歯並びを整える手段として、セラミック矯正というものがあり、短い治療期間で美しい歯並びを手に入れられると人気ですが、リスクについてはご存じですか？
この記事では、セラミック矯正のメリット・デメリットを解説します。
結論として、ワイヤー矯正やマウスピース矯正よりも治療期間を減らせ、審美的にも優れているなどのメリットもあるセラミック矯正ですが、実はデメリットも多く、治療後に後悔する可能性もあるのです。
他の矯正治療との違いとセラミック矯正をすることに伴うリスクを詳しく説明しますので、セラミック矯正で歯並びを治したいと思っている方は、特に注意してご覧いただけたらと思います。
〇この記事から分かること
- セラミック矯正とは
- セラミック矯正の流れについて
- セラミック矯正と他の治療法との違いについて
- セラミック矯正のメリットについて
- セラミック矯正のデメリットついて
セラミック矯正とは
セラミック矯正とは、セラミックでできた被せ物を使って歯並びを整える治療法です。
問題となる歯を削り、その上からセラミックの人工歯を取り付けることで、歯並びをきれいに見せることができます。
「矯正」という言葉がついていますが、ワイヤー矯正やマウスピース矯正などのいわゆる矯正歯科とはアプローチが全く異なる治療となります。
ワイヤー矯正とマウスピース矯正の違い
セラミック矯正が矯正治療であるワイヤー矯正・マウスピースと違うのは、「自分の歯を動かさない」という点です。
矯正治療は歯自体をゆっくりと動かして歯並びを整えていく方法で、自分の歯を削ることなく自然な歯並びや噛み合わせを手に入れることができます。
一方、セラミック矯正は矯正歯科ではなく、審美歯科と呼ばれるもので、歯の位置自体は動かさずに、歯を削って被せることで歯並びを整えます。
歯を動かさずに済むことで、治療期間が大きく異なります。
セラミック矯正の治療の流れ
セラミック矯正はどのように治療が進むのか、一般的な治療の流れについて説明します。
①初診・カウンセリング ②検査 ③歯を削る・歯形を取る・仮歯を装着 ④セラミック歯を装着
セラミックを被せるための土台となる歯を削るとき、削る部分が大きければ神経に触れて激痛を伴うことがあります。
この場合、セラミック矯正の治療を行う前に歯の神経を抜く治療を行う必要があるため、来院回数が増えてしまうでしょう。
セラミック矯正は保険適用になる？
セラミック矯正を検討している方は、治療費が保険適用になるのかということが気になるかと思います。
結論から言うと、セラミック矯正は基本的に自由診療のため、健康保険は適用されません。
健康保険の適用の基準として、「病気を治すための必要最低限の治療」というものがあるのですが、セラミック治療は機能面や審美面に優れた治療となるので条件を満たしていないのです。
ですから、セラミック矯正の治療費は全額自己負担となります。
セラミック矯正の値段について
セラミック矯正の値段ですが、これは歯科医院によっても異なりますが、1本あたり4〜15万円を目安にしましょう。
被せるセラミックの種類によっても違いがあり、セラミックの強度や審美性を求めるほど費用が高額になります。
セラミック矯正のメリット
歯並びを整える治療を検討している方は、セラミック矯正の特徴を押さえ、ワイヤー矯正やマウスピース矯正などの矯正治療と比較する必要があります。
セラミック矯正の主なメリットは以下の6つです。
- 見た目を改善することができる
- 矯正装置を付けずに歯並びが整えられる
- 治療期間が短い
- 治療後の後戻りがない
- 歯の色や形を自由に選べる
- 費用を抑えられる
セラミック矯正についてあまりご存じないという方もぜひチェックしてみてください。
見た目を改善することができる
歯並びを改善したいと考えている人は見た目のコンプレックスを抱えている場合が多いです。
セラミック矯正は、こういった悩みを解消し、口元の美しさを作り出すのに適した治療方法と言えるでしょう。
