「出っ歯がコンプレックスで人前で話すのが苦手」
「出っ歯が恥ずかしいから矯正したい」
上記のように、前歯の出っ歯をなんとかしたいと思っている方は多いでしょう。
歯並びを改善する方法としてセラミック矯正というものがありますが、出っ歯の治療には適しているのでしょうか?
この記事では、出っ歯をセラミック矯正する場合の注意点について解説します。
結論として、セラミック矯正によって様々な種類の出っ歯の見た目を改善することが可能ですが、セラミック矯正のリスクを知ったうえで検討するべきです。
この記事でセラミック矯正の治療法や危険性について確認していただけたらと思います。
〇この記事で分かること
- 出っ歯とは
- 出っ歯の原因について
- 出っ歯によって起こり得るリスクについて
- 出っ歯のセラミック治療について
- 出っ歯をセラミック治療のリスクについて
出っ歯とは?
出っ歯は、日本人に多い不正咬合で、正式には「上顎前突(じょうがくぜんとつ)」と呼ばれるものです。
上顎前歯が他の歯に比べて極端に前方に突出している状態を差します。
出っ歯には大きく分けて2種類ありますので、出っ歯でお悩みの方はまずご自身はどのタイプかを確認しましょう。
骨格性上顎前突
骨格性上顎前突というのは、下顎の奥歯が後方にずれており、さらに上顎の前歯が前に出ている状態です。
骨格の不正のため、たとえ歯並びが良くても、上顎が前に出てしまいます。
日本人の上顎前突を持つ人のほとんどが骨格性上顎前突とも言われています。
歯槽性上顎前突
歯槽性上顎前突とは、骨格性の不正ではなく前歯の傾斜角度が原因で起こる上顎前突のことです。
たとえば、顎に対して歯が通常よりも大きい場合に、歯が前に傾いて出っ歯になるケースがあります。
出っ歯の原因は?
出っ歯になる主な原因は以下の3つです。
- 遺伝
- 口呼吸
- 癖
先天的なものと後天的なものがありますので、ぜひ確認してみてください
出っ歯の原因①遺伝
骨格性上顎前突は遺伝(先天的)によるものが多い傾向です。
ご両親や祖父母など、身近な親戚で上顎前突を持つ人がいる場合、自身も上顎前突になる可能性は高くなります。
骨格の問題となる出っ歯の場合は、残念ながら予防策はなく治療しなければ治りません。
出っ歯の原因②口呼吸
正しい呼吸法は「鼻から息を吸って吐く」ですが、日常的に口が開いたままでいると鼻からではなく口から息を吸う口呼吸になりがちです。
口呼吸の人は、口周りの筋力が弱くなり、歯が前へ倒れるように発育しやすくなるため、出っ歯になりやすくなります。
近年では、口を開けて呼吸を行ういわゆる「ポカン口」になっている子どもが多く、出っ歯になりやすいとも言われているため、注意が必要です。
出っ歯の原因③癖
出っ歯は癖が原因で少しずつ変形し、起きてしまうケースがあります。
幼少期のころから
- 指しゃぶり
- 指や爪を噛む
- 舌で歯を押す
などの癖が長く続いた場合、圧迫を受けることにより前歯が前方に傾き、出っ歯になるリスクが高くなります。
赤ちゃんの頃の癖が4〜5歳になっても続いている場合は早めに改善させた方が良いでしょう。
出っ歯によって生じるリスク
出っ歯は見た目の問題とだけ思っている方が多いかもしれませんが、他にも健康面でのリスクを引き起こす可能性もあります。
出っ歯によってどのようなリスクが考えられるのか、これから説明していきます。
虫歯や歯周病になりやすい
出っ歯の人は唇がしっかり閉じられず口が開きやすくなっている場合が多いです。
すると、歯や歯茎が乾燥しやすくなり、細菌が増殖してしまいます。
唾液には細菌の増殖を抑えたり、再石灰化して溶け出した歯を修復したりする働きがありますが、口の中が乾燥することによって唾液が分泌されにくくなり、虫歯や歯周病を発症しやすくさせるのです。
バランスが悪く見た目が劣る
出っ歯の方は、見た目を気にする方が多いです。
正面からの見た目の印象が悪いだけでなく、横から見た時に唇を閉じていても唇が突出して見えるので、「口元を見られたくない」「笑うことができない」というような悩みを抱えている人が多くいます。
奥歯の寿命が短くなる
出っ歯によって前歯が噛み合っていなければ、食事をする時に自然と奥歯で噛む回数が増えます。
その結果、奥歯の寿命が短くなってしまうのです。
万が一歯を失ってしまえば咀嚼が難しくなり、顎関節症などの更なる悪い症状を発症するリスクが増えるのです。
前歯を怪我で失うリスクが高まる
出っ歯の人は歯並びが整っている人に比べて、転倒や衝突などによる前歯の怪我を引き起こすリスクが高くなります。
万が一前歯を損傷してしまったら、最悪の場合抜歯しなければいけません。
自力で出っ歯を治すのはNG!
出っ歯でお悩みの方の中には、自力でなんとかしようとインターネットなどを使って出っ歯を矯正する方法を探している人がいるかもしれません。
ですが、医療機関を利用せず自力で出っ歯を治そうとする行為は非常に危険です。
たとえば、指で歯を押し込むという方法では出っ歯は改善できないどころか歯や神経にダメージを与えることになりかねません。
出っ歯はセラミック矯正で治る?
