日本人の4人に1人は、頭痛に悩まされているとご存じですか?
国民病ともいえる頭痛には、あまり心配のない「一次性頭痛」と、大病の危険がある「二次性頭痛」があります。
一次性頭痛や二次性頭痛には、どんな種類のものがあるのでしょうか。
さらに頭痛の原因や対処法、病院を受診する目安など、頭痛との上手な付き合い方をまとめました。
一次性頭痛の種類と原因
一次性頭痛は、他の病気の心配のない頭痛です。
脳MRI検査での異常もなく、命に別状のない頭痛となります。
多くの頭痛持ちの人が悩まされているのが一次性頭痛ですが、時には吐き気を伴ったり、いつもと違う痛みで不安になったりする日もあるでしょう。
一次性頭痛の4つの種類と原因、対処法についてご紹介します。
- ズキズキ痛む片頭痛
- 締め付けられる緊張型頭痛
- 三叉神経・自律神経性頭痛
- 目の奥が痛む群発頭痛
ズキズキ痛む片頭痛
片頭痛とはこめかみから目にかけて、脈を打つように痛む頭痛です。
吐き気を伴う場合もあり、光や音に敏感になってしまうという症状もあります。
痛みは4~72時間続く場合もあり、月に数回繰り返すようであれば片頭痛の可能性が高いです。
女性ホルモンとも関係があり、20~40代の女性に多い頭痛です。
片頭痛の前兆になる閃輝暗点(せんきあんてん)
片頭痛が起こる人の1~2割には閃輝暗点という、目の前がチカチカする、目が回るという症状が出る場合もあります。
閃輝暗点の症状が出ると片頭痛が起きますので、頭が痛くなるのがわかるという人もいます。
血管収縮作用のあるセロトニンが何等かの理由で大量に放出されるのが原因で、閃輝暗点が起こると考えられています。
片頭痛の原因とは
片頭痛の原因は、主に以下が考えられます。
- 寝不足・寝すぎ
- ストレス
- 過労
- 空腹
- 頭痛の誘発食材の摂取
- アルコール
- 光・音・においの変化
- ホルモンバランスの変化、など
様々な要因がありますので、どのような原因が当てはまるのか、今一度ご自身の生活を見直してみましょう。
頭痛の誘発食材とは
頭痛の誘発食材とは、亜硝酸塩が関与している食材でハムやソーセージなどです。
またチラミンが含まれるチョコレート、ヒスタミンが含まれる赤ワインも摂りすぎには注意したい食材です。
空腹状態も望ましくありませんので、食事を抜いたりせずに規則正しい時間に食事ができるようにしましょう。
カフェインは血管収縮作用があるので、コーヒーや緑茶も少量であれば頭痛の予防になるといわれていますが、多量摂取は頭痛の原因になってしまいます。
大豆や魚介類はマグネシウムが含まれていて、神経細胞の興奮を抑制する働きがある食材なので、積極的に摂取できるといいでしょう。
片頭痛の対処法
片頭痛の対策にはストレスや睡眠不足、食事など日常生活の改善が重要です。
入浴やマッサージも片頭痛には、逆効果なので静かな場所で横になるといいでしょう。
さらに痛い部分を冷やすと、血管が収縮して痛み軽減になります。
ほとんどの頭痛は、よくある症状で心配のないものだといわれています。
しかし片頭痛の中には、脳卒中やくも膜下出血などのリスクもある場合がありますので、注意してください。
締め付けられる緊張型頭痛
後頭部や額、こめかみの辺りを締め付けられるような痛みがじわじわと続くのが緊張型頭痛です。
首や頭の横の筋肉が緊張して起こり、血流が滞り老廃物が溜まってしまい、神経が刺激されて痛みを感じてしまいます。
目の疲れや倦怠感と同時に痛む場合もありますが、吐き気や嘔吐を伴うことはありません。
緊張型頭痛の原因とは
緊張型頭痛は、精神的・肉体的ストレスが原因になっているケースが多いです。
- パソコンやスマホで長時間同じ姿勢
- 運動不足
- 眼精疲労
- 人間関係など心のストレス
- うつ病などの心の病気
