歯のホワイトニングでは薬剤がしみたりして痛みを感じる方がいます。
なぜホワイトニングで歯が痛くなるのでしょうか?
痛みの原因や対処法、予防法についてまとめました。
対処法や予防の方法を知っておけば、トラブルが起きたときにも慌てずに対応できます。
ホワイトニングをする際の参考になれば幸いです。
ホワイトニングは痛い&しみる!?
歯のホワイトニングで痛みを感じたりしみたりするのには、歯の構造に理由があります。
なぜ歯のホワイトニングは痛いのでしょうか。
- 歯の痛みのメカニズム
- 歯のホワイトニングとは
- ホワイトニングが痛い期間
痛みの構造と、ホワイトニングで痛みを感じやすい期間について、ご紹介します。
歯の痛みのメカニズム
人間の歯は、3層構造のようなつくりになっています。
外側がエナメル質、次は象牙質、そして歯の中心に神経があります。
健康な歯であれば、表面のエナメル質が象牙質を守ってくれていますので、痛みは感じません。
神経だけでなく象牙質にも知覚があり、象牙質で感じる痛みが知覚過敏です。
歯の構造をイメージすると、エナメル質に覆われていない部分(虫歯などが原因でエナメル質が壊れてしまった部分)で痛みが出ることがわかります。
歯のホワイトニングとは
ホワイトニングとは、日常的な歯磨きでは落とせない着色などの汚れを、専用の薬剤で本来の白さに戻す治療です。
詰め物や被せ物をした部分は白くならずに、天然の歯を白くします。
歯科医院で治療をするオフィスホワイトニングは、医師が取り扱いますので薬剤の濃度が濃く、早く白さを感じたい方に向いています。
ホームホワイト二ングは自宅で自分で取り組むホワイトニングで、専門的な知識のない人でも取り扱いができるように低濃度の薬剤を使用します。
ホワイトニングで痛い期間
ホワイトニング後の半日~24時間は、痛みを感じやすい時間です。
歯のエナメル質の表面にあるペリクルが再生しようとしていて、外からの刺激に敏感になってしまっています。
ホワイトニングをした20%程度の患者さんが痛みを感じるようです。
多くは自然に治まるので、一時的な痛みとなるケースがほとんどです。
しかし痛みが強い、症状が改善しないなどの場合は、ホワイトニングを受けた歯科医院で相談してみましょう。
ホワイトニングが痛い理由
ホワイトニングをして痛かったりしみたりと違和感を感じる理由は、以下のような原因が考えられます。
- 虫歯がある状態
- 歯が損傷している
- 歯周病で歯茎が下がってる
- 知覚過敏がある
- 薬剤の濃度が合っていない
- 薬剤が歯茎についている
- 歯髄炎が起きた
もしホワイトニングをして痛みがあるようであれば、原因を探ってみてください。
虫歯がある状態
虫歯があると、歯の表面にあるエナメル質が溶けてしまい、象牙質にホワイトニングの薬剤が入ることで痛みを感じます。
また過去に治療した虫歯であっても、詰め物に段差があるとホワイトニングの薬剤が入り込む原因になる場合もあります。
ホワイトニングの前には、丁寧に口腔内のチェックをしてもらいましょう。
歯が損傷している
歯が削れていたり、亀裂が入っている、詰め物が取れていたりなど、損傷しているとホワイトニングの薬剤が刺激となり、しみてしまいます。
歯ぎしりなど普段の口腔習慣によって、自分でも気付かない間に歯が損傷している場合もあります。
ホワイトニングの薬剤がしみたために、初めて歯の亀裂や損傷に気が付く人もいます。
歯がしみたり痛みを感じたら、象牙質をカバーするような治療の必要があるかもしれないので医師に相談しましょう。
歯周病で歯茎が下がってる
歯周病になると、歯茎に炎症が起きたり、歯茎が下がったりしてきます。
歯茎が下がった部分は、象牙質がそのまま出ている状態となりますので、ホワイトニングの薬剤がしみて痛みを感じます。
歯周病ではなく加齢で歯の根元が出てきてしまうケースもありますが、この場合もホワイトニングの薬剤で痛みを感じるでしょう。
知覚過敏がある
歯の表面にあるペリクルという膜がなくなると知覚過敏は起こります。
