最近、家族や自分が食事を食べたり飲んだりする際に違和感を抱いたことはないでしょうか。食事の際に違和感を覚えた場合、嚥下障害となっているケースがあります。
当記事では、嚥下障害の概要や症状、原因や予防方法についてくわしく解説します。自分や家族が嚥下障害ではないかと不安に感じている方や、嚥下障害を避けたいと思っている方は、ぜひお読みください。
嚥下障害とは
嚥下(えんげ)とは、口内で食べ物を噛み砕いたり潰したりし、飲み込みやすい形にしてから喉、胃、食道へと送り込むことを指します。
そして嚥下障害とは、食べることや飲み込むことについての障害です。具体的には、上手にものを食べたり、飲み込んだりするのが難しくなる状態のことを指します。摂食・嚥下障害と呼ぶこともあります。
嚥下障害による症状
嚥下障害によって起こる症状は、主に以下の7つです。
- 食事中にむせる
- 食事をとることに疲れる
- 最後まで食べきれない
- 食事内容が以前と異なる
- 食べ方に変化が表れる
- 食べ物が口の中に残る
- たんが絡みやすい
嚥下障害の疑いがある方は、当てはまるものがないかをチェックしてみてください。
嚥下障害の症状①:食事中にむせる
嚥下障害の症状1つ目は「食事中にむせる」です。嚥下障害になると、食事をしている際にむせる頻度が高くなります。
一般的な人間の体は、飲食物を飲み込む際に喉仏が持ち上がって気管が塞がれます。しかし嚥下障害になっている人の体は、嚥下機能が低下し、喉仏を持ち上げる筋肉が弱まっている状態です。
筋肉が弱まっていると、十分に喉仏が持ち上がらなくなり、気管を防ぐ力が不十分となります。すると、気管に食べ物が入りやすくなり入ってむせる割合が多くなるのです。嚥下障害の方の場合、水分量の多い食べ物はとくにむせやすくなる傾向にあるため注意が必要です。
嚥下障害の症状②:食事をとることに疲れる
続いて挙げられる嚥下障害の症状は「食事をとることに疲れる」です。嚥下障害の患者さんは、食事に疲労感を覚えるようになります。口に入れたものを普通以上にしっかりと噛み砕く必要があったり、飲食物を飲み込むのが困難になったりすることで、体が疲れやすくなってしまうためです。食事を終えたあとに疲労感を覚えたことがある方は、注意が必要だといえるでしょう。
嚥下障害の症状③:最後まで食べきれない
続いて挙げられる嚥下障害の症状は「最後まで食べきれない」です。嚥下障害になると、用意した食事を最後まで食べきれなくなることが増えます。
嚥下障害の患者さんは、念入りに食べ物を噛み砕いて飲まなければならなかったり、飲み込んだあと口の中に食べ物が残ったりすることが増えるため、食事をするのに時間がかかりやすくなります。さらに、嚥下障害がきっかけで食べられるものが減るケースもあるでしょう。
上記のようなことが起こることで、食事の楽しみが減少してしまい、食事に対する意欲も減ってしまいます。結果、食事をしている最中に疲れや気持ちの低下が起こり、食事をすべて食べるのが難しくなることがあるのです。
嚥下障害の症状④:食事内容が以前と異なる
続いて挙げられる嚥下障害の症状は「食事内容が以前と異なる」です。嚥下障害になると、ものを食べるのが難しくなるため、摂取する食べ物の内容も以前と異なってくるケースがあります。
嚥下障害の方が避けやすい食べ物のひとつが、硬い食べ物です。せんべいなどの硬い食べ物はよく噛まないと飲み込めないため、嚥下障害になってからは食べなくなる人も多い傾向にあります。対してお粥や麺類、ゼリーなどの柔らかい食べ物は、あまり咀嚼しなくても食べられるため、嚥下障害の方が好んで摂取しやすい食べ物だといえるでしょう。
嚥下障害の症状⑤:食べ方に変化が表れる
