歯が痛んだとき、その原因が虫歯にあるのか、それとも知覚過敏なのかわからずに悩んでいる方も多いはずです。この2つには見た目や痛み方などいくつかの違いがあるため、何が原因で痛んでいるのかを正確に判断しなければなりません。この記事では、虫歯と知覚過敏の違いを比較しながらくわしく解説します。
虫歯と知覚過敏の違いとは?
歯が痛んだとき、真っ先に思い浮かぶ原因といえば虫歯でしょう。しかし、実はその痛みの原因は知覚過敏にあるかもしれません。それとは反対に、知覚過敏が原因と思い込んでいた痛みが虫歯に由来していたというケースも見受けられるため注意しなければなりません。
虫歯と知覚過敏には以下のような違いがあります。
<虫歯と知覚過敏の違い>
- 原因・仕組みの違い
- 見た目の違い
- 痛みの違い
- 治療方法の違い
- 予防法の違い
とくに「知覚過敏だと思い込んでいた痛みの原因が虫歯にあった」というケースは要注意です。気付かぬうちに虫歯が進行し、歯の脱落といった重大なトラブルを引き起こすかもしれません。これから虫歯と知覚過敏の5つの違いを解説しますが、ご自身がどちらに該当するのか判断がつかない場合は歯医者さんに相談し、きちんと検査を受けることをおすすめします。
原因・仕組みの違い
まずは虫歯と知覚過敏の原因・仕組みの違いについてまとめます。
【虫歯と知覚過敏の原因・仕組みの違い比較表】
種類 | 虫歯 | 知覚過敏 |
---|---|---|
原因 | ・細菌の増殖 ・糖質の過剰摂取 ・歯質の劣化など | ・歯茎が下がった ・歯磨きの圧力が強すぎる ・歯ぎしり、食いしばりなど |
仕組み | 象牙質や神経が溶けて痛む | 象牙質が露出することで痛む |
それぞれをさらに深掘りして解説しましょう。
■虫歯の原因と仕組み
虫歯は細菌(虫歯菌、ミュータンス菌)の増殖が原因で起こります。口内の細菌が歯の表面のエナメル質を溶かして進行し、やがて象牙質や神経にまで到達して強い痛みを引き出すことが虫歯の特徴です。放置すると、最終的には歯根だけを残して破壊され、永久歯を失ってしまいます。
虫歯菌が増殖する原因はさまざまですが、虫歯菌が好む歯垢や歯石、食べかすを放置したことが原因となるケースが多いため、ブラッシングによる十分なケアが必要です。また、口腔内が乾いていたり、酸性に傾いていたり、糖質が多かったりすることも虫歯菌が増殖する原因です。
■知覚過敏の原因と仕組み
知覚過敏は、何らかの理由により象牙質が露出したことが原因で強い痛みを生じさせます。人間の歯はエナメル質に覆われていて、この状態では刺激が加わったとしても痛みを感じることがありません。しかしエナメル質のなかにある象牙質や神経は痛みを感じるため、露出すると些細な刺激でも痛みを覚えます。
象牙質が露出する原因はさまざまです。加齢により歯茎が下がって象牙質が露出することもありますし、ブラッシング(歯磨き)が強すぎたせいでエナメル質が傷つき、象牙質が露出することもあります。歯ぎしりや食いしばり、酸性の飲食物の過剰摂取、折れた歯を放置することなども象牙質を露出させる原因のひとつです。
見た目の違い
虫歯と知覚過敏には、以下のような見た目の違いがあります。
【虫歯と知覚過敏の見た目の違い比較表】
種類 | 虫歯 | 知覚過敏 |
---|---|---|
見た目の違い | ・茶色や黒っぽく変色している ・歯に穴が開いている | ・歯の根元が露出している ・歯が長く見える |
虫歯の場合は変色することが特徴です。初期の状態は白っぽく濁ったり、薄い茶色に変色したりする程度ですが、深くまで進行すると黒っぽく変色することがあり、歯磨きをしても色が落ちません。また、虫歯がさらに進行すると歯に穴が開いたり、歯が欠けたりすることもあります。
一方の知覚過敏には、このようなわかりやすい見た目の変化は生じません。見分ける際に確認すべきポイントは歯の根元でしょう。知覚過敏の患者は歯の根元が露出していることが多く、歯が長く見えることが特徴です。ただし、歯茎が下がるまでには長い時間を要することもあり、一目ではなかなか気付けません。
