赤ちゃんのお口ポカンは「口唇閉鎖不全症」と呼ばれる症状の可能性があります。
この記事では、口唇閉鎖不全症の原因や、この症状が原因で起こるトラブル、解決方法を紹介しているので、お子さんのお口ポカンが気になる人はチェックしてみてくださいね。
- お口ポカン(口唇閉鎖不全症)とは
- お口ポカン(口唇閉鎖不全症)原因
- お口ポカン(口唇閉鎖不全症)によって起こるトラブル
- お口ポカン(口唇閉鎖不全症)を治す方法
唇が閉じられない?お口ポカンの症状はトラブルに発展する可能性がある
小さな子どもによく見られる「お口ポカン」の症状は、口唇閉鎖不全症と呼ばれる症状の場合があります。
お口ポカンの状態を放っておくとそのまま癖になり、大人になったときにアデノイド顔貌になってしまう可能性があるので注意が必要です。
まずは、お口ポカン(口唇閉鎖不全症)についてくわしく解説するので、その症状や原因を確認しておきましょう。
お口ポカン(口唇閉鎖不全症)とは
お口ポカン(口唇閉鎖症)とは、唇が閉じず常にポッカリあいている状態のことを指します。
口腔機能が通常通り発達しておらず、咀嚼に問題を抱えているケースが多いです。
以下に当てはまるものが2つ以上ある場合、口唇閉鎖不全症の可能性があります。
- 咀嚼に問題がある
- 舌癖がある
- 食ムラがある
- 発音障害がある
- 口が閉じられない
- 指しゃぶりや爪かみなど口腔習癖がある
- 舌小帯に異常がある
お口ポカン(口唇閉鎖不全症)原因
お口ポカン(口唇閉鎖不全症)の原因は、舌や口周りの筋力低下や口呼吸が原因に挙げられます。
口腔内トラブル以外にも慢性鼻炎が原因となるケースも多く、アレルギー症状がある人にもお口ポカン(口唇閉鎖不全症)が起こる可能性があります。
お口ポカン(口唇閉鎖不全症)の原因を1つずつ解説するので、自分やお子さんに当てはまるものはないか確認してみましょう。
- 舌の筋力低下
- 口回りの筋力不足
- かみ合わせ・歯並び
- 舌が短い(舌小帯短縮症)
- 慢性鼻炎
- 口呼吸
舌の筋力低下
舌の筋力が低下すると、舌が口の中で脱力して舌の姿勢が悪くなります。
舌の姿勢が悪くなることを舌癖といい、舌癖はお口ポカン(口唇閉鎖不全症)や歯並びが悪くなる原因です。
本来舌は上顎とぴったりくっつき、舌先が少し歯に触れるのが正しい位置とされています。
口回りの筋力不足
口周りの筋力が弱っていると、お口ポカン(口唇閉鎖不全症)になることが多いケースが多く見られます。
口周りの筋力が低下していると唇を閉じる力が弱まり、口ポカンの症状を引き起こします。
口周りの筋力はトレーニングで改善できるので、筋力低下が気になったらセルフケアすることも大切です。
かみ合わせ・歯並び
かみ合わせや歯並びが原因でお口ポカン(口唇閉鎖不全症)になるケースも見られます。
前歯の上下に隙間ができたり、出っ歯などの不正咬合によって唇が閉じられないこともあるので、歯並びやかみ合わせもチェックしてみましょう。
かみ合わせや歯並びが原因の場合、歯列矯正などを検討するのがおすすめです。
舌が短い(舌小帯短縮症)
舌小帯短縮症とは、舌と下顎をつなぐ粘膜が消失せずに、舌の動きに制限がでてしまう症状のことです。
舌小帯短縮症の人は、舌の動きが制限されるため舌の姿勢がくずれ、お口ポカン(口唇閉鎖不全症)になってしまうことがあります。
軽度の場合はトレーニングでも改善しますが、重度の場合は舌小帯を切る手術を行わなくてはいけません。
慢性鼻炎
アレルギー症状を持っている人や慢性鼻炎の人も、お口ポカン(口唇閉鎖不全症)になってしまう可能性があります。
アレルギー症状や鼻炎の症状によって鼻がつまり口呼吸になると、自ずと口がポカンとあいた状態になってしまうのです。
症状が慢性化している人は、アレルギーや鼻炎を治療して症状を抑えることがお口ポカン(口唇閉鎖不全症)の治療にも繋がります。
口呼吸
