ワイヤー矯正は最も古くからある矯正方法で、適応できる症例も多いことで知られています。
信頼のおけるワイヤー矯正ですが
- 矯正にかかる料金はいくらなんだろう?
- 部分矯正になると安くなるの?
- 子供と大人では料金が違うの?
などのお悩みもよく耳にします。
結論、ワイヤー矯正の料金は、以下のようになります。
- 矯正方法や全体か部分か矯正の範囲によって異なる
- 矯正器具によって異なり、裏側矯正など目立たない方法は料金が高い
- 子供の矯正は顎の成長を考慮して行う場合、子供と大人の矯正とは料金が異なる
この記事では、ワイヤー矯正の相場料金、ワイヤー矯正の種類や子供と大人での料金の違いについて解説します。
ワイヤー矯正の種類と値段
ワイヤー矯正は適応できる症例が多く、自己管理が不要というメリットがあります。
それでは、ワイヤー矯正の種類と値段を紹介します。
主な種類は、以下の3つです。
表側矯正 | 歯の表側に装置をつける方法 |
裏側矯正 | 歯の裏側(舌側矯正)に矯正装置をつける方法 |
ハーフリンガル矯正 | 上の歯は裏側・下の歯は表側に矯正装置をつける方法 |
表側矯正
表側矯正は歯の表側にワイヤーを通す矯正方法です。
相場価格 | 期間の目安 | |
全体矯正 | 60万円〜130万円 | 1年〜3年 |
部分矯正 | 30万円〜60万円 | 2ヶ月〜1年 |
表側矯正は最もポピュラーな方法で、料金も他の方法と比べて低価格と言えます。
- メリット…発音をする際に影響が少なく滑舌にほぼ影響しない。
- デメリット…歯の表面にブラケットやワイヤーの矯正装置が見える。
裏側矯正
裏側矯正は歯の裏側にワイヤーを通す矯正方法です。
相場価格 | 期間の目安 | |
全体矯正 | 100万円〜170万円 | 2年〜3年 |
部分矯正 | 40万円〜70万円 | 5ヶ月〜1年 |
- メリット…口を開いてもワイヤーが目立たない。
- デメリット…施術が複雑で表側矯正よりも料金が高い/クリニックによっては取り扱いがない/滑舌に影響する可能性がある
ハーフリンガル矯正
ハーフリンガル矯正は表側矯正と裏側矯正を組み合わせた矯正方法です。
| 相場価格 | 期間の目安 |
全体矯正 | 80万円〜150万円 | 2年〜3年 |
部分矯正 | 35万円〜65万円 | 5ヶ月〜1年 |
上の歯は裏側矯正を施し、下の歯は表側矯正を施します。
両方の方法を組み合わせることで表側矯正と裏側矯正の欠点を相互に補います。
3種類の料金相場の比較
全体矯正(料金相場) | 部分矯正(料金相場) | |
表側矯正 | 60万円〜130万円 | 30万円〜60万円 |
裏側矯正 | 100万円〜170万円 | 40万円〜70万円 |
ハーフリンガル矯正 | 80万円〜150万円 | 35万円〜65万円 |
表側矯正が最も安い
表側矯正・裏側矯正・ハーフリンガル矯正の中で、料金相場が最も安いのは表側矯正です。
裏側矯正が最も相場が高い
裏側矯正が最も高い理由には次の点が挙げられます。
- 特殊な専門技術が必要(歯の裏側に矯正装置をつけるため)
- 矯正装置の製作が複雑
ハーフリンガル矯正は中間の価格
- 上の歯を裏側矯正
- 下の歯を表側矯正
ハーフリンガル矯正は上記のように上下を分けて、それぞれ上を裏側・下を表側で施術します。
そのため料金相場も中間帯の価格となります。
全体矯正か部分矯正か
ワイヤー矯正の種類は大きく分けて、全体矯正と部分矯正に分かれます。
- 全体矯正は歯の全体を矯正する施術
- 部分矯正は歯の一部を矯正する施術(前歯など気になる部分のみを矯正可能)
部分矯正のほうが歯を動かす範囲が狭くなるので、費用が安いというメリットがあります。
全体矯正よりも部分矯正の方が値段が安い
全体矯正は、歯並び全体を奥歯から矯正するため部分矯正よりも料金相場は高くなります。
前歯のみなど歯並びを部分的に整える部分矯正は動かす範囲が狭いぶん安価です。
ワイヤー矯正の料金相場の幅はなぜある?
