「歯が欠けた」というトラブルは決して珍しいものではありません。気付かぬうちに進行した虫歯や歯ぎしりなどの癖が原因で歯が欠けることも多く、歯が欠けてしまったら素早く治療を受ける必要があります。今回は、歯が欠けた場合の応急処置と歯科医院での治療法、そして歯が欠ける原因を4つ説明しましょう。
歯が欠けた場合の応急処置・するべきこと
歯が欠けた場合に行うべき応急処置と、してはならないことは以下の4つです。
<歯が欠けた場合の応急処置としてはならないこと>
- 欠けた部分には触らない
- 欠けた歯を適切に保存する
- 痛みが強い場合は、鎮痛剤を飲んでも良い
- 放置せず歯科医院にできるだけ早めに行く
それぞれをくわしく解説します。
欠けた部分には触らない
欠けた部分に触ってはいけません。歯が欠けると内部がむき出しになり、触れると指に付いた雑菌が歯の内部に入り込んでしまいます。また、不安定になった歯をぐらつかせてしまい、状態が悪化する恐れもあるため要注意です。
欠けた歯を適切に保存する
欠けた歯は再接着できる可能性があるため、適切に保存しましょう。保存方法は以下のとおりです。
<欠けた歯の適切な保存方法>
- ドラッグストアなどで販売されている専用の保存液につける
- 牛乳または生理食塩水につける
- いずれも不可能な場合は湿らせたガーゼに包む
なお、歯に残った組織が失われる恐れがあるため、欠けた歯を水道水で洗うのは避けてください。
痛みが強い場合は、鎮痛剤を飲んでも良い
歯がかけた部分に痛みが強い場合は、市販の鎮痛剤を服用して構いません。ただし、痛みが治まったとしてもそのまま放置するのは厳禁です。あくまでも歯科医院に着くまでの応急処置として鎮痛剤を飲みましょう。
放置せず歯科医院にできるだけ早く行く
欠けた歯を放置すると以下のようなリスクが発生するため、できるだけ早く歯科医院で治療を受けましょう。
<欠けた歯を放置するリスク>
- 象牙質が露出して痛みを感じやすくなる
- さらに大きく歯が欠ける可能性がある
- 食べ物が詰まって虫歯になりやすくなる
- 尖った歯が口内を傷つける恐れがある
先述したとおり欠けた部分を再接着できる可能性もあるので、歯医者で素早く適切な治療を受けることをおすすめします。
歯が欠けてしまう4つの原因
歯が欠けてしまう原因は、主に以下の4つです。
<歯が欠けてしまう4つの原因>
- 虫歯
- 酸蝕歯
- 外傷
- 食いしばりや歯ぎしり
健康な歯がいきなり欠けることは珍しく、基本的には何らかの原因が潜んでいます。予防のためにも歯が欠ける原因をくわしく知っておきましょう。
①虫歯
歯が欠ける原因としてとくに多いのが虫歯です。虫歯菌が蔓延している歯は健康な歯と比べるともろく、欠けやすくなっています。見た目や痛みなどの自覚症状がなくても、歯の奥深い部分で虫歯菌が増殖しているケースも見られます。見た目に異常がないからといって油断しないよう注意が必要です。
②酸蝕歯
酸蝕歯(さんしょくし)とは、口のなかや歯が酸性になった状態です。柑橘類など酸性の食べ物・飲み物を口にする機会が多い人や、胃酸が上がりやすい人に多く見られます。歯が酸性になると、歯の表面を覆うエナメル質が柔らかくなるため、歯が欠けやすくなるのです。
③外傷
転倒した際の衝撃や交通事故、スポーツ中の負傷など、強い刺激や外傷が原因で歯が欠けることもあります。強い衝撃によって歯が欠けると、歯以外にもダメージが及んでいる場合があるため要注意です。とくに「歯根破折」という歯根が割れた状態は大変危険です。歯根破損はいわば歯が死んでしまった状態です。残った神経や歯茎を守るために速やかに歯科医院で治療を受けましょう。
④食いしばりや歯ぎしり
食いしばりや歯ぎしりなど、日常の癖が原因で歯が欠けることもあります。食いしばり・歯ぎしりが歯にかける負担は体重の2~3倍ともいわれており、ダメージの蓄積により歯が欠けてしまうのです。これらの癖を意識的に直すのは難しいため、夜寝るときにマウスピースを装着するなどの対策を取ると良いでしょう。
