歯列矯正の方法のひとつであるマウスピース矯正は、5ヶ月~2年程度の時間がかかるといわれています。
あくまでもこちらは目安の期間であり、お口の状況や矯正の進み具合によって、期間は変動します。
いくらマウスピース矯正が審美性に優れていても、矯正する期間は短い方が良いと考える方が多いでしょう。
出っ歯やすきっぱ、八重歯などのお悩み別の状況による期間の目安や、マウスピース矯正を長引かせないためのコツをまとめました。
マウスピース矯正にかかる期間
マウスピースを使った歯列矯正は、どのくらいの時間がかかるのでしょうか。
歯列矯正の方法を検討する際に、治療期間をきちんと把握しておきたい方は多いはずです。
マウスピース矯正の期間や来院回数など、目安となる期間についてご紹介します。
- マウスピース矯正の期間
- マウスピース矯正の来院回数
- マウスピースの使用枚数
- リテーナーの期間
マウスピース矯正の期間
マウスピースを装着する期間は、5ヶ月~2年程度が目安となります。
部分的に矯正をするのか、全体的に矯正するのか、など内容によって期間は異なります。
矯正方法 | 矯正期間 |
---|---|
部分矯正 | 約6ヶ月 |
全体矯正 | 約2年 |
マウスピースを装着する期間は、歯を動かして矯正をする時間です。
この時間で噛み合わせや歯並びを矯正し、理想的な歯に近づけていきます。
マウスピース矯正の来院回数
マウスピース矯正をする場合、不具合がなくても定期的にクリニックに通う必要があります。
治療方針を決めたり、マウスピースが完成するまでは、都度来院が必要ですが、マウスピースを受け取ってからは
2~3ヶ月に1回が目安のペースとなります。
矯正中にクリニックでは、以下のような内容を確認しています。
- 正しく歯が動いているか
- マウスピースに不具合はないか
- マウスピースの交換の確認
- 虫歯などの口腔トラブルがないか
痛みがない、順調に感じている、という場合には、億劫に感じてしまうかもしれませんが、大切な時間です。
仕事や学校の都合で、多少前後させても問題ありませんので、必ず通うようにしましょう。
マウスピースの使用枚数
マウスピース矯正の場合は、約10日ごとに新しいマウスピースを装着します。
少しづつ形が違っていて、最後のマウスピースが理想的な歯並びの形になっています。
こちらも状況により異なりますが、目安としては30~40枚程度です。
矯正期間が長くなれば、使用するマウスピースの枚数も増えていきます。
リテーナーの期間
リテーナーとは、矯正した歯を保定する期間に使用する装置です。
マウスピースで矯正が終わっても、歯並びを固定させるために必要な期間となります。
リテーナーの期間は、矯正期間と同等の期間が必要だといわれています。
矯正に1年かかった場合は、リテーナーも1年間が目安です。
リテーナーを正しく使用しないと、せっかく綺麗になった歯も後戻りをしてしまうかもしれません。
「マウスピース矯正+リテーナー」を合わせた期間が、全ての治療にかかる時間となりますので、覚えておきましょう。
インビザラインとは
インビザラインとは、マウスピースの種類のひとつです。
マウスピース矯正=インビザライン矯正ではありません。
アメリカのアライン・テクノロジー社のマウスピースで、歯型を採取するのは最初の1回のみという特徴があります。
全世界のデータがあるので精度が高く、日本でも導入しているクリニックが多いマウスピース矯正です。
日本国内でもインビザラインの知名度は高く、人気も集まっています。
悩み別のマウスピース矯正の期間
出っ歯やすきっぱ、八重歯などの叢生の矯正も、マウスピースでできます。
お悩みごとのマウスピース矯正の期間について、くわしくご説明します。
- 出っ歯の矯正期間
- すきっぱの矯正期間
- 八重歯など叢生(そうせい)の矯正期間
出っ歯の矯正期間
出っ歯(上顎前突)をマウスピースで矯正するには、だいたい7ヶ月~2年かかります。
前歯は見た目的にも気になるだけでなく、滑舌や咀嚼にも影響します。
出っ歯になってしまう理由は、遺伝によるものや、指しゃぶりなどの習慣によるものがあります。
どちらの場合もマウスピースで矯正が可能です。
すきっぱの矯正期間
