「通っている矯正歯科医院を変えたい」
このように、様々な事情で矯正治療の途中で転院を考えている人はいるのではないでしょうか?
歯列矯正を検討している方も、途中で矯正歯科を変えることができるのか気になりますよね。
そこで今回は、矯正歯科の転院について解説します。
結論として、矯正歯科の転院は可能ですが、デメリットもいくつかあるので、しっかり理解したうえで転院を検討する必要があります。
転院が必要なケースやそれに伴うメリット・デメリットを詳しくまとめたのでご覧ください。
他にも、矯正歯科医院を選ぶ際の注意点についても説明しますので、満足のいく治療を受けるためにも今回解説する内容をご覧になっていただきたいと思います。
矯正歯科の転院は可能か?
様々な理由から「矯正歯科医院を変えたい」というケースは意外と多く、基本的に転院は可能です。
その場合の転院先の選択肢として、
- 系列の歯科医院
- 提携している歯科医院
- それ以外の歯科医院
上記が考えられます。
転院先については、通っている歯科医院で紹介してもらえることもありますが、そうでない場合は自分で転院先を探す必要があります。
矯正歯科を転院する場合の流れ
矯正歯科を変えることになった場合、転院先での治療を受ける前に、
- 転院先を見つける
- 転院先への紹介状や資料を準備してもらう
- 治療の中断
- 矯正装置の撤去
基本的にはこのような段階を踏みます。
矯正治療を中断して転院先で矯正を受ける場合、診断書やこれまでの治療の流れなどの資料が必要となるので、今まで通っていた医師へ相談するようにしましょう。
資料の準備に時間がかかることも考えられるので、転院するとが決まったら、早めにこれまでの医院に連絡して、転院の準備を進めておくのがおすすめです。
矯正歯科を変える理由
患者さんの事情で転院して治療を受けられる歯列矯正ですが、どのような場合に矯正歯科の転院を考えるのでしょうか?
患者さんが矯正歯科を変える理由として多いものを紹介します。
矯正歯科を選ぶ際の参考にもなりますので、ぜひチェックしてみてくださいね。
転勤・引っ越しをする
矯正歯科を変える理由として多いのは、転勤や引っ越しなどでこれまで通っていた矯正歯科医院に通えなくなり、やむ終えず転院するケースです。
転居先から今までの医院に通院が可能であれば、これまでと同じ医院で治療を受けるのがベストです。
しかし、同じ医院に通院できない場合は、転居先の医院に紹介状や資料を持参または郵送して、転院手続きを行い、治療を引き継ぎます。
遠距離で通いづらい
歯列矯正は、矯正装置を交換しながら少しずつ歯列や傾きを変えていくのですが、医師が処置しなければならないため、治療期間中は定期的に通院する必要があります。
歯列矯正の治療期間は長期に渡るものなので、通っている歯科医院が遠方だった場合、最初の頃は通院できていても、だんだん行くのが億劫に感じてしまい、近くの矯正治療が受けられる歯科医院に転院することを考える人もいます。
矯正歯科医院が合わない・不満がある
矯正治療は医師の技術力や経験で結果に差がつくと言われています。
矯正治療を成功させるためには、歯科医師が歯並びや噛み合わせを把握し、綿密な治療計画が大切です。
しかし、中には、
- 精密検査をしっかり行わずに治療を始める
- 医師に技術力がなく歯並びが改善しない
- 医師の対応に問題がある
上記のような問題があります。
その場合に患者さんが不信感を感じ、より効果が期待できる他の矯正歯科医院への転院を決める人もいます。
矯正歯科を転院するのは良いことなのか?