歯が欠けた場合の治療法
歯が欠けた場合の治療法としては、以下の4パターンから決まることが一般的です。
<歯が欠けた場合の治療法>
- 欠けた歯の破片を接着させる
- 【欠けが小さい】レジン充填
- 【欠けが中程度】詰め物・被せ物
- 【欠けが大きい】入れ歯・インプラント・ブリッジ
それぞれどのような治療法なのか、順番に解説します。
欠けた歯の破片を接着させる
欠けた歯や口内の状態によりますが、破片の接着が可能な場合は接着を行います。接着には、歯科医院の専用の接着剤を用います。
自宅にある接着剤を用いると、かえって接着が難しくなってしまいます。自宅の接着剤でくっつけようとしないように注意しましょう。
また接着を行うためには、抜けた歯の保存状態が重要です。牛乳や保存液を用いて適切に保存して、歯科医院に持っていきましょう。
【欠けが小さい】レジン充填
欠けが小さい場合は「レジン充填」で治療を行います。後述する「詰め物」と比べるとより規模が小さく、隙間を埋める程度の治療で済む際に用いられる治療法です。とくに前歯が少しだけ欠けたときなどでの実施が多く、プラスチックに似た素材のレジンを歯に詰めて紫外線をあて、固めてから形を整えます。
レジン充填のメリットは、大きく歯を削る必要がないことです。欠けた箇所のみを治療する方法なので、欠けたあとに残っている歯は治療後もそのままの状態で残せます。ただしレジンの強度は高いとはいえず、長期間使っていると変色したり、再び欠けてしまったりする可能性があるのでその後の経過には注意しましょう。
【欠けが中程度】詰め物・被せ物
欠けが中程度の場合は詰め物、もしくは被せ物を使って治療します。詰め物には、先述した「レジン充填」で用いられるレジンが使われることが一般的です。メリット・デメリットはレジン充填と同様で、歯を不必要に削る必要がないことが魅力的ですが、将来的な変色や欠けには注意しなければなりません。
詰め物だけでカバーできない場合は被せ物を使って治療を行います。保険診療の場合は金属を使った被せ物の利用が一般的ですが、金属アレルギーには注意しなければなりません。セラミックや樹脂の材料を組み合わせた「ノンメタル治療」がおすすめです。
【欠けが大きい】入れ歯・インプラント・ブリッジ
欠けが大きい場合は、入れ歯・インプラント・ブリッジのいずれかを利用して治療します。それぞれにメリット・デメリットがあるため、それぞれの特徴をまとめた表を用意しました。
【入れ歯・インプラント・ブリッジの比較表】
種類 | 入れ歯 | インプラント | ブリッジ |
---|---|---|---|
メリット | ・短期間で治療できる ・保険適用が可能 | ・長く使い続けられる ・審美性が高い ・他の歯を削らずに済む | ・保険適用が可能 ・仕上がりが入れ歯よりも自然 ・短期間で治療できる |
デメリット | ・違和感が生じやすい ・審美性で劣る | ・保険適用が不可能 ・治療には手術が必要 | ・隣の歯を削る必要がある ・審美性で劣る |
入れ歯とブリッジは短期間で治療でき、保険適用も可能です。ただし審美性ではインプラントよりも劣り、隣り合う歯を削る・抜くなどの治療が必要な場合があります。インプラントは審美性が高く、隣り合う歯も傷付けません。しかし保険適用ができず、治療期間が長くなりがちです。自分の生活スタイルと合わせて無理のない治療方針がたてられるといいですね。
まとめ
歯が欠ける原因は、虫歯や事故、日常の癖などさまざまです。再接着の可能性を残すためにも適切な応急処置を行い、速やかに歯科医院を受診しましょう。高輪クリニックでは安全性の高いセラミックを使用した治療などにより治療を行うとともに、体質改善を目的とした根本治療も実施しており、歯・顎の関節・顎の筋肉といった噛み合わせの要素をトータルに考えた治療を提案致します。歯を欠けにくくさせるための予防的な治療もお任せいただけます。歯で悩みを抱えている人は一度ご相談ください。