ストレスの多い先進国で、若い世代の罹患率が高い、過敏性腸症候群( IBS)。真面目で神経質、繊細な人がかかりやすく、ストレスが起因で腹痛を伴った下痢や、便秘、下痢と便秘を交互に繰り返す、またはガス漏れといった症状がみられます。
過敏性腸症候群と腰痛は直接的な関連性はありません。過敏性腸症候群の疑いがあり慢性的な腰痛があるようであれば、排便に伴う腹痛のために姿勢のバランスが崩れたり、排便時の力みなどが原因と考えられます。
過敏性腸症候群(IBS)の原因
過敏性腸症候群(IBS)を引き起こす原因は、大きく分けて次の2つと考えられています。一つは、自律神経が乱れ、緊張や不安などストレスが自律神経を介して腸の異常な蠕動運動を引き起こしているというもの。
もう一つの原因として考えられているのが神経伝達物質「セロトニン」による影響です。精神の安定に関わるため“幸せホルモン”とも呼ばれるセロトニンは約90%が腸内で作られますが、腸内細菌叢(腸内フローラ)のバランスの乱れにより自律神経に影響を与えます。
腸と脳は「腸脳相関」と言われるほど密接な関わりがあるためストレスによって腸のセロトニンが過剰に分泌されると、腸脳の双方の伝達に異常が発生。それにより腸の蠕動運動がバランスを崩してお腹の不快感、腹痛、下痢などを引き起こすとされています。
ストレスが原因の自律神経の乱れは、腸はもちろん、胃などの不調に繋がる場合もあり、複合的な病状を訴える人も少なくありません。
過敏性腸症候群(IBS)の4つのタイプと症状
下痢型
男性に多く、少しでもストレスを感じると下痢を引き起こします。腹痛や腹部の不快感を伴うことが多く、便に粘液が混ざることもあります。1日に何度もトイレに行きます。
「食生活は問題ないはずなのに下痢続いている」「不安や緊張といったストレスによって急に激しい腹痛と下痢に襲われる」「急にトイレに行きたくなるので外出が不安」というタイプは基本的に下痢型に当てはまります。
便秘型
女性に多く、ストレスにより便秘が続きます。腹部の不快感があり、硬い便やコロコロ便が多いため、排便時に腹痛や腹部が苦しくなることも。「薬を飲んでも改善せず、便秘が続いている」「排便時に出渋り」「腹痛を伴う、硬い排便」「やっと出しても残便感がある」「便秘が続いて食欲不振」などの症状が基本的に便秘型に当てはまります。
混合型
腹痛及び腹部の違和感、下痢と便秘が複数日間隔で交互に現れます(交代性便通異常)
分類不能型
上記いづれにも当てはまりませんが、便の形などで判断します。
他にもお腹の調子が優れず、「ストレスを感じやすい」「頭痛が続く」「慢性的に吐き気がある」「うつっぽい」といった症状が続いているようであれば過敏性腸症候群(過敏性大腸炎 略称;iBS)の可能性があります。
また、ガス(おなら)のコントロールができずガス漏れが続いたり、人がそばにくると緊張からガス(おなら)が漏れてしまうといった症状をもつ人もいます。
過敏性腸症候群( IBS)の治療法
過敏性腸症候群(IBS)はストレスと関わりの深い病気であり、治療方法も食事療法や運動療法、薬物療法、心理療法等が一般的です。食事療法や運動療法はライフスタイルの見直しからはじめます。
例えば、脂質の多い食事や辛いスパイスなど刺激が強すぎる食事、あるいはアルコールやタバコ、カフェインなどの嗜好品を取りすぎていないかなど、食の傾向をチェック。さらに適度な運動はストレスマネジメントにも繋がるため、無理のない範囲での運動も推奨されます。
薬物療法では整腸剤や高分子重合体、抗コリン剤、止瀉薬、漢方などが症状に応じて処方されます。心理療法ではカウンセリングが行われることが多く、症状に応じて心療内科や精神科での治療も行われます。抗うつ剤などの薬剤が処方されることもあります。
しかしながら、一般的なこれらの治療法はなかなか根本的な改善に繋がっていないのが現状です。
近年の研究により、過敏性腸症候群(過敏性大腸炎 IBS)の原因として、腸内フローラの乱れや歯の金属によるアレルギー、及び発生するガルバニック電流などの影響が大きいことも分かってきました。
過敏性腸症候群の方の腸内フローラは腸の健康を保つために必要な乳酸菌が殆ど存在しないケースも多く見られます。人によって、症状へ向かう引き金は様々ですが、まず言えることは腸脳相関が悪循環に陥ってしまっていること。それは腸内環境の悪化や金属アレルギー等の影響により自律神経が乱れることが原因です。それはまたストレス耐性を著しく低下させることに繋がり、うつや不安症の発症のもととなります。
ここ数年、過敏性腸症候群の高い治癒率で注目を集めているのが、腸内フローラ治療です。腸内フローラ検査により、腸内細菌叢(腸内フローラ)のバランスをチェックしたうえで適切な乳酸菌マッチングを行い、腸内環境を整えます。
また、自律神経に悪影響を与えるため実は症状の原因となっているケースが多いと考えられている口腔内の金属。口腔内の金属の状態をチェックし、口腔内からの治療を試みることも重要です。
当クリニックは、遺伝子・腸内フローラ研究の第一人者である陰山康成医師が、過敏性腸症候群の治療にいち早く腸内フローラマッチングを取り入れ、高い改善率をあげております。
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監修:長岡 美妃
現代医療に携わりながら病の根本原因、医療本来の在り方、さらに真の社会の在り方、女性の生き方を追求している医師。 東京女子医大消化器外科センターにて癌の外科治療に従事。
その後、福岡の秋本病院にて緩和ケアセンター長として多数の方の精神的苦痛を和らげてきた経験をもつ。 内視鏡の技術にも定評がある上、コミュニケーション能力が非常に高く、患者様からの信頼がとても厚い。 著書:『「真の」医療者をめざして』 他