芸能人のような白く美しい歯は、セラミック矯正で実現させられます。
一般的な歯列矯正よりも短期間で治療が終わりますので、メリットを感じる方も多いでしょう。
セラミック矯正とは、どのような治療法なのでしょうか。
メリットだけでなく、デメリットや失敗例もありますので、双方を正しく理解しなくてはいけません。
本当にセラミック矯正が適切な治療法なのか、しっかりと考えていきましょう。
セラミック矯正とは
セラミック矯正は、どのような治療法なのでしょうか。
歯列矯正との違いや、セラミック矯正の流れについて、ご説明します。
- セラミック矯正という治療法
- 歯列矯正との違い
- セラミック治療の流れ
まずはセラミック矯正について、正しく理解しましょう。
セラミック矯正という治療法
セラミック矯正とは、セラミックという素材でできた被せ物を歯に被せ、歯並びや形を整える治療です。
セラミックの被せ物をつけるために、自分の歯を削る必要がありますが、短期間で形や色、歯並びなどを希望通りに整えられます。
セラミックは、変形や変色などの問題も起きにくく、長期間利用できる優れた材質です。
歯列矯正との違い
歯列矯正は、自分の歯を移動させて歯並びを改善させる治療です。
歯列矯正とセラミック矯正の最大の違いは、セラミック矯正は自分の歯を移動させない方法だという点です。
歯列矯正ではワイヤーが見えるのが気になったり、数年という時間がかかるのがデメリットです。
しかしセラミック矯正は、歯を動かさないので短期間で治療が終わります。
歯列矯正をしてから、色や形を整えるためにセラミック矯正をする患者さんもいらっしゃいます。
セラミック矯正は厳密にいうと、歯列矯正とは違う物だと覚えておいてください。
セラミック治療の流れ
セラミック治療の流れについて、ご説明します。
- カウンセリング
- 検査や治療
- 土台&仮歯を作る
- 仮歯の装着
- セラミックの歯を装着する
まずはカウンセリングをして、悩みや希望を把握していきます。
土台作りは、歯を削ってセラミックを被せられる状態にしていきます。
歯並びの修正の必要がある場合は、最終的に歯並びがよくなるように、土台の向きを調整する場合もあります。
1~2週間は仮歯で過ごし、最終的なセラミックを被せたら完成です。
セラミック矯正のメリット
セラミック矯正のメリットはこちらのような点が挙げられます。
- 短期間で治療がおわる
- デザインを考慮できる
- 治療中の見た目が気にならない
- 仮歯で完成形の形が確認できる
- 1本から治療が可能
- 歯列矯正より費用が安い
- 後戻りの心配がない
- 金属アレルギーの心配がない
短期間で治療が終わる
歯列矯正は2~3年など、数年の時間がかかります。
セラミック矯正の場合は1~2ヶ月が目安となり、短期間で治療が終わるのが魅力のひとつです。
先述した通り、セラミック矯正は歯を動かさない治療なので、期間は短くなります。
セラミックの被せ物が完成するのに1~2週間の時間がかかり、早い方は1ヶ月程度で終わります。
結婚式など人生の大きなイベントの前に、セラミック矯正を検討される方もいます。
デザインを考慮できる
セラミック矯正では被せ物を作りますので、細かくデザインを希望できます。
歯の色や形、大きさや歯の角度など、歯並びを矯正するだけでは叶わない希望も叶えられます。
より自然な歯に近づけるためにグラデーションをつけて透明感を出したり、生え際の歯茎のラインを調節したりと細かい希望も表現できます。
治療中の見た目が気にならない
歯列矯正のようにマウスピースやワイヤーをつける必要がありません。
そのため見た目が気にならない、仕事にも支障がでない、というメリットもあります。
審美的な理由だけでなく、食事中の違和感もありませんし、活舌が気になることもありません。
仮歯で完成形の確認ができる
セラミックが完成するまでの仮歯で、完成形が確認できます。
そのため安心して治療に取り組めますし、希望した通りの歯に仕上げられます。
1本から治療が可能
セラミック矯正は、前歯だけ、1本だけ、など部分的な悩みにもピンポイントで応えられる治療法です。
