冷たい飲み物や食べ物を口に含んだときに歯がしみる場合、知覚過敏になっているかもしれません。知覚過敏は専用の歯磨き粉の使用などで改善できる場合もありますが、状況次第では歯医者さんでの治療が必要です。本記事では、知覚過敏を自分で治す方法・歯医者さんでの治療法を解説し、予防法とあわせてお伝えします。
知覚過敏とは?
知覚過敏とは、冷たいものを口に含んだときに歯がキーンとしみる症状のことです。知覚過敏は虫歯が引き起こすものではなく、虫歯が1本もない人でも知覚過敏になることがあります。まずは知覚過敏の症状やなりやすい部位、そして原因を簡潔に解説しましょう。
知覚過敏の症状
知覚過敏の主な症状は次のとおりです。
<知覚過敏の症状>
- 冷たいものを口に含んだときに歯がしみる
- 甘いものを食べたときに歯がしみる
- 歯ブラシの毛先が歯にあたったときに歯がしみる
- 冷たい風があたったときに歯がしみる
大半が一過性の痛みであり、痛んでから数秒~数十秒で症状が治まります。
知覚過敏になりやすい部位
知覚過敏は全ての歯で起こる可能性があります。主な原因は後述するとおり「象牙質の露出」にあるため、歯が擦り減っている・溶けている、あるいは歯肉が退縮している箇所ほど知覚過敏になりやすい状態です。打撲などによって歯に傷がついた箇所も知覚過敏になりやすいでしょう。
知覚過敏の原因
知覚過敏の原因は、神経が通っている象牙質の露出です。健康な歯は痛みを感じないエナメル質で覆われているため、冷たいものを食べても歯がしみることはありません。しかし、何らかの原因でエナメル質が擦り減って象牙質が露出すると、些細な衝撃でも痛みを感じやすくなります。これが知覚過敏の正体です。
知覚過敏の治し方
知覚過敏の治し方として有効なのは以下8つの方法です。
<知覚過敏の治し方>
- 知覚過敏用の歯磨き粉の使用
- 薬の塗布
- プラスチックを使ったコーティング
- マウスピース(ナイトガード)の装着
- レーザー治療
- 噛み癖の改善
- 噛み合わせの調整
- 歯周病治療
順番にくわしく解説しましょう。
①知覚過敏用の歯磨き粉の使用
知覚過敏の症状を感じたら、まずは知覚過敏用の歯磨き粉を試してみましょう。知覚過敏用の歯磨き粉には、象牙質を刺激した際の痛みを緩和させる「硝酸カリウム」が含まれています。そのため歯磨きの際に痛みを感じにくく、知覚過敏の症状を抑える作用に期待できるのです。
②薬の塗布
歯科医院では、知覚過敏の症状を抑えられる薬の塗布を受けられます。患部に薬を塗布することで、象牙細管という神経に痛みを伝える管を塞ぎ、歯がしみたり痛んだりするのを抑えることが可能です。ただし治療の作用は一時的な場合が多く、根本的な改善には違った治療が必要です。
③プラスチックを使ったコーティング
歯科用プラスチック(コンポジットレジン)を使って歯をコーティングし、露出した象牙質を人工的に塞ぐ治療法です。虫歯などが原因で歯が削れている場合などに有効な治療法で、コーティングが剥がれるまでは作用が持続します。
④マウスピース(ナイトガード)の装着
歯ぎしりが原因で知覚過敏を起こしている場合に有効なのは、マウスピース(ナイトガード)の装着です。就寝時にマウスピースを装着するだけで、就寝中の歯ぎしりによるエナメル質の劣化を防げるため、知覚過敏の予防策としても有効といえます。
⑤レーザー治療
露出した象牙質にレーザーを照射することで、象牙質が受けた刺激が象牙細管に伝わりにくくなります。成功すれば持続的な作用に期待できますが、有効性に関する見解は歯科医によってわかれており、保険適用もできません。
⑥噛み癖の改善
日中の「噛み癖」「食いしばり癖」がエナメル質の劣化を招くこともあります。これらの癖をなくすことで歯にかかる圧力が減り、知覚過敏の進行にストップをかけることが可能です。無意識のうちに歯を強く噛みしめている人も多いので、自覚がない人も1度は歯医者で検査を受けるとよいでしょう。
⑦噛み合わせの調整
噛み合わせが悪いと、先述した噛み癖や食いしばり癖がなくても歯が噛み合わず、咀嚼した際などにエナメル質が傷つく可能性があります。噛み合わせが悪い場合は、矯正治療によって歯列を調整することで、知覚過敏を抑えやすくなるでしょう。
⑧歯周病治療
歯周病が原因で知覚過敏を起こしている可能性もあります。歯周病が進行すると歯茎が下がり、象牙質が露出して痛みを感じる場合があるのです。このケースでは歯周病治療を行い、歯茎の状態を改善させることが、知覚過敏の改善にもつながります。
知覚過敏を予防する方法
知覚過敏は発症しないに越したことはありません。知覚過敏を予防する方法として有効なのは以下の4つです。
<知覚過敏を予防する方法>
- 歯磨きの際にやさしくブラッシングする
- 噛み癖・食いしばり癖に気を配る
- 酸を多く含む食べ物・飲み物を控える
- 矯正治療をする
それぞれをくわしく解説します。現在は知覚過敏の症状がない人も、将来に備えてぜひお試しになってください。
歯磨きの際にやさしくブラッシングする
歯磨きの際は、毛先のやわらかい歯ブラシを使ってやさしくブラッシングしましょう。毛先の硬い歯ブラシでゴシゴシと磨くと歯の表面がすり減り、歯茎が下がって、象牙質が露出する原因になります。また、一般的な歯磨き粉には少量の研磨成分が含まれているため、研磨剤不使用の歯磨き粉への切り替えもおすすめです。
噛み癖・食いしばり癖に気を配る
先述したとおり、噛み癖・食いしばり癖が原因で歯が傷むこともあります。噛み癖・食いしばり癖は知覚過敏だけでなく、歯が欠ける原因や、顎関節症の原因にもなるため要注意です。噛み癖・食いしばり癖を自覚しているならば、マウスピースを装着したり、癖を直すトレーニングを取り入れたりして予防しましょう。
酸を多く含む食べ物・飲み物を控える
酸を多く含む食べ物・飲み物を摂取すると、歯の表面が溶けてしまいます。唾液の働きによって再び固まることがほとんどですが、これを繰り返しているうちにダメージが蓄積されるため注意が必要です。完全に遮断するのが難しいならば、量を控えるなどの対策で予防を試みましょう。
矯正治療をする
歯並びや噛み合わせの悪さも知覚過敏の原因のひとつです。これを防ぐ手段として矯正治療を検討しましょう。矯正治療で歯列を整えることにより、知覚過敏を予防するだけでなく、見た目の改善や虫歯・歯周病の予防、頭痛・肩こりの減少といった作用にも期待できます。
まとめ
知覚過敏とは、冷たいものを口に含んだときなどに歯がキーンとしみる症状のことで、象牙質の露出によって起こります。知覚過敏用の歯磨き粉を使うことで改善できる場合がありますが、症状が好転しない場合は歯医者さんで治療を受け、根本的な解決を目指しましょう。
高輪クリニックでは、対症療法だけでない根本改善による治療を目指しています。知覚過敏を引き起こしている原因を突き止めて治療するため、治療後に痛みがぶり返すリスクを下げることが可能です。知覚過敏にお悩みの方はぜひ当院にご相談ください。