歯ぎしり・食いしばりの癖に気付き、改善したいと考えている人は多いはずです。歯ぎしり・食いしばりを放置すると、顎関節症や歯の欠損・歯周病を引き起こす可能性もあるため、早急に改善を試みなければなりません。本記事では、歯ぎしり・食いしばりの具体的な治療方法を4つのポイントに分けて解説します。
歯ぎしり・食いしばりのチェックリスト
歯ぎしり・食いしばりは無意識のうちに行う人も多くいます。無自覚な方も以下のチェックリストを確認して、ご自身が歯ぎしり・食いしばりをしている可能性がないかチェックしておきましょう。
<歯ぎしり・食いしばりのチェックリスト>
- 歯にひびがある、ひびが入ったことがある
- 歯が欠けている、欠けたことがある
- 上下の歯が噛み合う場所がすり減っている
- 口を閉じたときに、上下の歯が合わさっている
- 集中しているときに歯を噛みしめている
- 歯と歯茎の境目が削れている
- 頬や舌に噛んだ痕がある
- 朝起きたときに顎がだるい感じがする
- 肩こりや頭痛が日常的に起こる
上記の症状のうち、1つ以上当てはまるものがあれば歯ぎしり・食いしばりの癖を持つ可能性があります。とくに5つ以上の項目に該当する場合は、すぐにでも改善を試みましょう。
歯ぎしり・食いしばりの種類
歯ぎしり・食いしばりの種類は3つにわかれます。
<歯ぎしり・食いしばりの種類>
- グラインディング
- クレンチング
- タッピング
それぞれの特徴を解説しましょう。
グラインディング
上下の歯を横に滑らせるタイプで、一般的には「歯ぎしり」と呼ばれます。症状が重い場合は歯のエナメル質を削ってしまうこともあり、最悪の場合は歯槽骨にまでダメージを与えるため注意が必要です。
クレンチング
上下の歯を力強く噛みこむタイプで、強い圧力がかかるため歯が割れやすいことが特徴的です。起きているとき・眠っているときのどちらでも起こり、音がしないため周囲に気付かれることはほとんどありません。
タッピング
上下の歯を小刻みに噛み合わせるタイプで、カチカチと音がすることが特徴的です。グラインディングやクレンチングと比べるとダメージが小さいものの、音が周囲の人に不快感を与える可能性があります。
歯ぎしり・食いしばりが体に与える悪影響
歯ぎしり・食いしばりを放置していると、全身に以下のような悪影響がおよぶことがあります。
<歯ぎしり・食いしばりが体に与える悪影響>
- 顎関節症を引き起こす
- 歯の欠損・歯周病を引き起こす
- 顔の形をゆがませる
- 知覚過敏を引き起こす
- 体調を悪化させる
それぞれのメカニズムをくわしく解説しましょう。
顎関節症を引き起こす
歯ぎしりが原因で顎関節症を引き起こすことがあります。顎関節症は顎の関節に強い痛みを感じる症状が特徴的で、重症化すると食事もままならなくなるため注意しなければなりません。
歯の欠損・歯周病を引き起こす
歯ぎしりが歯を欠損させる原因になることもあります。強い力で噛みしめることが原因で歯がダメージを負い、欠ける・割れるといったトラブルが起こるのです。また、歯ぎしりによって口腔内が傷つき、歯肉や組織に炎症を引き起こして歯周病を悪化させる可能性もあります。
顔の形をゆがませる
左右どちらかに偏って食いしばりを続けていると、顔の形がゆがんでしまうかもしれません。酷使した側の筋肉だけが過度に発達してしまい、左右非対称の顔に変形する恐れがあるのです。
知覚過敏を引き起こす
歯ぎしりや食いしばりが原因で歯の表面のエナメル質に傷がつくと、痛覚のある象牙質が露出してしまいます。象牙質はとても敏感で、この部分に冷たい食べ物や飲み物、あるいは歯ブラシの毛先などが接触すると、キーンとした強い痛みを感じる場合があります。
体調を悪化させる
口腔内以外にも以下のような悪影響が及ぶ可能性があります。
<歯ぎしりによって引き起こされる体の不調>
- 頭痛や肩こり
- 腕のしびれ
- 腰痛
- 股関節のズレ
- 全身の倦怠感
このようなトラブルを防ぐためにも、歯ぎしりは早めに治療して改善させなければなりません。
歯ぎしり・食いしばりの治療方法
歯ぎしり・食いしばりの治療方法として有効なのは以下の4つです。
<歯ぎしり・食いしばりの治療方法>
- 食いしばらないように意識する
- ストレスを解消する
- マウスピースをつける
- 歯医者で治療を受ける
これらの方法がなぜ有効なのか、わかりやすく解説していきます。
食いしばらないように意識する
まずは食いしばらないように意識してみましょう。力んでいると感じた場合は顎の力を抜き、上下の歯を離すように心がけます。これを「自己暗示療法」とも呼び、食いしばらない・歯ぎしりしないように心がけるだけでも症状を改善させられる可能性があります。
ストレスを解消する
人間は強いストレスを感じたときに歯を食いしばりがちです。ストレスを完全になくすことは困難ですが、リラックスして過ごす時間を増やしてストレスを減らすことにより、歯ぎしりを減らせる可能性があります。
マウスピースをつける
睡眠中の対策として有効なのがマウスピース(ナイトガード)の装着です。マウスピースをつけていれば、仮に歯ぎしり・食いしばりをしたとしてもマウスピースが緩衝してくれるため、歯にかかるダメージを抑えられます。
歯医者で治療を受ける
自力での解消を見込めない場合は、歯医者で以下の治療を受けましょう。
<歯医者で受けられる治療>
- 歯列矯正
- 外科手術
- ボトックス注射
それぞれの治療内容を、保険適用の可否も含めながら解説します。
歯列矯正
歯列矯正で歯並びを整えることで、歯と歯が干渉する機会が減り、歯ぎしりや食いしばりを抑えやすくなります。歯列矯正は基本的に自由診療で、保険を適用できません。しかし歯ぎしりが健康を脅かす原因として認められた場合などには、例外的に保険適用ができる可能性もありますから、歯医者での相談をおすすめします。
外科手術
歯ぎしりが原因で顎関節症などの問題が生じている場合は、外科手術で解決を図ることもあります。顎関節症が重症化すると関節円板が癒着し、関節が動かなくなるため、内視鏡を用いた手術で円板を切り離す治療が有効です。外科手術は保険適用の対象となる可能性があります。
ボトックス注射
筋肉の動きを弱めるボトックス注射を打つことで緊張状態を解き、歯ぎしりを防ぎやすい状態へと改善できる場合があります。病状次第では保険適用が可能な場合もあるため、歯科医に相談して確認しましょう。
まとめ
歯ぎしり・食いしばりを放置すると、顎関節症や歯の欠損、歯周病などを引き起こす可能性があります。自己暗示療法やストレスの解消、マウスピースの装着などで解決できる場合もありますが、症状が重い場合は歯医者で治療を受け、できるだけ早く歯ぎしり・食いしばりをなくしましょう。
高輪クリニックでは、歯ぎしりを根本から改善させる治療を行っています。歯ぎしりの症状や口腔内の状態を確認したうえで最適な治療法をご提示し、ご納得いただいたうえで治療をお受けいただくことが可能です。歯ぎしり・食いしばりの自覚症状がある場合は、保険適用の可否も含めて、当院へお気軽にご相談ください。