ワイヤー矯正の料金相場に幅がある理由は、歯並びや噛み合わせの不具合といった症状の違いや治療に使う装置、治療期間などによって治療費が変わってくるからです。
公的医療保険が適用されない
ワイヤー矯正を含めて歯列矯正は、基本的に公的医療保険が適用されない自由診療です。
そのためクリニックごとに料金設定が異なります。
ワイヤー矯正の装置費用
- ワイヤー:歯をひも状に取り巻く装置
- ブラケット:ワイヤーを支える装置
ワイヤー矯正は、ワイヤーやブラケットという器具を使い、ワイヤーの張りを歯に少しずつ伝えて歯を動かす矯正方法です。
そのため、ワイヤー矯正は“ブラケット矯正”と呼ばれることもあります。
装置の価格
ワイヤー矯正の料金は矯正に用いられる装置の素材により異なります。
ワイヤーによる全体矯正に用いられる「ブラケット」「ワイヤー」の種類と特徴を料金相場を表にまとめました。
特徴 | 料金相場(全体矯正) | |
ホワイトワイヤー | 目立ちにくい | 10万円 |
メタルブラケット | ポピュラーな金属製のブラケット | 30万円〜80万円 |
ハイブリッドブラケット | 目立ちにくい・比較的安価 | 35万円〜80万円 |
プラスチックブラケット | 目立ちにくい・比較的安価 | 60万円〜90万円 |
ジルコニアブラケット | 美しく強度がある | 65万円〜100万円 |
セラミックブラケット | 歯の色合いに近い | 65万円〜100万円 |
それでは、項目ごとに見ていきましょう。
ホワイトワイヤー
金属製の一般的なワイヤーとは違い、ホワイトワイヤーは白くて目立ちにくいワイヤーです。
ホワイトワイヤーを使用する場合は各ブラケット矯正の費用に10万円程度をプラスした料金が相場と考えて下さい。
メタルブラケット(金属ブラケット)
最も古くからあるポピュラーな金属製のブラケットです。
- 料金相場30万~80万円程度
ハイブリッドブラケット(白いブラケット)
ハイブリッドブラケットは、プラスチック樹脂とセラミックを混ぜて固めたものです。
セラミックの白色が、歯の色になじみ目立ちにくいのが特徴です。
- 料金相場は35万~80万円程度
プラスチックブラケット(透明なブラケット)
プラスチックブラケットは、ポリウレタンやポリカーボネートを使った透明なブラケットです。
ブラケットが透明なので目立ちにくいのが特徴です。
- 料金相場は60万~90万円程度
ジルコニアブラケット(白いブラケット)
ジルコニアは人工ダイヤモンドと呼ばれ、強度が他のものと比べて勝ります。
「プラスチックブラケット」「セラミックブラケット」と比べて「ジルコニア」で作られた白色のブラケットは着色しにくいのが特徴です。
- 値段の相場は65万~100万円程度
セラミックブラケット(白いブラケット)
セラミックで作られた白色のブラケットです。
「ハイブリッドブラケット」「ジルコニアブラケット」と比べて「セラミックブラケット」は歯の色に近いので目立ちにくいのが特徴。
- 値段の相場は65万~100万円程度
その他の矯正方法「マウスピース矯正」との違い
これまで、最もポピュラーな矯正方法であったワイヤー矯正のほかに、マウスピース矯正というものもあります。
ここで、ワイヤー矯正とマウスピース矯正の違いをまとめた表を以下に記載します。
種類 | 取り外し | 自己管理の有無 |
ワイヤー矯正 | 取り外しできない | 自己管理不要 |
マウスピース矯正 | 取り外しできる | 自己管理が必要 |
ワイヤー矯正・マウスピース矯正のメリット・デメリット
上記表のように“取り外し”・“自己管理の有無”がそれぞれのメリット・デメリットとなっています。
ワイヤー矯正はマウスピース矯正と違い自分で取り外しができないのがデメリットです。
その一方、ワイヤー矯正は自分で管理する必要がなく、クリニックで施術してもらえばそのままにしておけることがメリットと言えます。(ただし、ブラッシングなどの虫歯・歯周病のケアは必要です)
そして、マウスピース矯正では症状の重い歯列異常には適用できないのに対して、ワイヤー矯正は幅広い範囲の症状に適用できるのが最大のメリットです。
ワイヤー矯正、大人の矯正と子供の矯正の料金は変わる?