日常生活に支障が出るほどの強い頭痛ではありませんが、原因となるストレスが解消できないと慢性化してしまうかもしれません。
緊張型頭痛の対処法
緊張型頭痛の対処法は、ストレスの発散を心掛けることです。
デスクワークなどで同じ姿勢が続いてしまったら、ストレッチやマッサージをしたり、温めたりして血行を促してあげましょう。
座ったままできるような簡単なストレッチを覚えておくのもよいです。
また自分に合わない枕を使っていないかをチェックし、寝ている間も筋肉が緊張していない状態を保てると理想的です。
三叉神経・自律神経性頭痛
三叉神経(さんさしんけい)・自律神経性頭痛とは、目の奥や周りが強い痛みに襲われる頭痛です。
このような「顔面痛」と、涙や鼻水などの「自律神経症状」が同時に起こります。
三叉神経・自律神経頭痛は、こちらの4つのタイプに分類されます。
- 目の奥が痛む群発頭痛
- 発作性片側頭痛
- 短時間持続性片側神経痛様頭痛発作
- 持続性片側頭痛
上記は症状が似ていますが、治療法が異なる場合もあります。
それぞれの痛みの特徴や詳しい症状を、チェックしておきましょう。
目の奥が痛む群発頭痛
左右どちらかの目からこめかみの方にかけての激しい痛みと、目の充血や鼻水などの症状を伴うのが群発頭痛です。
目の奥がえぐり取られるような激痛で、じっとしていられないほどの痛みと表現される方もいらっしゃいます。
日常生活に支障が出る強い痛みなので、すぐに病院を受診しましょう。
トリプタン製剤の内服薬や点鼻薬など適切な薬を処方してもらったり、必要があれば高濃度の酸素吸入などの処置をします。
発作性片側頭痛
目の奥や頭部の片側が痛む頭痛で、群発頭痛に似ています。
群発頭痛よりも発作時間が短く、数分~30分程度の痛みが、1日に数回出現します。
処方される薬は群発頭痛には効果がみられないインドメタシンなどの頭痛薬となり、症状が酷似している群発頭痛とは治療法が異なります。
持続性片側頭痛
頭部の片側に強い痛みがある頭痛で、「持続性」という名前の通り3ヶ月以上痛みが続くのが特徴です。
片頭痛の症状と似た、光過敏や音過敏などの症状がでる場合もあります。
夜間に痛みが悪化するという報告もありますが、痛みの持続時間や頻度には個人差があります。
短時間持続性片側神経痛様頭痛発作
頭部の片側に中度~強度の痛みがあり、痛む方の目が充血したり涙が出たりします。
刺すような痛みや刺すようにズキズキと持続する痛みなどが特徴です。
痛みは長くても10分程度と、短時間の痛みです。
二次性頭痛の種類と原因
脳になんらかの異常が起きている頭痛を二次性頭痛といいます。
二次性頭痛の場合は、適切な治療をしないと命の危険がある場合もあります。
二次性頭痛と関係のある病気や、受診の目安を確認しておきましょう。
頭痛で引き起こされる大病
二次性頭痛で心配な病気には、これらの病があります。
- くも膜下出血
- 脳動脈解離(のうどうみゃくかいり)
- 脳腫瘍
- 脳梗塞
- 慢性硬膜下血種
- 髄膜炎・脳炎、など
脳に異常がある頭痛で、緊急性の高い場合もあります。
どのような頭痛や症状がでるのか、主な症状についてご説明します。
くも膜下出血による頭痛
二次性頭痛の代表的な病が、くも膜下出血です。
突然バットで殴られたような激しい頭痛で、早期の治療が必要です。
警告症状として、動脈瘤からの少量の出血で、突然の頭痛が1~2日続くというケースもあります。
脳動脈解離による頭痛
後頭部やうなじの辺りに頭痛を起こす、脳動脈解離も危険な頭痛です。
脳の血管が裂けるバキバキとした痛みが特徴です。
40代前後の男性に多い症状で、ヨガやゴルフ、水泳などの運動で首に過度な力がかかると誘発される場合もあります。
脳腫瘍による頭痛
脳腫瘍による頭痛は、ゆっくりと進行するので一次性頭痛との見分けが難しいです。