口呼吸が癖になっている人は、唇が閉じられないため常に唇がぽっかりあいた状態になってしまいます。
口呼吸は小さい頃からの食事習慣以外にも、扁桃腺肥大や歯並びが原因となっている可能性もあります。
お口ポカン(口唇閉鎖不全症)によって起こるトラブル
お口ポカン(口唇閉鎖不全症)で最も多いトラブルは、口臭やむし歯です
そのほかにも、以下のようなトラブルに見舞われる可能性があります。
- 口臭
- むし歯
- 顔のゆがみ
- ウィルス感染
- いびき
- 猫背
口臭
お口ポカン(口唇閉鎖不全症)になると、唾液の分泌量が激減します。
唾液の分泌量が減少すると口の中が乾き、口臭の原因となる雑菌が増加し強い悪臭を放つようになるのです。
「唇が乾く」、「いやな臭いがする」というときは、お口ポカン(口唇閉鎖不全症)によって口が開いたままになっている可能性があります。
むし歯
雑菌が増殖するとむし歯や歯周病のリスクも増加します。
唾液が減少することで唾液による自浄作用や細菌の活動抑制、抗菌作用も期待できません。
むし歯になりやすくなってしまうので、お口ポカン(口唇閉鎖不全症)の人はデンタルケアに気をつける必要があります。
顔のゆがみ
幼少期からお口ポカン(口唇閉鎖不全症)の人は、成長にともない顔にゆがみがでてしまいます。
とくに、かみ合わせが悪くなるため、アゴや中顔面が伸び、面長になってしまうことが多いです。
大人になったときと幼少期では大きく印象が変わってしまうことも珍しくありません。
アデノイド顔貌とは鼻の奥にあるリンパのかたまり(アデノイド)の肥大によって起きる顔の特徴で、「突出した口元」や「首と顎の境目がない」ことが特徴です。
アデノイド顔貌は口ゴボといわれ審美的に嫌われることが多く、口呼吸でもなってしまうといわれています。
大人になってからも歯科矯正などで治すことはできますが、小さいうちから鼻呼吸と舌の姿勢を気にしてあげることで、アデノイド顔貌になることを避けられます。
ウィルス感染
鼻呼吸をしていると鼻がフィルターの役割をしてくれるため、ある程度ウィルスの侵入を抑制できます。
しかし口呼吸をしている人はウィルスが直接体内に入ってきてしまうため、鼻呼吸の人よりも風邪やインフルエンザなどのウィルスに感染しやすくなってしまうようです。
唇や喉が渇きやすい人は、口呼吸をしている可能性が高いので、意識的に鼻呼吸をするようにしましょう。
いびき
お口ポカン(口唇閉鎖不全症)で口呼吸になっていると、いびきの原因になります。
いびきをかいていると、熟睡できなくなってしまうのでなかなか疲れが取れません。
猫背
口がポッカリあいた状態だと気道が狭くなるため、猫背になって気道を確保しようとします。
しかし、猫背の状態では肺に多くの空気を取り込むことができません。
お口ポカン(口唇閉鎖不全症)の人は呼吸のしにくさをカバーするために猫背になり、さらに呼吸がしにくくなるという悪循環に陥っています。
お口ポカン(口唇閉鎖不全症)を治す方法
お口ポカン(口唇閉鎖不全症)の治療は、まず症状の原因を取り除くことです。
歯並びやかみ合わせが原因の場合は歯列矯正をして、鼻炎が原因の場合は耳鼻咽喉科で治療を行います。
筋力低下がお口ポカン(口唇閉鎖不全症)の原因にあげられる場合は、以下のトレーニングを行いましょう。
- 舌の正しい位置を覚える
- MFT(口腔筋機能療法)
- 口回りの筋力をトレーニングする
舌の正しい位置を覚える
お口ポカン(口唇閉鎖不全症)を改善するには、舌の正しい位置を覚える必要があります。
最初は舌や口周りが疲れてしまうかも知れませんが、徐々に正しい位置に舌を納めておくことにも慣れてきます。
- 舌の付け根から上顎にぴったりとくっつける
- 舌の先は前歯の付け根の少し上に触れている
MFT(口腔筋機能療法)
MFT(口腔筋機能療法)とは、歯並びに関係する舌・頬・唇の筋肉の機能を改善させ、正常な環境へ近づけることです。