歯並びを整える方法として、「セラミック矯正」があります。
そこで、セラミック矯正は出っ歯を改善するのに最適な治療法なのか、詳しく解説します。
セラミック矯正とは
セラミック矯正とは、セラミックでできた被せ物を使って歯並びを整える治療法です。
問題となる歯を削り、その上からセラミックの人工歯を取り付けて、歯並びをきれいに見せます。
セラミック矯正は矯正とは違う
「矯正」という言葉がつくものの、ワイヤー矯正やマウスピース矯正などのいわゆる矯正治療とは異なります。
一般的な矯正治療では、歯の表面に装置を取り付けたりマウスピースを装着したりすることで歯に力を加えて、歯の根っこから動かします。
一方セラミック矯正は、歯自体を動かさずに削った歯の上から被せて歯並びを整えるという方法です。
矯正治療は基本的に健康的な歯を削らないため、セラミック矯正は補綴(ほてつ)治療の一種となります。
軽度の出っ歯はセラミック矯正で改善できる
セラミック矯正は
- 軽度の出っ歯
- すきっ歯
など、前歯の軽度な不正咬合に適した治療方法です。
歯並びを整えながら、同時に歯を白く綺麗にできるというメリットがあります。
治療費の相場は歯1本あたり4〜10万円と、本数が少なければ治療費を抑えられるので、軽度であれば、出っ歯に適した治療法と言えます。
短時間で出っ歯を改善できる
出っ歯をセラミック矯正する利点は、治療期間が短いことです。
ワイヤー矯正やマウスピース矯正ですと、歯を少しずつ動かすため、矯正装置を数ヶ月〜数年装着しなければなりません。
さらに、治療後も保定期間といって歯の後戻りを防ぐためにリテーナーと呼ばれる器具を一定期間装着する必要があります。
ですが、セラミック矯正は歯の移動は行わないため、綺麗な歯並びになるまでに1〜2ヶ月程度の治療期間です。
前歯をセラミック矯正することのリスク
出っ歯を改善するために、前歯のセラミック治療を検討している方は、その前に起こり得る危険性についても理解しておきましょう。
出っ歯をセラミック矯正するリスクをまとめたのでご確認ください。
隣の歯と色調が合わないことがある
セラミックの被せ物は、透明感があり、天然歯に近い色合いを出しやすいです。
しかし、前歯だけをセラミック矯正すると隣の天然歯との差が目立ちやすくなる可能性があります。
噛み合わせが治らない可能性がある
セラミック矯正は、歯の傾きや位置を根本的に動かすことはしないので、歯並びは良くなるかもしれません。
しかし、噛み合わせに問題がケースもあります。
出っ歯を改善したいと思っている方は見た目が良くなれば問題ないのかもしれませんが、セラミック矯正では出っ歯を根本から改善することはできないのです。
噛み合わせの問題は歯への負担へと繋がるため、矯正治療を行った方が良い場合もあります。
治療した部分の歯の寿命が短くなる
セラミック矯正では、一般的な歯列矯正とは違い、直したい部分の健康な歯をある程度削る必要があります。
つまり、歯の寿命を縮めるリスクを伴うということです。
被せ物をすることで見た目の改善は叶いますが、歯を削った後に後悔する方もいるのでしっかり検討しておきましょう。
見た目が改善しないこともある
セラミック矯正を行っても、「思ったより見た目が改善しない」と感じる方もいます。
これは、セラミック矯正では適応できない症例があるからです。
骨格が原因の出っ歯は、外科手術や矯正治療を必要とするため、セラミック矯正による治療は基本的にできません。
セラミックが欠けてしまうことがある
セラミック矯正に使われる被せ物は、一生ものではありません。
口腔内の状態や使い方によって個人差がありますが、セラミックの寿命は10年〜20年と言われています。
そのため、大きな力が加わることでセラミックが歯が割れたり、欠けたりすることがあるので気をつけなければなりません。
セラミック矯正の後に定期的にメンテナンスすることで、歯の寿命を長持ちさせられます。
セラミック矯正ができない出っ歯もある
セラミック矯正では、出っ歯をきれいな歯並びに治すことはできますが、骨格が原因で歯並びや噛み合わせに問題がある場合の治療には向いていません。
骨格が原因の場合は、外科治療を検討した方が良いでしょう。
また、歯の傾きが大きい出っ歯などの重度症例には適応できない場合があります。
出っ歯をセラミック矯正できない場合の治療法
出っ歯をセラミック矯正したいと思っていても、歯科医師の判断で対応できないことがあります。
その場合、歯を動かして歯並びを改善する以下の矯正を検討してみましょう。
- ワイヤー矯正
- マウスピース矯正
いずれにしても、出っ歯などの不正咬合は人によって症状が異なり、一人ひとりに合った治療法があります。
自分に合った矯正方法を見つけるためにも、信頼のおける歯科医師に相談し、丁寧に検査してもらいましょう。
特徴を理解して治療すれば悩みが改善できる
出っ歯をセラミック矯正する場合の注意点について解説しました。
セラミック矯正は他の矯正治療よりも短い治療期間で歯並びを改善できます。
しかし、デメリットも多くあり、トラブルが発生するケースも考えられるので、リスクについても確認しておきましょう。
症例によってはワイヤー矯正やマウスピース矯正の方が向いていることもあるので、検査や医師の診断が不可欠となります。
出っ歯でお悩みの方はぜひ、セラミック矯正の特徴を押さえたうえで、信頼のおける歯科医師に相談しましょう。