頭が重い感じがするという違和感から始まり、時間が経つにつれて重い感じがひどくなっていきます。
悪性の腫瘍ができている場合には、数週間から数ヶ月で大きくなり、頭痛もひどくなります。
脳腫瘍が大きくなると、手足に麻痺がでたり、言語障害などの症状も出現します。
病院を受診した方がいい症状
以下の症状に当てはまる場合には、早急に受診した方が良いです。
- 体の片側や手足に力が入れづらい
- 言葉が出ない、呂律が回らない
- 吐き気や嘔吐がある
- 表情がゆがんでいる、痙攣している
- 意識が遠のいている
また、いつもと違う違和感がある場合にも、専門医での受診をおすすめします。
日常的な病気が原因で起こる頭痛
風邪などの命に別状のない病が原因で起こる頭痛もあります。
- 風邪が原因で起こる頭痛
- 熱中症が原因で起こる頭痛
- 二日酔いが原因で起こる頭痛
- 天気の気圧の変化による頭痛
- 女性の更年期障害が原因で起こる頭痛
風邪が原因で起こる頭痛
風邪が原因で起こる頭痛は、寒気や発熱、関節痛や筋肉痛などの症状が伴っている場合が多いです。
上気道の炎症によって頭痛が起きたり、発熱がある場合にはプロスタグランジンという痛みを引き起こす物質が分泌されて頭痛が起きます。
頭痛だけでなく、鼻水、下痢や便秘、つばを飲み込むと痛い嚥下時痛などの症状があると、風邪の可能性が高いでしょう。
熱中症が原因で起こる頭痛
体温が上がって頭部が過熱状態になっている熱中症の際にも、頭痛があります。
多くの汗をかいていて電解質のバランスが崩れるのも特徴のひとつで、ズキズキした痛みを感じます。
熱い場所にいた翌日に頭痛などの症状が出る場合もありますので、熱中症の危険がある場所での活動をした当日や翌日はゆっくりと休むように心がけてください。
立ち眩みや痙攣、体に力が入らないなどの症状があれば、すぐに病院を受診しましょう。
二日酔いが原因で起こる頭痛
お酒を飲んだ後や翌日にガンガン脈打つようにと頭が痛むのは、アルコール頭痛です。
アルコールは分解されアセトアルデヒドという物質になり、血管を拡張させて神経を圧迫します。
アルコールを多量に摂取したために、血管から水分が漏れ出して神経を圧迫するのも原因です。
経口補水液や水で水分を多く摂取したり、目の周りを冷やしたりすると楽になるでしょう。
天気の気圧の変化による頭痛
雨などの天気の気圧の変化によって頭痛が起きるのを、天気頭痛とよびます。
天気の変化に敏感で、体調の変化で雨が降るかわかるという方もいます。
天気頭痛の主な原因と考えられているのは、気圧の変化や自律神経の失調です。
気圧の変化がストレスとなり、交感神経の働きが強くなることで自律神経のバランスが乱れてしまいます。
天気頭痛の場合は、頭痛薬よりも抗めまい薬や漢方薬などが向いているかもしれません。
耳の血流をよくするマッサージなどでも対策ができます。
女性の更年期障害が原因で起こる頭痛
女性ホルモンのエストロゲンの減少が原因となる、女性の更年期障害。
更年期頭痛と呼ばれ、片頭痛や緊張型頭痛に悩まされる女性が多いようです。
片頭痛はエストロゲンが不安定な閉経前に悪化しますが、閉経後にエストロゲンの変動が治まると痛みも軽減されます。
頭痛の原因を理解した対策を
頭痛には種類があり、それぞれ原因が異なります。
痛みの原因がわかれば、正しい対処方法や予防法を見つけられます。
慢性的な頭痛に悩まされている方は、普段の対処方法が間違っていなかったか確認してみてください。
頭痛薬は使用しすぎると薬物乱用頭痛の原因になる可能性もありますので、頭痛が治らないからといって市販薬を飲み続けるのは危険かもしれません。
市販薬を飲んでも頭痛が改善しない、使用頻度や量が不安だという方も、専門医にご相談ください。