大人と子供では矯正にかかる料金が変わります。
ここまでは、大人のワイヤー矯正の相場料金について述べて来ましたが、ここからは子供の相場料金について紹介します。
それによって、一般的に矯正は子供のうちに済ませておくのが善作であることがわかります。
子供の矯正は年齢によって3期に分かれる
子供の矯正では年齢によって治療の内容や方針が異なります。
子供の矯正は、3期(0期・1期・2期)に分けて矯正治療を行い、0期・1期の矯正では顎の成長を利用して顎の発達を正しく促す矯正を行います。
矯正時期(目安) | 矯正費用(目安) | 矯正期間(目安) |
0期矯正 3〜5歳ごろ | 3万〜10万 | 1年〜2年程度 |
1期矯正 6〜12歳ごろ | 20万〜30万 | 10ヶ月〜3年程度 |
2期矯正 13歳以降 | 30万〜100万 | 1年〜3年程度 |
中学生・高校生は大人の矯正
中学・高校生以上の子どものうち、永久歯が生えそろい顎の成長がほぼ完了している際には、大人と同様の矯正を行い料金も前述した大人の料金となります。
中学生・高校生でも顎の成長具合や歯並びによっては、あごの成長を待ち、成長が完了したころを見計らって歯科矯正をはじめなければならないケースもあります。
ワイヤー矯正に別途かかる値段の内訳
ワイヤー矯正には、前述してきた矯正装置以外にも検査費や調整費などの料金も必要です。
ワイヤー矯正に別途必要な料金の内訳は下記の通りです。
- カウンセリング:無料〜5,000円程度
- 精密検査:10,000円〜65,000円程度
- 診断料:10,000円~50,000円程度
- 虫歯・歯周病治療:1,500円〜10,000円程度/回
- 抜歯:5,000円〜15,000円程度/本
- 矯正装置:30万円〜170万円程度
- 保定装置料:10,000円〜60,000円程度
- 保定観察料:5,000円程度/回
それでは、各項目ごとにみていきましょう。
カウンセリング:無料〜5,000円程度
矯正の精密検査前のカウンセリングでは、自分の歯列の悩みを歯科医に相談し歯並びを見てもらいます。
そして医師から歯科矯正について説明を受けたり、矯正に関する質問をしかいに相談して、矯正をするか否かの判断をしてください。
精密検査:10,000円〜65,000円程度
精密検査は、以下の内容を行います。
- 問診:歯並びが悪いことでの不便や自覚症状などについて
- レントゲン撮影
- 歯型採得:3Dスキャナーまたは印象材を使った歯型取り
- 写真撮影:口腔内・顔貌
この他にも歯並びや顎の状態、むし歯や歯周病の有無などをチェックします。
診断料:10,000円~50,000円程度
精密検査の結果をもとに、歯科医による診断にかかる料金です。
診断では下記を決めていきます。
- 治療計画の立案:歯の動かし方をシミュレーション
- 治療方針の決定:どのように治療を進めていくかを決める
虫歯・歯周病治療:1,500円〜10,000円程度/回
精密検査で虫歯や歯周病が見つかった際には、原則として先に治療してから矯正を行います。
矯正専門クリニックの場合、別の一般歯科で虫歯や歯周病を治療します。
抜歯:5,000円〜15,000円程度/本
矯正では歯を動かすスペースを作るために抜歯を必要とする場合があります。
矯正専門のクリニックの場合は、別のクリニックで抜歯をしてもらわなければなりません。
矯正のための抜歯は原則自由診療です。
矯正装置:30万円〜170万円程度
前述しましたが、装置の種類や全体矯正か部分矯正かで値段は変わります。
全体矯正(料金相場) | 部分矯正(料金相場) | |
表側矯正 | 60万〜130万 | 30万〜60万 |
裏側矯正 | 100万〜170万 | 40万〜70万 |
ハーフリンガル矯正 | 80万〜150万 | 35万〜65万 |
調整料(3,000円〜10,000円程度/回)
調整料とは、矯正装置の装着後に装置の微調整にかかる料金です。
ワイヤー矯正では通院の度に調整を行います。
通院の頻度は、症状や患者さんのスケジュールによって異なりますが、おおむね1か月に1回程度とお考えください。
保定装置料:10,000円〜60,000円程度
歯科矯正では矯正治療完了後に、後戻り(整った歯並びがもとの位置に戻ってしまうこと)しないよう、リテーナーと呼ばれる保定装置をつけます。
保定とは整った歯並びを身体になじませるための期間です。
保定装置はいくつかの種類があり、クリニックや装置の種類によって料金が異なります。
保定観察料:5,000円程度/回
保定観察とは、保定期間中に歯並びや口の健康状態を定期的に歯科医にチェックしてもらうことです。
最初に提示される料金に含まれているトータルフィーシステムの場合と、観察の度に料金を支払う場合とがあります。
まとめ
ワイヤー矯正の料金は“矯正方法”や“矯正装置の種類”によって異なり、大人と子どもでも異なります。
また、検査料や診断料など装置以外にかかる料金もあり、基本的に自由診療のためクリニックごとに料金設定が異なります。
ワイヤー矯正の料金はカウンセリングの際にクリニックで確認することをおすすめします。