続いて挙げられる嚥下障害の症状は「食べ方に変化が表れる」です。嚥下障害になると、食べ物をよく噛まなければ飲み込めなくなってしまうため、咀嚼の回数が増えます。以前よりも食べ物を噛む回数が増えたと感じた場合は、注意する必要があるといえるでしょう。
嚥下障害の症状⑥:食べ物が口の中に残る
続いて挙げられる嚥下障害の症状は「食べ物が口の中に残る」です。
嚥下障害になると、食べたものを飲み込みにくくなるため、食べたものが口の中に残りやすくなります。口内に食べ物が残ることが多い場合、唇や舌の機能が弱まっていたり、口の中の感覚が鈍くなっていたりすることが考えられます。
唇や舌の機能が弱ると、食べ物を食べこぼしたり気管に入りやすくなったり、栄養状態が悪くなったりすることにもつながるため注意が必要です。
嚥下障害の症状⑦:たんが絡みやすい
「たんが絡みやすくなる」というのも、嚥下障害の症状のひとつです。嚥下障害になることで嚥下機能が弱まり、たんがたまりやすくなるというのが主な原因です。
嚥下障害を引き起こす主な原因
嚥下障害を引き起こす主な原因としては、以下の3つが挙げられます。
- 筋力の低下
- 炎症や腫瘍、外傷
- 心理的な要素(うつ病やストレスなど)
嚥下障害の原因①:筋力の低下
1つ目の原因は、筋力の低下です。体の筋肉が弱まり、食べ物を上手に飲み込めなくなっているケースです。筋力の低下は、加齢のほか、脳卒中や発達障害といった障害が原因で引き起こされます。
嚥下障害の原因②:炎症や腫瘍、外傷
続いての原因は、炎症や腫瘍、外傷です。食道などの器官にできた炎症や腫瘍、外傷が食べ物のとおり道を塞ぎ、飲食物を飲み込みにくくしているケースです。炎症や腫瘍の具体例としては、咽頭炎や口内炎、がんの腫瘍などといえます。
嚥下障害の原因③:心理的な要素(うつ病やストレスなど)
最後の原因は、心理的な要素です。過度なストレスを抱えたり、うつ病を発症したりしたことがきっかけで、飲み込みにくさや喉の違和感を覚え、嚥下障害になるケースもあります。心理的要素が要因の嚥下障害は、食事の際よりも唾液を飲み込むときに違和感を覚えやすいという特徴があります。
嚥下障害の予防方法
以下4つのポイントを押さえた生活を送ることで、嚥下障害をあらかじめ防止できる可能性が高まります。
- 飲み込みやすい食事に変える
- 正しい姿勢で食事をとる
- よく噛んでから飲み込むように意識をする
嚥下障害の予防方法①:飲み込みやすい食事に変える
1つ目の予防方法として、飲み込みやすい食事を食べるようにしましょう。噛み砕きにくいものを食べると、上手に飲み込めず窒息する可能性があります。硬いものが食べにくい場合、ペーストやゼリーの形に変えて食べるのがおすすめです。
嚥下障害の予防方法②:正しい姿勢で食事をとる
顔はやや下を見つつ、椅子の背にもたれない形で食事をとりましょう。顔が正面や上を向いていると、喉と気管の角度がまっすぐになって、食べ物が気管に侵入しやすくなるためです。
嚥下障害の予防方法③:よく噛んでから飲み込むように意識をする
嚥下障害になると、食べ物を飲み込むのが難しくなるため、よく噛まないと窒息のリスクが上昇します。食事の際は、食べ物をよく噛んでから飲み込むように意識しましょう。
嚥下障害の予防方法④:口腔ケアを行う
常に口の中を綺麗にしておくことで、健康的な歯が維持されます。歯が健康だと、食べ物を咀嚼する力も強く保てるため、嚥下障害も予防できるでしょう。
まとめ
嚥下障害とは、食事を食べたり飲んだりするのが困難になる状態のことです。食事中にむせたり、食後に疲れを感じたりした場合、嚥下障害の疑いがあります。
高輪クリニックでは、医科と歯科が強いつながりを持っているため、それぞれの強みを組みあわせたトータルでのサポートを行えます。嚥下障害についてお悩みの方は、ぜひお越しください。