目立つ前歯だけをセラミック矯正するだけでも印象が変わり、自然と笑顔になったり、自信を持って人前で話すことができたりするようになる人もいます。
矯正装置を付けずに歯並びが整えられる
ブラケットやワイヤーを治療期間中常に装着しなければならないワイヤー矯正に、取り外しができるものの1日20時間程度を目安に装着する必要があるマウスピース矯正など、歯列矯正のためには矯正装置を付けなければならないのが一般的です。
ですが、セラミック矯正は矯正装置を利用せずに歯並びを整えられる治療法なので、治療期間中の見た目が気になる人や装置を外したり付けたりするのがわずらわしく感じる人でも、ストレスを感じにくいでしょう。
治療期間が短い
ワイヤー矯正やマウスピース矯正などの矯正治療ですと、矯正力を用いて歯を少しずつ動かす必要があるため、治療期間が1〜3年程度と長くかかってしまいます。
ですが、セラミック矯正は「クイック矯正」とも呼ばれるように、問題のある歯を削り、上からセラミックの人工歯を被せれば治療が終わるため、他の矯正治療に比べて治療期間が短く、早ければ1〜2ヶ月程度で終わります。
歯並びの見た目にコンプレックスを抱えており「早くきれいな歯並びにしたい」と考えている方にはピッタリの治療法とも言えるでしょう。
治療後の後戻りがない
矯正治療では、治療後に歯は元の位置に戻ろうと、後戻りする力が働きます。
そのため、ワイヤー矯正やマウスピース矯正の治療後は、リテーナーと呼ばれる装置を装着して後戻りするのを防ぐ保定期間が必要になり、治療期間がさらに伸びてしまうのです。
その一方、セラミック矯正はそもそも歯を動かしていないため、後戻りの心配はありません。
保定処置も不要になるため、歯科医院に通う回数も短くなります。
歯の色や形を自由に選べる
一般的な矯正治療では、全て自分の歯を利用するため歯の色や形を変えることはできません。
しかし、セラミック矯正は人口の被せ物をするため、色や形をある程度選ぶことが可能です。
セラミック矯正で使われる被せ物には、
- セラミック
- ハイブリッドセラミック
- オールセラミック
- ジルコニアセラミック
など、色や強度の異なる様々な種類があります。
それぞれ費用が異なりますが、自分の理想の歯に近いものを選ぶことで仕上がりに満足しやすいです。
費用を抑えられる
歯列矯正は基本的に保険が適用されないので、治療費が高額になりがちで、治療を諦めてしまう人は少なくありません。
少しでも費用を安く済ませることができたら治療が受けやすいですよね。
セラミック矯正の費用は、治療を受ける歯科医院によって費用は異なります。
しかし、ワイヤー矯正やマウスピース矯正に比べると治療期間が短く通院回数が少ないため、総合的に見てセラミック矯正の方が費用を抑えて治療することができるでしょう。
セラミック矯正のデメリット
メリットが多く魅力的に感じるセラミック矯正ですが、実はデメリットも多くあります。
セラミック矯正の主なデメリットはこちらです。
- 健康な歯を削る必要がある
- 噛み合わせが合わない可能性がある
- セラミックが欠けたり破損したりする恐れがある
- セラミックが劣化する
- 歯並びを根本から改善できない
- 歯科医師の技術に左右される
- 重度の症例には対応できない
治療に後悔しないためにも、メリットだけでなくこれから説明するデメリットについても詳しく確認して検討するようにしましょう。
健康な歯を削る必要がある
セラミック矯正が矯正治療と違うのは、被せ物をする土台を作るために、自分の健康な歯を削る必要があることです。
一度削った歯は元の状態に戻すことはできません。
ですから、セラミック矯正をする前に、この治療法では歯を削るために歯の寿命が短くなると言うことを理解しておかなければなりません。
その点、ワイヤー矯正やマウスピース矯正は健康な歯を傷つけることなく歯並びを治すことができます。
噛み合わせが合わない可能性がある
セラミック治療では被せ物を付けるときに高さが合っておらず、噛み合わせが合わなくなる場合があります。