特に前歯は他人からの目も気になる部分で、前歯だけでも治したいと考えている方も多いです。
セラミック矯正で被せるのは、1本で被せる「単冠」とブリッジのように被せる「連冠」があります。
1本単位で対応可能なので、歯の隙間が気になる部分や、1本だけ並びが外れてしまっているような場合には、セラミック矯正が向いているかもしれません。
歯列矯正より費用が安い
セラミック矯正も保険適用外の治療となるために高額となりますが、歯列矯正と比べると費用は抑えられるでしょう。
通院回数が少ないのも、費用が安くなる理由のひとつです。
条件が合えばセラミックも保険適用となる場合もありますので、ケースによってかかる費用は違ってきます。
ハイブリッドセラミックという種類のものが保険適用になる可能性がありますので、費用の面について気になる方は、条件が合うか医師に相談してください。
後戻りの心配がない
歯列矯正は時間をかけて自分の歯を動かしていきますので、治療後に歯並びが戻ってしまう「後戻り」の心配があります。
リテーナーという保定装置を使ったりして、歯並びを固定する時間も必要になってきます。
セラミック矯正であれば、後戻りの心配はありません。
金属アレルギーの心配がない
オールセラミックのように金属を一切使用していないタイプであれば、金属アレルギーの方も安心して使用できます。
日本では銀歯は保険適用の治療のため一般的ですが、ドイツなど金属が体に影響を与えるとして使用が禁止されている国もあります。
そういう点では、セラミック矯正は金属アレルギーのある方でも、ない方でも、安心して取り組める治療だといえるでしょう。
セラミック矯正のデメリット
セラミック矯正にはメリットが多くある反面、デメリットも存在します。
セラミック矯正のデメリットは、こちらです。
- 自分の歯を削る
- 歯が弱くなる
- 場合によっては抜髄する
- 噛み合わせの解決にはならない
- 後に痛みを感じる場合も
- 見た目が馴染まない場合も
- 定期的なメンテナンスが必要
自分の歯を削る
セラミック矯正の大きなリスクのひとつとして、健康な自分の歯を削る必要があるということです。
健康な歯の表面を削ってセラミックを被せますので、治療を始める際には将来的なリスクも理解しておかなければいけません。
1度自分の歯を削ってしまうと、どんなに大金をつぎ込んでも元には戻せません。
歯を削ってしまうのが不安な方は、ホワイトニングやラミネートべニアなどの審美歯科も視野にいれて検討してみましょう。
場合によっては抜髄する
歯を削る必要のあるセラミック矯正では、出っ歯などが理由で神経を抜かなくてはいけない場合もあります。
大きく歯を削る場合に神経を抜くことになります。
神経を抜いてしまうと歯に栄養が行き届かなくなって、歯がもろくなっていきます。
神経を抜いた歯は、将来的に歯を抜かなくてはいけなくなる可能性が高くなります。
大切な自分の歯の神経を抜くという決断は、慎重にするべきです。
噛み合わせの解決にはならない
セラミック矯正は、歯を動かして歯列矯正をするように噛み合わせを治すものではありません。
見た目は綺麗になっているかもしれませんが、根本的な歯並びを修正しているわけではないのです。
本来の歯の向きとは違う向きに力がかかるので歯が割れたり、根元でトラブルが起きたりするかもしれません。
上下のどちらかだけをセラミック矯正する場合にも、噛み合わせをきちんと整えるようにしましょう。
後に痛みを感じる場合も
神経近くまで治療をした場合、噛んだ力で痛みを感じるケースもあります。
歯とセラミックの当たり方がうまくはまっておらずに痛みを感じる場合には、これを放置してしまうと歯肉炎や歯周病などの原因になるかもしれません。
セラミックの被せ物をした直後は、高さに違和感があったり、食事をしたときに痛みを感じる場合もあります。
さらに被せ物を装着した際に隙間が残っていると虫歯になりやすく、虫歯の痛みというケースも考えられます。
見た目が馴染まない場合も
審美的な目的でセラミック矯正をしたのに、周囲の歯とうまく馴染まずに浮いてしまうというケースもあります。
中には、セラミック矯正と合わせてホワイトニングをする方もいます。
