「唾液が少ない人は虫歯になりやすい」といった説がありますが、これは本当です。唾液には虫歯を抑える作用が含まれていますから、分泌量を増やす対策を試してみましょう。本記事では、虫歯リスクがわかる「唾液検査」の情報も交えながら、唾液と虫歯の関係性について詳しく解説します。
唾液の分泌量が少ないと虫歯になりやすくなる
「唾液の分泌量が少ないと虫歯になりやすくなる」という説は本当です。唾液には多くの作用が含まれていて、そのすべてが虫歯を抑制するために役立ちます。まずは唾液の作用について詳しく解説するので、虫歯とどのような関係性があるのかを確認しておきましょう。
唾液がもつ主な作用
唾液には「中和」「再石灰化」「自浄」「抗菌」と主に4つの作用が含まれています。それぞれの働きや、虫歯との関係性について解説しましょう。
■中和
唾液には、口内を中性に近付ける作用が含まれます。口内が酸性に傾くと、歯の表面のエナメル質が溶けやすくなって虫歯のリスクが上がるため、唾液がもつ中和作用は非常に重要です。
■再石灰化
再石灰化は口内サイクルのひとつです。唾液はカルシウムイオンとリン酸イオンを歯に補給し、エナメル質を強化する役目も備えており、歯を溶かす「脱灰」をカバーするうえで役立ちます。
■自浄
唾液は食事による食べかすを洗い流す自浄作用も備えています。唾液の分泌が不十分だと、口内にごみがたまりやすく、虫歯の原因となる歯垢も落としにくくなるため要注意です。
■抗菌
唾液には、細菌の増殖を防ぐ酵素の一種「リゾチーム」をはじめとする抗菌成分が約10種類含まれます。この作用により、唾液が正常に分泌されている人は虫歯を防ぎやすくなります。
虫歯リスクがわかる「唾液検査」
虫歯リスクは「唾液検査(サリバテスト)」によってある程度まで把握することが可能です。唾液検査では何がわかるのか、そしてどの程度の費用がかかるのかなどを解説するので、メリットを感じた場合は実際に検査を受けてみましょう。
唾液検査でわかること
唾液検査では以下のことがわかります。
<唾液検査でわかること>
- 唾液の量
- 唾液による中和力
- 虫歯菌(ミュータンス菌)の数
- ラクトバチルス菌(LB菌)の数
- 生活習慣病の原因菌の数
- 歯周病菌の数
十分な唾液を分泌できているのか、中和力は足りているのかといった点だけでなく、虫歯の原因となる菌の数も唾液検査によって把握できます。
また歯科医院によっては、生活病の原因菌の数や、歯周病菌の数も測定できるところもあります。
唾液検査の流れ
唾液検査の流れは次のとおりです。
<唾液検査の流れ>
- 検査の12時間前からアルコールを含むマウスウォッシュの利用や、激しい運動を控える
- 食生活などに関するアンケートに回答する
- 約5分間ガムを噛み、唾液を採取する
- 採取した唾液を専門の検査機関に送る
- 検査の結果を待つ
検査結果は約10日後にわかります。その際、歯科医師や歯科衛生士から、虫歯にかかりにくくするためのアドバイスも受けられます。
唾液検査の費用
唾液検査の費用は検査の内容によって異なり、目安として3,000~1万円前後です。なお、唾液検査は自由診療となり、保険を適用することはできません。
日常生活でできる!唾液の分泌量を増やす方法
日常生活で唾液の分泌量を増やす方法を5つご紹介しましょう。
<日常生活でできる!唾液の分泌量を増やす方法>
- よく噛んで食べる
- こまめに水分補給をする
- 鼻呼吸を意識する
- ガムを噛む
- リラックスして緊張をほぐす
これらの対処法が有効な理由をわかりやすく解説します。
よく噛んで食べる
食事をとる際は、よく噛んで食べることを意識しましょう。唾液は咀嚼にあわせて分泌されるため、柔らかいものばかりを食べていると、自然と唾液の量は減ってしまいます。
こまめに水分補給をする
水分量が不足すると、体内の水分を蓄えようとする作用が働き、唾液の分泌が減ってしまいます。こまめに水分補給を行い、脱水状態にならないように注意しましょう。
鼻呼吸を意識する
鼻呼吸を意識することも重要なポイントです。口呼吸が癖になっていると、口内の水分が蒸発して唾液が不足してしまいます。口内が乾燥すると虫歯菌の働きが活性化されるほか、口臭の原因になる場合もあるため注意しましょう。
ガムを噛む
よく噛んで食べることが唾液の分泌につながることは先述したとおりです。しかし、ずっと食事を続けるわけにはいきません。そのため、外出中などはガムを噛んで唾液を分泌させるとよいでしょう。とくに虫歯抑制作用があり、糖分も使われていない「キシリトールガム」がおすすめです。
リラックスして緊張をほぐす
リラックスして緊張をほぐすことで、副交感神経を高めて唾液を正常に分泌できます。反対に緊張していると交感神経が高まり、唾液の分泌が減ってしまうため注意しましょう。緊張したときに喉が渇きやすいのはこのためです。
虫歯の原因は唾液の分泌量だけではない!
虫歯は唾液の分泌量だけでなく、以下の習慣などが原因で発生することもあります。
<唾液の分泌量以外で虫歯の原因になり得ること>
- 甘いものを食べることが多い
- 間食が多い
- 被せもの・詰めものが多い
- フッ素入り歯磨き粉を使っていない
これらの習慣などが虫歯を招く原因になる理由を、詳しく解説していきます。
甘いものを食べることが多い
虫歯菌は糖質をとくに好み、餌にして増殖します。そのため、糖分を多く含むお菓子やジュースを好み、よく食べる・飲む人は、虫歯に一層注意しなければなりません。甘いものを極力控えるのに越したことはありませんが、難しい場合は食後の歯磨きを徹底するなどして対策しましょう。
間食が多い
だらだらと間食をする人の口内は酸性に傾いてしまいます。口内が酸性になると、歯の表面にあるエナメル質が溶け出し、虫歯菌が進行しやすくなるため要注意です。食事をする時間やおやつを食べる時間を決めるなど、食生活を見直すことも意識しましょう。
被せもの・詰めものが多い
過去に多くの虫歯治療を行っていて、歯に被せものや詰めものが多い人も虫歯に要注意です。被せもの・詰めものがある部分には汚れがたまりやすく、虫歯を招きやすくなります。とくに銀歯には歯垢や歯石がくっつきやすいため注意しましょう。
フッ素入り歯磨き粉を使っていない
フッ素入りの歯磨き粉に買い替えるのもおすすめです。フッ素には、歯の表面にあるエナメル質を強化して、再石灰化を促進させる作用があり、虫歯予防に役立ちます。
まとめ
虫歯と唾液の関係性はとても深く、唾液の分泌を増やすことが虫歯の予防に役立ちます。日常生活でできる唾液の分泌量を増やす方法はとても多いため、意識して取り入れてみましょう。また、虫歯になりやすい体質かどうかを詳しく調べたい方には、唾液検査を受けることもおすすめできます。
高輪クリニックでは、口のなかの菌のバランスを改善させる治療を実施しています。当院は内科を併設していることが特徴のひとつです。唾液検査では虫歯菌などの測定だけでなく、生活病の原因菌の数や、歯周病菌の数も測定しております。
すでに発生している虫歯を改善させることはもちろん、食習慣など体質改善のアドバイスも可能ですので、虫歯になりにくい体質にしたい方はぜひ当院をご利用ください。