MFT(口腔筋機能療法)には3つの要素があります。
- 口周りの筋肉の訓練
- 咀嚼・嚥下・発音・呼吸訓練
- 唇・舌の姿勢の習得
MFT(口腔筋機能療法)は歯科医での指導を受け、自宅でも繰り返しトレーニングを行うことで口腔機能を改善していきます。
口回りの筋力をトレーニングする
舌癖や舌の筋力低下、口周りの筋力低下によってお口ポカン(口唇閉鎖不全症)が起こっている可能性があります。
その場合は、口周りの筋肉をトレーニングしてバランスを整えたり、舌の正しい動きを覚えたりすることで、口ポカンの状態を改善できるでしょう。
口周りのトレーニングとして代表的なものも5種類紹介するので、ぜひ挑戦してみてくださいね。
- あいうべ体操
- ガムトレーニング
- 風船トレーニング
- 舌まわし
- タンタン体操
あいうべ体操
あいうべ体操は、10回3セットを基本として行う口周りの筋肉をトレーニングする体操です。
口呼吸や鼻呼吸の改善に最適で、このトレーニングを続けることで自然と舌の筋力がつき、お口ポカン(口唇閉鎖不全症)を改善できます。
声をださずに行ってもいいですが、小さなお子さんが実施する場合は、一緒に声をだしながら行うと、楽しみながらトレーニングができるでしょう。
- 大きく「あ」の口をつくる
- 口を横に大きく開け「い」の口をつくる
- 唇を強く突き出し「う」の口をつくる
- 舌を突き出し「べ」の口をつくる
- 1~4を10回3セット行う
ガムトレーニング
ガムトレーニングは、舌の筋力をトレーニングする方法で、楽に鼻呼吸ができるようになります。
ガムトレーニングをするときは、必ず口を閉じて鼻呼吸で行いましょう。
キシリトール入りのガムで行うと、むし歯予防にもつながりおすすめです。
- ガムをよくかみ柔らかくする
- 舌の上で丸める
- ガムを上顎にくっつける
- 舌でガムを押し広げる
- ガムを押し広げながら唾液を飲み込む
風船トレーニング
風船トレーニングは風船を膨らますことで口周り、とくに口輪筋を鍛えるトレーニングです。
口周りの筋肉を鍛えることで、唇を閉じるための筋力がアップしてお口ポカン(口唇閉鎖不全症)を改善できます。
風船を膨らませるのが難しい小さなお子さんは、ピロピロ笛で代用してもいいでしょう。
- 風船を限界まで膨らませる
- 口から風船を放し空気を抜く
- 1~2を最低3分間繰り返し続ける
舌まわし
舌まわしは、舌や口周りの筋肉を鍛えるトレーニングで、咀嚼機能や嚥下機能の向上やかみ合わせにも効果的といわれています。
顔のたるみにも効果があるので、親子で一緒に行ってみましょう。
舌まわしをするときは眉毛が上がらないように意識して、ゆっくり大きくしたを動かしてくださいね。
- 外側の歯茎をなぞるように、時計回りに舌を回す
- 外側の歯茎をなぞるように、反時計回りに舌を回す
※時計回り・反時計回りともに20回行う
タンタン体操
タンタン体操は、舌の筋力を鍛えるトレーニングです。
音が鳴るように勢いよく「タンタンタン」とリズミカルに舌を鳴らしていきましょう。
この体操を行うと、舌の癖を改善するのに役立ちます。
1セット10回、1日2セットを行いましょう。
- 舌を少し巻いて上顎につける
- 思いっきり下に打ち付ける
- 1~2を10回2セット行う
お口ポカン(口唇閉鎖不全症)はアデノイド顔貌になる可能性があるから子供のうちに治すのがおすすめ
お口がポカンと空いている状態のままにしておいてしまうと、アデノイド顔貌を引き起こしたり、むし歯や歯周病、感染症のリスクが増加してしまいます。
将来的に困ることになるので、お口ポカン(口唇閉鎖不全症)に気づいたら、早期治療を行って治してあげるのがおすすめです。
軽度のお口ポカン(口唇閉鎖不全症)は、自宅でのトレーニングでも治せるので、この記事で紹介しているトレーニングを参考に挑戦してみてくださいね。