すきっぱ(空隙歯列)をマウスピースで矯正するには、3ヶ月~1年かかります。
歯と顎のサイズが合わない場合や、歯が少ない、歯が小さいなどの理由で、すきっぱになってしまいます。
すきっぱは見た目だけの問題ではなく、歯周病や虫歯になりやすかったり、空気が漏れるので発音に影響したりします。
マウスピース矯正で、数ヶ月で治療できるケースもあります。
八重歯などの叢生の矯正期間
叢生(そうせい)とは、歯がねじれたり、重なってしまう症状で、八重歯も叢生の種類のひとつです。
前歯などのねじれも同じ種類となり、目安の期間は3ヶ月~2年間です。
顎が小さくて歯が生えるスペースがないと叢生の原因となります。
遺伝や軟食化によって、現代人は顎が小さくなっていますが、歯の大きさは変化しませんので歯並びに影響してしまいます。
見た目や虫歯等のリスク、噛み合わせの問題などが出てきてしまいます。
矯正1ヶ月での変化
歯列矯正で歯が移動するのは、1ヶ月に0.3mm~1mm程度だといわれています。
個人差がありますが、新陳代謝が良い人や噛み癖などのない人は、比較的早く歯が動きます。
逆に、舌や口腔内の悪習慣があったり、歯科医の腕によって、矯正に時間がかかったりします。
強い力をかけすぎると、歯根が弱ったり、痛みを感じたりしてしまいますので、適度な力で少しづつ歯を移動させていきます。
大人と子どもの矯正期間の違い
年齢によっても、歯の移動する速度に違いがあります。
子どもは大人よりも顎が柔らかいので、矯正が早く終わる場合が多いです。
子どもの成長過程を利用して歯列矯正をすると、この先に生えてくる永久歯の歯並びを整えるという治療法も可能です。
子どものマウスピース矯正は、痛みを抑えた矯正でありながら、口の周りの筋肉を鍛えたりという効果も期待できます。
ワイヤー矯正との比較
歯列矯正の方法として、マウスピース矯正ではなく、ワイヤー矯正という選択肢もあります。
矯正期間はさほど変わりませんが、本人の使用感には大きな違いがあります。
- ワイヤー矯正とマウスピース矯正
- ワイヤー矯正がおすすめの人
- マウスピース矯正がおすすめの人
- 双方を併用する矯正方法
ワイヤー矯正とマウスピース矯正を、比較してみました。
ワイヤー矯正とマウスピース矯正
ワイヤー矯正 | マウスピース矯正 | |
---|---|---|
矯正期間 | 6ヶ月~2年半ほど | 5ヶ月~2年ほど |
痛み | 装着直後は痛む場合も | 少ない |
審美性 | 表面だと目立つ | 目立ちにくい |
食事 | 慣れるまで食べにくい | 問題なし |
歯磨き | しにくい | 問題なし |
虫歯リスク | 高い | 今まで通り |
発音 | しにくい | 多少しにくい |
自己管理 | 不要 | 20時間装着 お手入れ |
ワイヤー矯正がおすすめの人
ワイヤー矯正は、表側矯正の場合は見た目が気になる方もいるかもしれませんが、裏側にワイヤーをつける方法もあります。
取り外しができないので、最初は食事や歯磨きでストレスを感じるかもしれません。
- 取り外しの自己管理に自信がない
- 矯正中の見た目が気にならない
- 食事や歯磨きで違和感があっても対応できる
ワイヤー矯正は取り外しができないので、装着時間を自己管理する自信がない人や、マウスピースのお手入れが面倒だと感じる方に向いているといえるでしょう。
マウスピース矯正がおすすめの人
マウスピース矯正は、取り外しが可能なので自己管理が大切です。
痛みも少なく、食事や歯磨きでの違和感もないので、ストレスが少なく歯列矯正をスタートさせられるでしょう。
- 審美性に優れた矯正を選びたい
- 痛みが少ない方がいい
- 生活習慣を変えたくない
- 自己管理ができる
- 外食や会食の機会が少ない
- 金属アレルギーがある
マウスピース矯正は、メリットの多い矯正方法だとわかります。
双方を併用する矯正方法
マウスピース矯正でも叢生や出っ歯などの歯並びの矯正も可能ですが、ワイヤー矯正の方が症例数がはるかに多いのが事実です。
そのため、歯根の移動が大きいケースや、マウスピースが合わずに歯が歯茎に沈んでしまった場合などにワイヤー矯正と併用したりもします。
ワイヤー矯正と併用すると、難しいケースにも対応できるようになります。