ホワイトニング薬剤はペリクルを剥がして再生させるので、知覚過敏が起こりやすい状態なのです。
ただし、一般的には24時間程度でペリクルは再生します。
オフィスホワイトニングの場合の知覚過敏は24時間程度、オフィスホワイトニングであれば4時間程度で治まると考えておきましょう。
薬剤の濃度が合っていない
クリニックで使用するホワイトニングの薬剤は、濃度が濃い場合があります。
ホワイトニング薬剤の成分は、主に過酸化水素ですが、酸化チタンやチッ素が含まれていると刺激が強くなるかもしれません。
痛みが不快で気になるようであれば、濃度の低いホワイトニング薬剤を選ぶこともできます。
光や触媒を用いて、薬剤の濃度を低くするという方法もあります。
薬剤が歯茎についている
ホワイトニングの薬剤は濃度が濃く刺激が強いので、歯茎に付着すると痛みを感じる場合があります。
歯茎についてしまった薬剤は拭き取って構いませんので、痛みを感じないようにしましょう。
歯茎の痛みを放っておくと炎症を起こしてしまう場合がありますので、放っておかないよう注意しましょう。
歯髄炎が起きた
歯髄とは神経のことで、ここに細菌が入ると歯髄炎を起こします。
ホワイトニングで歯髄炎が起きるのは非常に稀ですが、ホワイトニング薬剤の刺激で起こる場合もあります。
他にも、虫歯を治療していないなどの理由で歯根露出があると、歯髄炎の原因となります。
症状が悪化していくと、神経を抜かなくてはいけない状況になるかもしれません。
ホワイトニングが痛い時の対応
ホワイト二ングで痛みを感じるのは、通常は数日間です。
自宅で試せる対処方法もありますので、参考になさってください。
- ホワイトニングを中断する
- 口を清潔にする
- ロキソニンなどの鎮痛薬
- 刺激のある物は食べない
- 知覚過敏用の歯磨き粉を使う
- リカルデントガムを噛む
意外だと感じるような方法もあるかもしれませんが、ひとつずつご紹介します。
ホワイトニングを中断する
ホームホワイトニングで痛みを感じた場合には、すぐにホワイトニングを中断しましょう。
時間を短くしたり、薬剤を変更したりと、負担のない方法を考えていきます。
口を清潔にする
ホワイトニングの直後であれば、口の中に薬剤が残ってしまっているために痛みを感じているかもしれません。
まずは歯磨きをしたり、うがいをしたりと、口内を清潔な状態にしてみましょう。
しみる場合がありますので、優しく丁寧に磨くのがポイントです。
しばらく安静にして、様子をみてみましょう。
ロキソニンなどの鎮痛薬
どうしても我慢できない時には、市販の鎮痛薬に頼ってもよいでしょう。
ロキソニンなど自宅にすでにあるお薬でも痛みは抑えられます。
鎮痛薬を服用すれば痛みは治まったような気がしますが、根本的な解決にはなりません。
痛みが続いて、何日も治まらないようであれば、すぐにクリニックに相談しましょう。
刺激のある物は食べない
自分でできる対処法として、ホワイトニングをした日は刺激物を避けるという方法もあります。
知覚過敏を起こしやすい、冷たい物や熱い物、さらには香辛料の強いメニューなどはやめましょう。
痛みを感じていないと思って安心していても、刺激のある食べ物が原因で痛みが誘発される危険性もあります。
知覚過敏用の歯磨き粉を使う
知覚過敏が気になるのであれば、知覚過敏用の歯磨き粉がおすすめです。
成分に硝酸カリウムイオンが含まれていますので、知覚過敏を軽減できるでしょう。
またフッ素が配合された歯磨き粉は、歯の再石灰化を促す働きがあります。
このような商品は市販の歯磨き粉で構いませんので、ホワイトニングの際に使用してみてもいいでしょう。
リカルデントガムを噛む
市販のリカルデントガムには、CPP-ACPという成分が含まれています。
CPP-ACPは、歯の再石化を促したり、しみを和らげたりする効果が期待できます。
コンビニやスーパーで手軽に購入できますが、牛乳アレルギーの方は食べないようにしてください。
ホワイトニングの痛み予防法
ホワイトニングで痛みを感じるのは、約20%の患者さんだとお伝えしました。
