保険適用外となる歯列矯正の費用の相場は、10万円~150万円程度といわれています。
歯列矯正は種類があり、費用もそれぞれ違ってきます。
どんな治療方法があり、目安となる費用はいくらくらいになるのでしょうか。
歯列矯正の種類や費用、支払い方法や費用を抑える方法について、まとめました。
歯列矯正の費用
歯列矯正は保険適用外の治療となるために、高額となってしまいます。
病的な診断がなく、見た目や審美的な理由で歯列矯正を行う場合は、保険適用外となります。
しかし病的な理由があり、治療として歯列矯正を必要とする場合には保険適用となります。
歯列矯正が保険適用となれば、自己負担額を抑えられます。
- 公的保険の対象となる歯列矯正
- 歯列矯正の種類と費用の目安
保険適用となる歯列矯正や、歯列矯正の平均的な費用について確認しておきましょう。
公的保険の対象となる歯列矯正
歯列矯正で保険適用となるのは、このような場合です。
- 口腔内に先天性の異常がある方
- 顎変形症と診断された方
先天性異常は59の疾患が該当しますので、心当たりのある方は医師にご相談ください。
顎変形症とは、遺伝性の要素が強く、顎の大きさや形、嚙み合わせの異常と顔の変形などの症状です。
このように特別な疾患のある場合を除き、歯列矯正は全額自己負担となります。
歯列矯正の種類と費用の目安
歯列矯正には種類があり、治療法によって費用にも差があります。
自由診療となるためにクリニックによっても違いがありますが、費用の目安として参考になさってください。
治療期間 | 目安費用 | |
---|---|---|
表側矯正 | 2~3年 | 60万~100万円 |
裏側矯正 | 2~3年 | 80万~150万円 |
マウスピース矯正 | 2~3年 | 80万~110万円 |
部分矯正 | 半年~1年半 | 30万~60万円 |
費用だけでなく、それぞれの矯正方法の特性やメリット・デメリットを理解して、ご自身に合う治療法を選びましょう。
歯列矯正の種類
歯列矯正には、大きく分けて4つの種類があります。
- 表面矯正
(ワイヤー矯正・ラビアル矯正) - 裏側矯正
(舌側矯正・リンガル矯正) - マウスピース矯正
- 部分矯正
それぞれの方法について、メリットやデメリットをお伝えします。
表側矯正
(ワイヤー矯正・ラビアル矯正)
歯の表面に矯正器具を装着する方法で、最もスタンダードな歯列矯正の方法です。
ワイヤー矯正・ラビアル矯正とも呼びます。
歴史の長い治療法なのでほとんどの患者さんに対応可能で、歯並びだけでなく嚙み合わせも治療できます。
クリアブラケット装置
一般的な表側矯正の器具は金属でできていて、ワイヤーを通して歯に圧力をかけていきます。
歯の矯正をする際に見た目が気になるという方が多いですが、審美性を求めるのであれば白や透明のクリアブラケットを選択するとよいでしょう。
透明や白の器具は見た目だけの問題ではなく、金属を使用していないので金属アレルギーの方にも対応しています。
裏側矯正
(舌側矯正・リンガル矯正)
歯の裏側(舌側)に矯正器具をつけて、ワイヤーによって力を伝えていく歯列矯正の方法でリンガル矯正とも呼びます。
前から矯正器具が見えないのが最大のメリットで、歯の内側は唾液が溜まりやすいために虫歯の心配も少ないです。
歯の内側に矯正器具がついているので、最初は食べにくさを感じる方もいるようです。
ハーフリンガル・フルリンガル
裏側矯正を上下の歯に装着する治療を「フルリンガル」、上下どちらかのみに装着する治療を「ハーフリンガル」と呼びます。
表側矯正の方が費用が抑えられますので、他人の目が気になりやすい上の歯のみを裏側矯正のハーフリンガルにして、下の歯は表側矯正という方法もあります。
マウスピース矯正
1人1人にカスタムメイドで作成された透明のマウスピースを装着して、歯列矯正をしていきます。
透明なので目立ちにくく審美性が高いのがメリットです。
患者さん自身で取り外しが可能ですが、1日20時間以上マウスピースを装着する必要があります。
インビザライン
矯正に用いられるマウスピースには、多くの種類があります。
その中でもインビザラインとはアメリカのアライン・テクノロジー社が開発したマウスピースのひとつです。
治療実績の多いもので、アメリカやカナダでは70%以上がインビザラインを使用しているといわれています。
部分矯正
全体の歯並びや嚙み合わせを矯正するのではなく、部分的な歯列矯正も可能です。
2~3本からの部分矯正が可能で、ワイヤーを使用した矯正やマウスピース矯正など方法は選択可能です。
全体的な歯列矯正よりも費用を抑えられますし、治療期間も短くなります。
矯正器具を装着する本数も少ないので、違和感も少なく矯正できます。
歯列矯正の流れと費用
歯列矯正を希望して歯科医院に行ったとしても、すぐに器具を装着するわけではありません。
適切な処置をするための準備やメンテナンスなど、時間と手間がかかる治療です。
歯列矯正の主な流れはこのようになります。
- 初診・カウンセリング
- 精密検査・治療計画の作成
- 必要があれば虫歯の治療
- 矯正装置の装着
- 装着後の通院・調整
- リテーナーの保定処置
それぞれの過程においてかかる費用についても、ご説明します。
初診・カウンセリング
/0円~5,000円
初診では、30分~1時間程度の時間をかけてカウンセリングを行います。
歯並びや噛み合わせを相談し、どのような治療を求めているのか、また適切なのかを判断していきます。