痛みの違い
虫歯と知覚過敏には、以下のような痛みの違いがあります。
【虫歯と知覚過敏の痛みの違い比較表】
種類 | 虫歯 | 知覚過敏 |
---|---|---|
痛みを感じる長さ | 持続しやすい | 一時的な場合が多い |
痛みを感じる瞬間 | 慢性的に痛む | 飲食時などに痛む |
歯を触ったときの痛さ | 響くように痛む | ほとんど痛みを感じない |
虫歯の場合は痛みが持続しやすく、とくに何もしていなくても痛むケースが目立ちます。また、患部を軽く叩くと響くような痛みを感じる場合があることも特徴的です。虫歯の場合は「じっとしていても歯がズキズキする」「脈打つような痛みを感じる」といった痛み方が目立ちます。
知覚過敏の場合は、飲食時などに一時的な痛みを感じるケースがほとんどです。また、患部を触ったり、叩いたりしてもほぼ痛みを感じません。「アイスを食べたときにキーンと痛む」「冷たい飲み物が歯茎に触れると痛い」といった痛み方が知覚過敏の特徴です。
治療方法の違い
虫歯と知覚過敏では、以下のように治療方法が異なります。
【虫歯と知覚過敏の治療方法の違い比較表】
種類 | 虫歯 | 知覚過敏 |
---|---|---|
治療方法 | ・患部を削って詰め物をする ・神経を抜いて被せ物をする ・抜歯する | ・薬剤などで象牙質を覆う ・マウスピースなどで対策する ・歯周病を治療する |
虫歯の場合は進行度合いによって治療法が変わります。軽度な場合は患部を削って詰め物をするだけで治療できますが、象牙質や神経まで侵されている場合は抜歯が必要なケースも増えるため要注意です。できる限り早く治療を受けることが、軽度な治療に抑えるためのポイントです。
知覚過敏の場合は対症療法が基本です。象牙質が露出していることが痛みの原因ですから、薬剤などを使って象牙質を多い、人工的にエナメル質の代わりを作り出すことが治療の基本になるでしょう。
予防法の違い
虫歯と知覚過敏の予防法の違いについてもまとめます。
【虫歯と知覚過敏の予防法の違い比較表】
種類 | 虫歯 | 知覚過敏 |
---|---|---|
予防法 | ・食後の歯磨きを徹底する ・間食を極力減らす ・口腔内の乾燥を防ぐ | ・やさしく歯磨きをする ・食いしばりなど悪癖を直す ・矯正治療を行う |
虫歯を予防するためのポイントは、虫歯菌の増殖を防ぐことです。そのためには食後の歯磨きを徹底し、歯垢や食べかすなどをできる限り除去しましょう。また、口腔内が酸性に傾いてエナメル質が溶けやすい状態を作らないように、間食を減らすことも有効的です。
知覚過敏の場合は、極力歯にダメージを与えないように過ごすことが第一です。食いしばりなどの悪癖がある場合は、改善させて歯のダメージを減らしましょう。また、歯並びが悪いと特定の歯に大きな負担がかかりやすく、歯茎が下がる原因になるため、矯正治療を行うこともおすすめです。
歯科健診で虫歯・知覚過敏を未然に防ごう!
虫歯・知覚過敏を未然に防ぐためには「歯科健診」の受診をおすすめします。歯科健診を受けることで、歯や歯茎の状態の悪化に早く気付くことが可能です。症状が進行する前に治療を行えますから、最低でも半年に1回のペースで歯科健診を受診しましょう。
まとめ
虫歯と知覚過敏にはさまざまな違いがあります。見た目や痛み方なども異なるため、まずはご自身の歯が痛む原因が虫歯にあるのか、それとも知覚過敏にあるのかを特定しましょう。自分では判断できないという場合は、歯医者さんに相談してくわしい検査を受けることをおすすめします。
高輪クリニックでは、その場しのぎのような歯科治療ではなく、虫歯・知覚過敏と無縁になれるような根本改善を目指しています。あらゆる検査で痛みの原因を特定・治療し、口のなかの菌のバランス改善に向けた治療も実施できるため、度重なる歯のトラブルにお悩みの方も当院の治療をお試しになってください。