるだけ違和感のなく装着できるように調整することも可能ですが、それでも装着できない方が少なくありません。
あまりにも嘔吐反射がひどい場合は、入れ歯の作製も難しくなるため、他の治療法を検討する必要があります。保険適用内でもさまざまな治療法があるため、歯科医師とよく相談しながら決めるようにしましょう。
入れ歯を入れると嘔吐反射が起きる3つの理由
歯科治療が苦手な方が避ける理由に挙げられる嘔吐反射ですが、どうして起こってしまうのでしょうか。入れ歯を入れると嘔吐反射が起きてしまう理由には、以下のような3つが挙げられます。
- 物理的な刺激に反応してしまう生理的要因
- 不安・恐怖・トラウマなどの心理的要因
- 口呼吸の習慣
物理的な刺激に反応するケースがもっとも多いですが、歯科治療では心理的な要因で嘔吐反射を起こすこともあります。それぞれくわしく見ていきましょう。
①物理的な刺激に反応してしまう生理的要因
嘔吐反射の原因として、口内の異物に対する生理的な反応が挙げられます。口のなかやのどの近くに異物を感じると、体が反射して吐き出そうとするため「オエッ」と吐きそうになる感覚を覚えることがあります。誰でも嘔吐反射を起こすことはありますが、咽頭が狭い方や敏感な方は少し触れるだけで吐き気を催すことが少なくありません。
②不安・恐怖・トラウマなどの心理的要因
過去の歯科治療などでトラウマを持ち、恐怖心や不安から反射的に吐き気を覚えることがあります。歯科治療では大人になっても恐怖心や不安がぬぐえない方も多く、嘔吐反射を起こしてしまうのではないかという不安から、歯科治療自体が難しい方も少なくありません。そのような方は、まずは歯科医院への通院に慣れることを優先したり、リラックスできる空間を意識した歯科医院を選んでみたりするとよいでしょう。
③口呼吸の習慣
日ごろから口呼吸をしていると、嘔吐反射を引き起こす可能性が高くなります。正しい呼吸法は「鼻から吸って口から吐く」です。正しい呼吸はリラックス効果もあるため、心理的な要因で嘔吐反射を起こしている方も取り入れたい方法です。入れ歯を装着する際に、鼻呼吸を意識するだけでも少し変わることがあります。
嘔吐反射がひどくて入れ歯ができない場合の対処法
嘔吐反射を起こして入れ歯が入れられない、見た目に支障をきたしたり食事ができなかったりと不便を感じることが多いでしょう。すぐに歯科医院を受診できない場合は、以下のような方法を試してみましょう。
- 鼻でゆっくりと呼吸する
- 型取りの器具を変更する
- 麻酔を使って型取りする
- 入れ歯の形を調整する
- 入れ歯の材質を変える
- ブリッジやインプラントを選択する
では、それぞれの対処法を紹介します。
鼻でゆっくりと呼吸する
入れ歯を装着する際や、入れ歯作製のための型取りの際は、鼻でゆっくりと呼吸すると嘔吐反射を起こしにくくなります。落ち着いて治療を受けることを心がけ、ゆっくりと正しい呼吸を続けましょう。また、状態を起こして治療を受けるか、やや下を向いた状態は嘔吐反射を起こしにくくなります。
型取りの器具を変更する
入れ歯を作製する際は型取りの器具を使用する必要がありますが、小さいものに変更することで違和感が少なくなります。しかし、この対策は歯科医院で行うもののため、事前に嘔吐反射が強いことを伝えておくようにしましょう。
麻酔を使って型取りする
どうしても嘔吐反射がひどく起きてしまう場合は、局所麻酔や笑気麻酔をうまく利用する方法もあります。笑気麻酔は毒性がないため、小さなお子さんやお年寄りの方も安心して利用できます。ただし、一時的な対策となり、実際に入れ歯を使用しはじめると嘔吐反射が出てしまうことが考えられます。
入れ歯の形を調整する
入れ歯が完成したら、嘔吐反射が起きないよう入れ歯の形を整える方法があります。具体的には、口蓋(上顎)の部分を薄くしたり強く当たる部分を削り取ったりします。あまりにも調整しすぎると強度が落ちる可能性があるため、気になる部分を自分で調整せずに必ず歯科医院で調整してもらうようにしましょう。
入れ歯の材質を変える
保険適用の入れ歯はプラスチック製のため、強度を高めるためにある程度の厚みが必要です。自由診療では、さまざまな種類の素材から選択できるため、薄くて強度の高い素材を選ぶと嘔吐反射が起きにくいことが考えられます。また、自由診療では自分の口内にしっかりとフィットするよう細かく設計できます。
ブリッジやインプラントを選択する
嘔吐反射がひどく入れ歯の装着が辛い方は、入れ歯以外の治療を検討してみましょう。失った歯が少ない場合は、ブリッジ治療やインプラント治療で対応できます。費用を抑えたい方はブリッジ治療、機能面・審美面で優れた治療を受けたい方はインプラント治療が向いているでしょう。
入れ歯に慣れると嘔吐反射は少なくなる
入れ歯は人工物のため、初めて装着する場合は少なからず違和感を覚えます。しかし、使用を続けていく内に、頬や筋肉が入れ歯に慣れ馴染んでくるケースがほとんどです。大きな入れ歯を使用する場合は、最初から長時間の使用を避け、少しずつ慣らしていくとよいでしょう。
ただし、嘔吐反射ではなく歯茎や口蓋(上顎)に当たり痛みが出る場合、その痛みに慣れてくることはありません。調整をしない限り痛み続けるので、早めに歯科医院を受診しましょう。
快適になるまでは何度か調整が必要
噛み合わせや厚みなど細かい指示のもと作製されますが、必ず完璧に合うものが仕上がってくるわけではありません。普通に装着しているときは問題がなくても、食事のときに違和感や痛みを覚えることもあります。入れ歯が快適になるまでは、実際に使用しながら複数回の調整が必要であることを覚えておきましょう。
まとめ
入れ歯で嘔吐反射が起きてしまう原因や対策について解説しました。入れ歯にはさまざまな種類があるため、素材や形状を変更するのも嘔吐反射を軽減させるよい方法です。嘔吐反射がひどい場合は、我慢して使用を続けずに歯科医院へ相談するようにしましょう。
高輪クリニックグループでは、歯科と医科のつながりを大切にした医療を提供しています。口内だけでなく、身体の全体を考慮した治療計画や、安心・安全・自然をモットーに自然薬の処方などを行っています。口内のトラブルでお悩みの方、信頼できる歯医者をお探しの方は、高輪クリニックへお気軽にご相談くださいませ。