インターネット上などで「口内炎にはちみつが有効的」といった情報を見かけることがありますが、果たしてこれは事実なのでしょうか。はちみつが有効的と言われるのには理由がある一方で、使い方には注意しなければなりません。本記事では、はちみつがもたらす口内炎への作用を解説し、はちみつ以外の対処法もあわせてご紹介します。
口内炎に「はちみつ」が有効的って本当?
口内炎にはちみつが有効的といった情報がインターネットに書き込まれることがあります。結論として、口内炎にはちみつが効くかどうかはわかっていません。はちみつにはたしかに口内炎に有効的と思われる作用も含まれますが、逆に口内炎を悪化させる恐れもあるため、あくまでも俗説のひとつと認識しておきましょう。
【注意】はちみつは1歳未満の赤ちゃんに与えない
はちみつを1歳未満の赤ちゃんに与えてはいけません。1歳未満の赤ちゃんがはちみつを食べると、乳児ボツリヌス症にかかる恐れがあります。
仮に発症しても、ほとんどの場合は適切な治療を受けることで回復しますが、まれに死亡例も見られるため要注意です。赤ちゃんが口内炎を発症したとしても、はちみつを使って治療を試みるのは絶対にやめましょう。
はちみつが口内炎に有効的と言われる理由
はちみつが口内炎に有効的と言われる理由は2つあります。
<はちみつが口内炎に有効的と言われる理由>
- 殺菌作用
- ビタミンB
それぞれが口内炎にどのような作用を発揮するのか解説しましょう。
①殺菌作用
はちみつには殺菌作用があると言われており、とくにマヌカハニーからは大きな作用を期待できるとされています。口内炎は口内にできた傷口に細菌が侵入し、炎症を引き起こすことで発症するケースが多いため、強い殺菌作用を持つはちみつの摂取が口内炎に効くといった説が生まれたのでしょう。
②ビタミンB
はちみつにはビタミンBが含まれていると言われています。ビタミンB群には免疫力を高め、皮膚や粘膜の健康を維持する作用があるため、摂取すると口内炎の改善や予防に有効です。このことも、口内炎にはちみつが有効的という説が誕生した理由のひとつと考えられるでしょう。
はちみつが口内炎を悪化させる可能性もある
先述した2つの作用により、はちみつが口内炎を改善させる可能性がある一方で、反対に口内炎を悪化させるリスクもあります。はちみつは「果糖」と「ブドウ糖」からできており、糖分を多量に摂取する恐れがあるためです。
糖分や糖質を多く含む食べ物を摂取すると、体内で分解する際にビタミンBを消費してしまいます。結果として健康的な粘膜を維持するために必要なビタミンが欠乏する恐れがあるため、注意しなければなりません。
はちみつ以外の口内炎ができた場合の対処法
口内炎ができたときの対処法として、はちみつ以外で有効と考えられるのは以下の5つです。
<はちみつ以外の口内炎ができた場合の対処法>
- 口内環境を衛生にする
- 刺激物を避ける
- 十分な睡眠を取る
- 喫煙回数を減らす
- 食生活に気を付ける
それぞれのポイントが口内炎に有効と言える理由をわかりやすく解説します。
①口内環境を衛生にする
口内環境を整えて清潔にすることがとくに大切なポイントです。口腔内に多くの細菌が潜んでいると、傷口がダメージを受け続けて回復が遅れてしまいます。食後は歯磨きやうがい・口をすすぐといったケアを徹底して行い、細菌の量を少しでも減らしましょう。
清潔な口内環境を保っていれば、ほとんどの口内炎が発症から1~2週間程度で自然に治癒します。少しでも回復までの時間を早めたいならば、市販薬の使用もおすすめです。傷に触れても傷まない場合は塗り薬、口内炎が多い場合はスプレーなど、口内炎の症状によって薬のタイプを使い分けましょう。
②刺激物を避ける
刺激物は口内炎を悪化させる恐れがあります。また、口内炎に触れた際に強い痛みを感じる可能性もありますから、以下のようなものは口内炎が治るまで極力避けましょう。
<口内炎が治まるまで避けるべき刺激物の例>
- 熱々のラーメンやスープ類
- 香辛料が使われているカレーやキムチなどの食べ物
- 熱いお茶や紅茶、コーヒーなどの飲み物
- 炭酸類やアルコール
香辛料や炭酸類などの刺激物以外では、極端に熱いものも避けたほうが賢明です。場合によっては傷口を広げる恐れもありますから、十分に冷ましてから口に含みましょう。
③十分な睡眠を取る
十分な睡眠時間の確保も口内炎を素早く治すためのコツのひとつです。睡眠時間の確保で免疫力が高まり、口腔内に潜んでいるウイルスへの抵抗力が上がります。睡眠時間をたっぷりと取ること、そして睡眠の質を高めることを意識して、口内炎を治しやすい体質に改善しましょう。
また、ストレスも免疫力を下げる原因となるため注意が必要です。現代社会でストレスをゼロにするのは難しいことですが、適度なストレス発散を心がけましょう。リラックスして過ごす時間を増やすことで免疫力が上がり、口内炎を治しやすくなります。
④喫煙回数を減らす
喫煙が原因で発生する口内炎を「ニコチン性口内炎」と言います。ニコチン性口内炎が発生する原因は、ニコチンによる悪影響と、喫煙する際の煙で口腔内を軽くやけどすることの2つです。舌に白い潰瘍ができたり、頬や歯肉などが赤く腫れたりした場合は、ニコチン性口内炎を疑わなければなりません。
このリスクを下げるためには禁煙するのが一番ですが、ヘビースモーカーの方にとっては難しいことでしょう。少しずつでも喫煙回数を減らして、ニコチン性口内炎の発症リスクを抑えることをおすすめします。また、歯磨きなど口腔内のケアも徹底して行い、細菌の量を減らすこともポイントです。
⑤食生活に気を付ける
食生活が乱れると、健康的な粘膜を維持するために必要な栄養素が欠乏し、口内炎が治癒しにくくなります。とくに「ビタミンA」「ビタミンB2」「ビタミンB6」「ビタミンC」は、免疫力を高めるために有効な栄養素です。バランスのよい食生活を心がけて体質を改善させましょう。
また、いくら食生活に気を遣ったとしても、消化不良により栄養を吸収できなければ意味がありません。消化を助けるために役立つ「大根おろし」などを食事にプラスしたり、食生活だけで改善するのが難しい場合はサプリメントを摂取したりなど、ちょっとした工夫を凝らすことも必要です。
口内炎が続く場合は、医療機関を受診する
口内炎が続く場合は、以下のような病気が潜んでいる可能性もあります。
<口内炎と同等の症状が出ることのある主な病気>
- 口腔がん
- 白板症
- ベーチェット病
- 性感染症
- 手足口病
- 白血病
- クローン病
ほとんどの場合、通常の口内炎は発症から1~2週間で自然治癒します。発生から2週間が経過しても症状が改善されない場合や、悪化した場合は、医療機関を受診して検査を受けましょう。
まとめ
はちみつが口内炎に有効的との説が正しいかどうかは不明です。口内炎を改善させるために必要な作用がはちみつに備わっている可能性はありますが、反対に口内炎を悪化させる可能性もあるため注意しましょう。その他の有効な対処法を試し、なかなか治らない場合は医療機関の受診をおすすめします。
高輪クリニックでは、医科歯科の連携医療によって体質を根本的に改善し、病気からの脱却を目指す治療を行っています。舌がんなどの重大なトラブルにも即座に対応し、適切な治療が可能ですので、口内炎にご不安をお持ちなら当院にご相談ください。