最終的な理想が明確な方は、どこまでの治療が必要か理解してからスタートさせましょう。
ホワイトニングは考えておらず数本のみセラミック矯正をする場合は、周りの歯とのバランス考えたカラーを選択しましょう。
定期的なメンテナンスが不可欠
セラミックの被せ物には寿命があり、10年~20年が目安になるといわれています。
虫歯や歯周病など基本的な口腔ケアも欠かせませんので、定期健診には必ず行くようにしましょう。
特に歯ぎしりの癖がある方、硬い物を好んで食べる方は注意しましょう。
被せ物が壊れてしまった場合には、再度治療が必要となり、時間とお金がかかってしまいます。
セラミックの種類と費用
セラミック矯正で被せ物に用いるセラミックには、種類があります。
5種類のセラミックの種類と費用はこちらです。
セラミックの種類 | 特徴 | 目安費用(1本) |
---|---|---|
ジルコニアセラミック | 審美性が高い | 8~13万円 |
ハイブリッドセラミック | 柔らかい レジンが混ざってる 劣化・変色しやすい | 4~12万円 ※保険適用 |
オーラルセラミック | 100%セラミック 自然な白さ | 10~15万円 |
メタルボンド | 内側が金属 壊れにくい | 5~15万円 |
ラミネートべニア | 歯の表面だけ削る 薄くセラミックを貼る | 4~13万円 |
- ジルコニアセラミック
- ハイブリッドセラミック
- オーラルセラミック
- メタルボンド
- ラミネートべニア
それぞれの特徴について、詳しくご紹介します。
ジルコニアセラミック
見た目の美しさを追求したいのであれば、ジルコニアセラミックがおすすめです。
ジルコニアというセラミックは、人工ダイヤモンドや人工関節にも用いられています。
耐久性もあって壊れにくいですし、時間が経過しても変色しにくく美しさを保てるのが魅力です。
しかし費用が高くなってしまいますので、本数や予算を考えて選択しましょう。
ハイブリッドセラミック
一般的に虫歯使用に使われるレジンに、セラミックを混合させたのがハイブリッドセラミックです。
硬すぎず柔軟性がありますが、壊れやすいので奥歯など強い力のかかる部分には向きません。
変色しやすいというデメリットがあり、美しさの面で他のセラミックに劣ります。
認定医院であれば保険適用となりますので、費用面での心配がある方は相談してみてください。
オーラルセラミック
他の素材を混合させずに、セラミック100%でできたものがオーラルセラミックです。
天然の歯のような自然な色合いとツヤで、馴染みが良いのが特徴です。
天然の歯よりも少し硬いので、ヒビが入ったり破損したりする可能性はあります。
メタルボンド
見た目ではわかりませんが、被せ物の内側に金属が使われているのがメタルボンドです。
金属が入っているので強い力がかかっても破損の心配はありませんが、審美性が低いのがデメリットです。
金属アレルギーの方は歯茎が変色したりする可能性がありますので、使用しない方がいいでしょう。
ラミネートべニア
ラミネートべニアは歯の表面だけを削って、薄くセラミックを貼る方法です。
部分的に気になる箇所がある方に向いていて、位置や形を修正したり、隙間を埋めたりできます。
また健康な歯を削るのに抵抗があるという方にも、向いています。
セラミック矯正の失敗例
セラミック治療には、残念ながら失敗例もあります。
実際にあった失敗例としては、以下のような症例があります。
- 土台になっていた歯が割れていた
- 連結セラミックが合わずに隙間ができている
- 食事をすると顎が痛い
- 歯を削りすぎて歯髄炎になった
- 歯茎が腫れた
- 時間が経つと歯茎が下がって審美性が下がった
セラミック治療の完了直後ではなく、時間が経ってから不具合がでるケースも多いです。
セラミック矯正で後悔しない
セラミック矯正で失敗しない、後悔しないためには、デメリットをきちんと理解しておくのが重要です。
さらに審美歯科だけでなく、歯列矯正も行っているクリニックを選ぶなどしておくと、広い選択肢で相談ができるでしょう。
将来の歯の健康を考えたときに、今の歯を削ってしまってもいいのか、よく考えてセラミック矯正を選択するようにしてください。