噛み合わせが悪い状態というのは、歯の高さが合っておらず、歯並びがデコボコしたようになっていることを言い、これによって歯磨きが難しかったり噛む力が衰えるなど様々な悪影響につながります。
噛み合わせが悪いのを放置した場合、次のようなことが起こるリスクがあるので注意しましょう。
- 虫歯や歯周病になる
- 体調不良を起こす
- 顎関節症になる
- 歯の治療が難しくなる
噛み合わせが悪くなるのを防ぐためには、精密な検査や治療を行う歯科医院を選ぶことも大事です。
セラミックが欠けたり破損したりする恐れがある
セラミックは決して脆くはありませんが、
- 噛み合わせの変化
- 歯ぎしり
- 食いしばり
などの強い力によってセラミック部分へ負荷がかかり、欠けたり割れたりする現象が起きてしまうこともあります。
欠けたり割れたりした場合、新しく作り直さなければならなくなり、そのために歯科医院に再び通わなければならず、治療費もかかってしまうので注意が必要です。
セラミックが劣化する
強度や耐久性に優れるセラミック矯正ですが、治療に使われる被せ物は一生使えるものではありません。
口腔内の状態や使い方によって個人差がありますが、セラミックの寿命は10年〜20年程度と言われています。
定期的に歯科医師にてメンテナンスを行えば寿命を伸ばすことはできますが、寿命がきたセラミックを放置しているとトラブルが発生する可能性が高いので、10年先まで考えて治療を受ける必要があります。
歯並びを根本から改善できない
セラミック矯正は、あくまで被せ物による治療を行い、歯並びの見た目を改善するものなので、他の矯正治療とは違って歯並びの乱れを根本的に改善することはできません。
治療のために一度削ってしまった歯は元の状態に戻すことができないため、慎重に検討する必要があるでしょう。
歯科医師の技術に左右される
セラミック矯正は、歯科医師の技術力の差に違いが出る治療です。
近年では需要とともに多くの歯科医師がセラミック矯正を行うようになってきましたが、技術が未熟な医師の治療を受けた場合、結果に満足しないケースも考えられます。
ですから、技術力の高い歯科医師のいる歯科医院を選ばなければなりません。
重度の症例には対応できない
セラミック矯正は全ての乱れた歯並びに対応できる治療法ではありません。
- 前歯のデコボコの度合いが重度
- 咬み合わせが重度に不正
このような場合は、セラミック矯正ができず、他の治療法が向いている場合があります。
自分の歯にセラミック矯正ができるのかについては、まずは歯科医師に相談しましょう。
どんな人がセラミック治療に向いている？
セラミック矯正は一般的な矯正治療とは異なるため、デメリットが多いことも特徴です。
では、どのような人にセラミック矯正が向いているのかというと、
- 歯並びを治すだけでなく白い歯も手に入れたい人
- 矯正装置を付けずに歯並びを整えたい人
- 時間をかけずに歯並びを整えたい人
- 軽度な歯並びを改善したい人
上記のように、根本的な歯並びの改善というよりも歯を美しく見せたい方や歯全体というより前歯など部分的に歯並びを良くしたい人に向いています。
ただし、セラミック矯正を受けたいと思っても症例によっては適応しないこともあり、ワイヤー矯正やマウスピース矯正が適している場合も考えられるので、最終的には歯科医師の判断が必要となりますので覚えておきましょう。
メリット・デメリットを比較して検討しよう
セラミック矯正のメリット・デメリットについて解説しました。
短期間でリーズナブルに歯並びを改善できるセラミック矯正ですが、リスクも多くあります。
メリットだけでなく今回紹介したデメリットを理解したうえで治療を検討してください。
また、状態によってはセラミック矯正を受けられないケースもあり、他の治療法が向いている場合もあるので、カウンセリングや検査を受けて歯科医師の判断を仰ぐようにしましょう。
歯並びが原因で様々な悩みを抱えている人は、歯科医院で適切な治療を受けることで悩みを解消する可能性が高いので、ぜひ相談していただきたいと思います。