状況によって判断されますので、主治医と相談するようにしてください。
マウスピース矯正を長引かせないために
マウスピース矯正は、早く終わる人がいる一方、長引いてしまう人もいます。
できるだけ早く治療を終わらせるために、注意した方がいいポイントがあります。
- マウスピースの装着時間を守る
- 丁寧に使用・管理する
- 口腔ケアを徹底する
- 交換頻度を守る
- 信頼できる医師を選ぶ
- 定期的にクリニックに通う
マウスピース矯正は、自己管理も治療期間に関わってきます。
ひとつづつ、ポイントをチェックしていきましょう。
マウスピースの装着時間を守る
マウスピース矯正は、1日に20時間以上、マウスピースを装着します。
自分で取りはずしができますので、ついつい外したくなってしまうかもしれませんが、決められた装着時間を守らなくてはいけません。
食事と歯磨きの時間以外は、マウスピースをつけている状態になります。
矯正期間が長くなると、なんとなく自己判断でつけなくてもいいような気がしてしまうかもしれませんが、勝手に装着時間を変更してはいけません。
丁寧に使用・管理する
マウスピースを外食中に外して紛失させてしまったり、扱いが雑になり破損させてしまうというケースもあります。
食後は歯磨きをしてからマウスピースを装着するなど、汚れがつかないように注意しましょう。
丁寧に使用するのはもちろん、毎日のお手入れも欠かせません。
適切な洗浄剤を使用するなどして、毎日清潔に保ちましょう。
口腔ケアを徹底する
普段から歯磨きは欠かせませんが、マウスピース矯正をしている期間は特に虫歯を作らないように注意しましょう。
虫歯や歯周病のトラブルがあると、矯正を中断して治療を優先させたり、マウスピースの作り直しが必要になる場合もあります。
結果的に矯正期間が長引いてしまいますので、虫歯や歯周病を作らないのが矯正の最短ルートとなります。
交換頻度を守る
マウスピースの交換のペースを守っていくと、最後のマウスピースが矯正終わりになります。
交換のペースが合わないと、マウスピースが入らなくなったり、浮いたりしてしまうかもしれません。
マウスピースが入らなくなると、矯正のペースが乱れてきているかもしれません。
正しく装着し、決められた交換時期を守って、過ごしましょう。
信頼できる医師を選ぶ
マウスピース矯正をする際には、
経験豊富な専門医がいるクリニックを選びましょう。
医師をきちんと選ばないと、歯並びが綺麗にならなかった、予定外の費用がかかってしまった、などのトラブルにあってしまうかもしれません。
歯列矯正をする時の、医師やクリニックの選び方のポイントはこちらです。
- 日本矯正歯科学会の認定医がいる
- 矯正方法の取り扱いが豊富
- メリットだけでなくデメリットも説明してくれる
- 費用をきちんと説明してくれる
- 通いやすい立地にあるか
- 自分自身が信頼できる医師だと思えるか
クリニックを選ぶ上での重要なポイント
日本矯正歯科学会の認定医であれば、矯正の専門的な知識を持っている医師だとわかりますので参考にしてみましょう。
歯医者さんのホームページではなく、日本矯正歯科学会のホームページから検索できます。
矯正方法は、マウスピース矯正の取り扱いだけでなく、ワイヤー矯正など選べる方法が多いクリニックの方が選択肢が広がります。
口の中の状態や希望に合わせて、最善の治療方法を選んでいけるでしょう。
周囲の評判も大切ですが、自分自身が信頼できる先生だと思えるか、というのも重要です。
歯列矯正は数年かけて行う治療なので、長く付き合っていける先生を選びましょう。
定期的にクリニックに通う
マウスピース矯正は、痛みや不具合がなくてもクリニックに通院する必要があります。
自己判断でやめたりせずに、きちんと通うのが、スムーズに矯正を終わらせるポイントのひとつになります。
矯正を早く終わらせよう
マウスピース矯正は、5ヶ月~2年という目安期間があります。
しかし装着方法を正しく守る、ケアをしていく、など努力次第で矯正期間を短縮できるかもしれません。
逆に矯正期間が長引いてしまうケースもありますので、自己管理が大切です。
リテーナーが終わるまでが、歯列矯正の一連の流れになりますので、最後まで気を抜かずに取り組んでいきましょう。