80%の方は痛みなどの不快感はなく、ホワイトニングできていることになります。
つまり、歯のホワイトニングによる痛みは予防できるのです。
予防方法には、以下のような方法があります。
- 虫歯を治療しておく
- 歯周病対策をしておく
- 知覚過敏ケアをしておく
- 定期健診をしておく
虫歯を治療しておく
虫歯を治療せずにホワイトニングをすると薬剤がしみる原因になりますが、治療済みであれば痛みの原因にはなりません。
また虫歯が進行して神経が死んでしまった歯は、ホワイトニングができません。
ホワイトニングをする、しないにかかわらず、虫歯があればすぐに対処するようにしておきましょう。
歯周病対策をしておく
歯周病対策はホワイトニングだけの問題ではなく、生涯を通して重要です。
毎日の正しい歯磨きに加えて、定期健診でのクリーニングなど、日頃のケアが影響してきます。
歯周病は、糖尿病や認知症など、全身の疾患にも影響があるとわかっています。
全身の健康を保つという意識も持ちつつ、日常的に歯周病ケアをしていきましょう。
知覚過敏ケアをしておく
普段の食事や歯磨きの時にも知覚過敏があるという方は、ホワイトニングの前にケアをしておいた方がいいかもしれません。
歯のエナメル質がなく、象牙質が出てている状態になっています。
知覚過敏用の歯磨き粉を日常的に使用するなどの、手軽な方法でも改善されていくでしょう。
程度によっては、歯科医院で薬を塗る、レーザー治療などの方法もあります。
定期健診をしておく
3ヶ月に1回の歯科医院での定期健診を受けていれば、口腔内の異変にすぐに気づけます。
初期の虫歯や歯周病の疑いなど、早期発見できればすぐに対処できます。
ホワイトニングをするからという理由で、歯科医院に訪れるのが久しぶりになってしまうと、まずは虫歯治療が必要になったりと、ホワイトニング開始までに時間がかかってしまうかもしれません。
ホームホワイトニングでの注意点
ホームホワイトニングとは、歯科医院で処方を受けてから自宅でするホワイトニングです。
薬剤やマウスピースは歯科医院で用意してもらい、自分のタイミングでできるのがメリットです。
何度も通院できない人に人気のある方法ですが、トラブルがあった時にすぐに対処できないというデメリットもあります。
ホームホワイトニングで痛みや違和感を感じたら、どうすればいいのでしょうか。
ホームホワイトニングでの注意点は以下のとおりです。
- 使用量と時間に忠実に
- トレイから溢れないように
- 歯科医師に相談する
使用量と時間に忠実に
ホームホワイトニングでは、製品ごとに使用量や使用時間が定められています。
「違和感なく使用できるから」「早く歯を白くしたいから」などという理由で、自己判断で使用量や使用時間を変えないようにしてください。
薬剤を多くしたからといって、効果が早くでるというわけではありません。
間違った使用方法を続けると、歯髄炎や重い知覚過敏の危険があります。
トレイから溢れないように
ホワイトニングの薬剤がトレイから溢れてしまうと、歯茎や唇にあたって痛みを感じる場合もあります。
規定量を守っていたとしても、トレイを噛んだりすると薬剤が溢れてしまいます。
使用中は食べたり話をしたり等、口を動かしすぎたりしないように注意しましょう。
歯科医師に相談する
ホームホワイトニングは頻繁に使用しますので、続けるうちに慣れもでてきます。
もしも「いつもと違う痛みを感じる」「同じように使っているのにしみる気がする」などの不快感があればクリニックで相談しましょう。
ホームホワイトニングも必要があれば、中断したり中止したりしますので、必要な判断を仰ぎましょう。
ホワイトニングの痛みは一過性
ホワイトニングで痛みがでたり、しみたりするのは珍しい症状ではありません。
ほとんどは一過性のもので、数日で治まります。
自宅で様子をみていれば問題ないケースがほとんどですが、ホワイトニングの薬剤の変更の必要があったり、口腔内の状況を確認した方がよい場合もあります。
違和感を感じたら、我慢をせずにホワイトニングをした歯科医院に相談をするようにしましょう。