歯科医院によっては費用が無料の場合もあります。
中にはネット予約をすれば無料という歯医者さんもありますので、予約の際は調べてみるといいでしょう。
精密検査・治療計画の作成
/30,000円~60,000円
歯列矯正の前に、正しく現状を把握するために検査を行います。
歯列矯正のための精密検査も保険適用外となり、検査内容によって費用は変わります。
歯列矯正のために行われる検査には、このような検査があります。
- レントゲン撮影
- 口腔内の写真撮影
- 口腔内診査
- 印象採得(歯の型取り)
- 頭部CT撮影
- MRI撮影(外科手術やインプラント治療が伴う場合)
データを集めたら、矯正治療の計画を立てていきます。
初診・カウンセリングと同様に、クリニックによっては0円という場合もあります。
必要があれば虫歯の治療
/2,000円~30,000円
もし虫歯があると、矯正器具の到着ができなかったり、装置の作成ができない場合があります。
そのため基本的には全ての虫歯の治療を終えてから、矯正をしていきます。
虫歯治療は保険適用になりますが、矯正のための抜歯が必要な場合は自己負担になります。
矯正中に虫歯ができてしまった場合には、矯正を中断させて虫歯治療を優先させる場合もあります。
矯正装置の装着
/60万円~150万円
矯正装置を作製し、装着するという段階からが、歯列矯正治療費となります。
装置に使う素材などによっても価格は変動しますので、選べるようであれば相談してみましょう。
装着後の通院・調整
/1,000円~10,000円
矯正装置を装着したら、月1回など定期的に通院する必要があります。
ワイヤーの調節をしたり、虫歯ができていないかなどの確認をしていきます。
毎回支払いをしていると費用がかさんでしまいますので、通院費用は歯列矯正治療費に含まれているクリニックもあります。
リテーナーの保定処置
/5,000円~6,000円
リテーナーとは、矯正完了後に歯並びが戻ってしまわないように使用する補助装置です。
必要なリテーナー器具や期間には個人差がありますので、定期的に通院して必要性を見極めます。
歯列矯正費用の料金表示
歯列矯正は総額100万円以上もの費用がかかる、高額な治療です。
料金の表示方法は2種類ありますので、ご紹介します。
- 治療費総額制(トータルフィー制)
- 処置別支払い制
治療費総額制(トータルフィー制)
歯列矯正にかかる費用の総額を提示する方法を治療費総額制、またはトータルフィー制といいます。
途中で装置が変わったり、期間が長引いても、通院回数が増えても、治療費は変わりません。
ただし予定より早く治療が終わった場合も、治療費は変わりません。
処置別支払い制
ひとつひとつの処置が完了するごとに支払いをするのが、処置別支払い制です。
治療期間が早く終われば、総額の治療費も安くなる料金表示方法です。
歯列矯正の支払い方法
歯列矯正の料金の支払い方法は、このような方法があります。
- デンタルローン
- クレジット分割払い
- 現金一括払い
- 歯科医院で分割払い
歯列矯正を始める前に、支払い方法についても考えておくとよいでしょう。
デンタルローン
デンタルローンとは、その名の通り歯科治療の支払いのみで使用できるローンです。
金利は年5.0%ほどで、他の融資サービスと比較すると良心的だといえるでしょう。
未成年はデンタルローンを組めませんので、親の名義にするか、承諾書が必要になります。
クレジット分割払い
普段お使いのクレジットカードの分割払いも使用可能です。
歯科医院でどの種類のクレジットカードが使えるのか確認しておくと安心です。
金利はクレジットカードにより異なりますが、高めになる場合もあります。
現金一括払い
歯科医院の窓口で現金で一括払いをしてしまう方法は、金利などの心配もなくシンプルな方法です。
手数料などもかかりませんので、1番費用を抑えられる支払い方法です。
歯科医院で分割払い
歯科医院独自に窓口で分割払いを受け付けてくれる場合もあります。
金利や分割手数料などは不要ですが、現金での支払いが基本となるでしょう。
歯列矯正の費用を抑える方法
歯列矯正の費用を抑える方法を2つ、お伝えします。
- 医療費控除
- モニターになる
医療費控除
医療費控除とは、年間に支払った医療費が一定額をこえた際に、所得控除を受けられるシステムです。
子供の歯列矯正や大人の咀嚼改善、発音障害などの治療ならば、医療費控除の対象になる可能性があります。
ただし審美目的の歯列矯正は、医療費控除の対象外となりますので注意してください。
モニターになる
歯列矯正のモニターとは、症例写真をホームページに掲載したり、アンケートに回答することで治療費が安くなるシステムです。
ホームページで顔出しが必要な場合や、名前の掲載、SNSアカウントでの口コミ投稿などが条件になる場合もあります。
ただしモニターは、どの歯科医院でも募集しているわけではありません。
さらに治療方法がクリニックの指定する方法しか選べなかったり、何らかの理由で矯正を中断する場合に費用がかかるなどのリスクもあります。
歯列矯正の費用は工夫できる
歯列矯正の費用は高額にはなりますが、細かい部分で工夫も可能です。
装置の素材などを相談して費用を抑える、支払い方法ではできるだけ金利の安い方法を選ぶなどです。
もちろん適切な治療が第一なので、まずはご自身の歯の状況と希望する仕上がりについて話合いましょう。