「ガムを噛むと歯が健康になる」という話を聞いたことがある人は多いでしょう。ガムは、果たして本当に歯にいいのでしょうか。
当記事では、ガムを食べることで期待できる4つの作用や、3つのデメリット、いいガムの選び方やおすすめのガムなどについて解説します。ガムが歯に与える影響について知りたい方や、歯の健康をキープしたい方は、ぜひお読みください。
ガムが歯にいいのは本当?期待できる4つの作用
ガムを噛むことで、以下4つの作用が期待できます。
- 口内を清潔にする
- ストレス解消になる
- 免疫力を高める
- やる気を高める「ドーパミン」の分泌が活性化される
①口内を清潔にする
唾液には、口内を洗浄してきれいにする働きがあります。ガムを噛むと口のなかにたくさんの唾液が出てくるため、唾液によって口内が清潔になる作用が期待可能です。
②ストレス解消になる
ガムを噛むと、頭のなかのストレスを感じる部位がリラックスし、血液中のストレス物質の量が少なくなります。そのため、ガムを食べることでストレスやイライラした感情を抑えられる可能性があります。
③免疫力を高める
ガムを噛むと、副交感神経が優位になり、体がリラックスした状態へと変わります。すると免疫機能が活発になり、血液のなかにあるリンパ球の数が増大して免疫力がアップするとされています。
④やる気を高める「ドーパミン」の分泌が活性化される
ガムを噛むことで、やる気のホルモンであるドーパミンの分泌が活性化されます。ドーパミンが多く分泌されることで、仕事を効率よくこなせるようになったり、学習能力が向上したりすることが期待できます。
ガムは歯にいいことばかりではない!3つのデメリット
ガムを食べる際は、以下のようなことが起こる可能性もあるという点に注意しましょう。
- 歯の表面がすり減る
- 顔の形が変わる
- 含有成分によっては歯周病や虫歯につながる
①歯の表面がすり減る
デメリットの1つ目は歯の表面がすり減ってしまうことです。ガムを食べ過ぎると、歯の表面にあるエナメル質がすり減っていくため、注意が必要です。エナメル質がすり減ると、噛み合わせが深まり、歯と歯をあわせた際に下の前歯が上の前歯の裏側を上向きに突き上げる力が働くようになります。
すると前歯が前方に出てきて出っ歯になったり、前歯の歯と歯の間に隙間ができてしまったりすることにもつながります。
さらに、エナメル質がすり減ったことで知覚過敏となり、冷たいものを食べた際にしみる感覚を覚えるようになる可能性もあるでしょう。
②顔の形が変わる
続いてのデメリットは顔の形が変わってしまう可能性があることです。具体的には、以下のような症状が起こる可能性があります。
- エラが張ってくる
- 顔の下半分が短くなる
- 顔が左右非対称になる
ガムを長期間噛み続けていると、噛む筋肉が発達していきます。すると筋肉がついている骨が高く盛り上がり、エラが張ったような見た目へと変わっていく可能性があります。
また、ガムを長く噛み続けて臼歯の噛み合わせの部分がすり減っていくと、顔の下半分がだんだん潰れていき、短くなったような印象を与えることにもつながるでしょう。
さらに、ガムを噛む歯が左右のどちらかに偏っていると、噛んでいる方の筋肉や骨ばかりが発達していきます。すると筋肉や骨の発達に左右で差が出て、顔の形が左右非対称となるケースがあります。
③含有成分によっては歯周病や虫歯につながる
続いてのデメリットは、含有成分によっては歯周病や虫歯につながるという点です。コンビニやスーパーで売られているガムのなかには、多くの場合砂糖が配合されています。砂糖が入っているガムを長期間にわたって噛んでいると、口内に常に糖が留まり続ける状態になります。
虫歯菌は、糖を吸収して歯を溶かす酸を排出する物質です。したがって砂糖入りのガムを噛んでいると、虫歯を抑制できるどころか、虫歯の原因となってしまうこともあるでしょう。
歯にいいガムの選び方
歯の健康のためにガムを食べる場合は、以下の点に注目してガムを選ぶようにしましょう。
- 含有成分に注目して選ぶ
- 特保(特定保健用食品)の表示があるガムを選ぶ
含有成分に注目して選ぶ
先ほども述べたように、砂糖が入っているガムを噛むと、虫歯菌の餌となる糖が常に口のなかにある状態になってしまいます。
ガムを選ぶ際は、糖類が含まれていないものを選択しましょう。とくにコンビニやスーパーで売られているガムには、砂糖が配合されているものが多くあります。対して歯科医院で売られているガムは、砂糖を含んでいないものがほとんどです。
歯の健康を考えるのであれば、歯科医院で売られているような砂糖が入っていないものや、砂糖が少ないものを選択するようにしましょう。
特保(特定保健用食品)の表示があるガムを選ぶ
特保の表示があるということは「体へのいい作用が期待できる」と厚生労働省が認めたガムだということです。特保の表示があるガムは、国によって安全性が確認されており、体への効果も科学的に証明されています。表示がないものに比べると、信頼度の高いガムだということができるでしょう。
歯にいい作用が期待できるおすすめのガム3選
歯にいい作用が期待できるおすすめのガムは、以下の3つです。
- キシリトール
- リカルデント
- ポスカ
キシリトール
キシリトールは、フィンランドで主に作られている天然の甘味料です。樫や白樺などから作られます。砂糖と同程度の甘さを感じられるにもかかわらず、虫歯の働きを抑制する作用が期待できる点が特徴です。
歯垢の量を減少させてブラッシングで落としやすくしたり、虫歯の原因となるミュータンス菌を少なくしたり、再石灰化をサポートしたりする働きが期待できます。キシリトールガムがおすすめなのは、ミュータンス菌が口内に多く発生している人です。
リカルデント
リカルデントは、牛乳のタンパク質によって作られているガムです。リン酸とカルシウムをエナメル質へ浸透しやすくすることで、再石灰化を促す働きが期待できます。また、歯のエナメル質が溶けていく現象を抑制する作用もあるとされています。
口のなかが酸性に傾いた(虫歯になりやすい)環境になっていた場合、中性に近づける働きも期待可能です。
リカルデントは、歯の質が弱い方におすすめです。なお、牛乳由来の成分が配合されているため、牛乳アレルギーの方はご注意ください。
ポスカ
じゃがいもでんぷん由来の成分である「リン酸化オリゴ糖カルシウム」でできたガムです。
リン酸化オリゴ糖カルシウムは、普通のカルシウムとは異なり、水に溶けやすいという性質を持っています。唾液にも溶けやすいため、唾液のなかに溶け出してカルシウム濃度を上昇させ、初期の虫歯を再結晶化させる作用が期待可能です。
さらに、酸性に近づいた環境となっている口内を中性に戻し、虫歯を抑制する働きもあるとされています。
ポスカがおすすめなのは、初期の虫歯ができている人や唾液の中和力が弱い方です。
まとめ
口内を清潔に保ったり、ストレス解消になったりと、ガムを噛むことでさまざまな作用が期待できます。なお、歯の表面がすり減ったり、顔の形が変わったりする可能性もある点には注意が必要です。
高輪クリニックグループでは、歯科医師と医師が一丸となって患者さんの健康を支えています。歯に関するお悩みをお持ちの方は、ぜひ一度ご来院ください。