先ほど紹介しましたように、矯正歯科医院を変えることは可能で、実際に様々な理由で転院する人がいます。
ですが、矯正の途中で転院することにはメリット・デメリットがあるため、後悔しないためにはしっかり理解しておく必要があるのです。
矯正歯科を転院するメリット
矯正歯科を転院する場合、今まで通っていた医院に対して不満に感じていた人にとっては大きなメリットがあります。
転院することで得られるメリットを紹介するのでご覧ください。
メリット①自分の希望にあった医院に通える
今まで通っていた矯正歯科医院との相性が悪かったり、治療方法に満足していなかったりしたことで転院を決めたケースでは、転院することで満足のいく治療を受けられる可能性があります。
その場合、同じような失敗をしないためにも転院先の矯正歯科医院が自分が希望するものに合っているのか、医師との信頼関係がきちんと築いていけそうなのかを見極めることが必要です。
メリット②矯正治療がうまくいく可能性がある
矯正治療は資格さえあれば誰でも治療が行えるため、歯科医師によって実力に差が出ます。
今まで通っていた矯正歯科医院でしっかりとした診断・治療計画ができていなかった場合、歯並びが改善できないケースも考えられるので、実績のある歯科医師のいる医院に通うことで治療がうまくいく可能性が高くなるでしょう。
メリット③通いやすくなる
遠距離で通いづらいことが理由で転院する場合、自分の生活圏内にある矯正歯科医院を選べば、通院の不便さが解消されます。
自宅から近ければ何か問題があった時にすぐに対処してもらえますし、最後まで通い続けやすくなるでしょう。
矯正歯科を転院するデメリット
メリットがある一方で、矯正歯科医院を途中で変えることにはデメリットの方が多いのです。
特に、治療期間や費用面でのリスクが高いため、「転院しない方が良い」と感じる人がいるかもしれません。
これから紹介するデメリットをよく確認して、メリットと比較してみてください。
デメリット①治療方針が大きく変わるケースがある
歯列矯正というのは、歯科医院によって治療方式や治療方針が違ってきます。
転院先の歯科医院がこれまで治療を受けていた医院と同じ方針であるとは限らないため、もし違っていれば最初からやり直しになり、治療方針がこれまでと大きく変わるケースも考えられるのです。
それにより治療期間や治療費などにも影響が出る場合もあるでしょう。
デメリット②装置を作り直さなけらばならないケースがある
矯正装置には様々な種類があるため、矯正治療の途中で転院した場合、転院先と今まで通っていた医院とで使用していた装置が異なっていたり、治療方針の違いによって装置に変更が出たりすることもあります。
その場合、矯正装置を改めて作り直す必要があり、治療が進まないばかりか費用も再びかかることになるでしょう。
デメリット③転院先が見つからない可能性がある
今まで通っていた矯正治療を中断し、すぐに転院先が見つかって治療を進めることができればよいのですが、通える場所になかったり、希望する方法や方針で治療できる転院先が見つからなかったりすることもあり得ます。
特に、難症例と言われている症例などでは、治療可能な医院が限られてきますので、転院せずにこれまでと同じ矯正歯科医院に通ったほうが良い場合もあるでしょう。
デメリット④治療期間が長くなる
転院先がすぐに見つからなかったり、転院先での検査や診療、治療計画の立て直しが必要になったりすると、その期間は治療が進まず、予定していたよりも治療が長引いてしまう可能性は大いにあるでしょう。
治療までの期間が長くあいてしまうと、歯が後戻りを起こす可能性があり、そうすると歯並びが悪化したり、戻ってしまったところから治療のやり直しになったりします。
その場合、さらに治療期間が長くなるなどの悪循環に陥る場合があるのです。
デメリット⑤治療費がかさむ
転院すると、検査や診断を改めて行い、治療方針を立て直すのが一般的ですので、同じ治療法だとしても重ねて費用がかかる可能性が高いです。
また、医院によって料金体系も異なるため、一つの医院で最後まで治療を受けるよりも費用がかかってしまうと考えておいた方が良いでしょう。
矯正歯科の転院に関する疑問
矯正治療を途中で変える場合のメリットやデメリットを解説しましたが、転院を考えている方は他にも気になる点は多いのではないでしょうか。
そこで、矯正歯科の転院に関して寄せられる疑問について紹介します。
転院する場合に治療費は返金されるのか
矯正歯科医院の転院を検討している方が気になるのは、今まで通っていた歯科医院にかかっていた治療費についてではないかと思います。
基本的にお金がかかるのはそれまで歯科医院で進めていた分の治療費となり、まだ治療していない分は返金となるのが一般的です。
具体的な返金金額の割合はその矯正歯科医院によって異なりますので、しっかり確認すると良いでしょう。
日本臨床矯正歯科医会では、以下のような規定を設けているので参考にしてください。
治療のステップ | 返金額の目安 |
---|---|
全歯の整列 | 60~70%程度 |
犬歯の移動 | 40~60%程度 |
前歯の空隙閉鎖 | 30~40%程度 |
仕上げ | 20~30%程度 |
保定 | 0~5%程度 |
矯正を途中でやめるとどうなる?
矯正治療を中断し、転院先が見つからなかったり通わなくなったりすると起こるリスクは以下の通りです。
- 歯並びが治らない
- 歯が後戻りする
- 虫歯や歯周病のリスクが高まる
- 高額な治療費が無駄になる
歯並びが改善しないばかりか、高額な治療費や治療期間が無駄になってしまうので、治療を開始したら最後まで治療を受けるようにしましょう。
保定期間中に転居する場合は転院が必要?
歯列矯正では一般的に治療後の後戻りを防ぐため、治療を終えた後は歯が戻らないようにしっかりと固定する保定期間と呼ばれる期間を設けています。
この保定期間中に引っ越しや転勤などの理由で通っている歯科医院に通えなくなった場合でも、転院先を決めておくことがベストです。
矯正治療が終わったからといって保定期間中に装着するリテーナーを付けるのをやめたり、通院するのをやめたりしてしまうと、せっかくの矯正が無駄に終わってしまう可能性があるので注意しましょう。
保定装置であるリテーナーが転院先では使えないということがあり、その際はリテーナーを一から制作する場合もあります。
矯正歯科を選ぶ際の注意点
矯正治療は出来るだけ一つの矯正歯科医院で完結するのが良いので、医院は慎重に選ぶ必要があります。
そこで、矯正歯科を選ぶときの注意点を説明します。
今通っている医院からの転院を考えている方も、転院先で同じような問題に直面しないためにもぜひご確認ください。
信頼できる医師がいるか確認する
矯正治療はゴールに向けて患者さんと医師が二人三脚で進めていくものなので、医師との信頼関係が何より大切です。
- 検査や説明が丁寧か
- 矯正治療のメリットやデメリットを明確にしてくれるか
- 治療計画がしっかりしているか
- 矯正歯科の症例実績が多数ある
上記の項目をチェックし、最後まで通院を続けられるかを確認しましょう。
通いやすいか確認する
歯列矯正は、最後まで治療を終えなければ効果がありませんので、自身が通いやすい医療機関で治療を受けましょう。
自宅や職場からの距離を考えるのはもちろん、自分自身が通いやすい曜日や時間帯に診療を受けられるかどうかもチェックしておくと良いでしょう。
開始時期と終了時期の目安を確認する
矯正治療は全体矯正の場合、1〜3年程度の期間を必要とします。
学生さんの場合は進学や留学、大人の場合は結婚や出産、転勤など、様々な状況から矯正治療を中断もしくは転院せざるを得ない可能性もあるということを考慮しなければなりません。
ですから、現在だけではなく、数年後のライフプランを考え、環境の変化がある可能性があるかも踏まえたうえで治療を検討しましょう。
歯科医院を変えるのはリスクがあることを理解しよう
歯列矯正というのは、治療開始前に綿密な治療計画を練って、それに沿って治療が行われることから、転院すると治療費がかかる・治療期間が長くなるなどのデメリットが生じるため、基本的には一つの矯正歯科で完結するのがおすすめです。
ですが、どうしても転院しなければならない事情をお持ちの方は多いでしょう。
転院のメリット・デメリットを考慮したうえで、やむ終えず転院する場合は、転院までの流れや転院先の選び方を知っておくとスムーズに進めることができますので、今回紹介した内容を参考にしていただけたらと思います。
途中で矯正治療をやめてしまったり、中断期間が長かったりすると、いつまで経っても歯並びや噛み合わせが改善しませんので、ぜひ最後まで治療を受けていただきたいです。