口内炎は唇にできることもありますが、その原因はどこに潜んでいるのでしょうか。本記事では、口内炎を4つの種類に分けて、それぞれの原因と対処法をくわしく解説します。少しでも早く治すための方法にも触れているので、現在口内炎にお悩みの方も、将来のリスクに備えたい方もご一読ください。
唇にできる口内炎の種類と原因
唇にできる口内炎の種類は、主に以下の4つです。
<唇にできる口内炎の種類>
- 種類1:アフタ性口内炎
- 種類2:カタル性口内炎(外傷性口内炎)
- 種類3:ウイルス性口内炎
- 種類4:その他の口内炎
種類別に口内炎の特徴やできる場所、原因について解説します。
種類1:アフタ性口内炎
アフタ性口内炎は円形もしくは楕円形の口内炎で、赤く縁取られた白っぽい潰瘍ができることが特徴です。唇の裏だけでなく、頬の内側や舌、歯茎にできることもあります。強い痛みをともなうことが多いため、完治するまでは飲食時に苦痛を感じる可能性が高いでしょう。
食事の栄養バランスが偏っている
アフタ性口内炎の原因として多いのが免疫力の低下です。食事の栄養バランスが偏ると免疫力が落ち、口内炎ができやすくて治りにくい口内環境になってしまいます。とくにビタミンB群や鉄分の欠乏は免疫力の低下に直結するため、食生活に注意しつつ、サプリメントの摂取などで補いましょう。
また、消化不良にも注意しなければなりません。栄養素をたっぷりと吸収しても、十分に消化・吸収できなければ意味がなくなってしまいます。消化を助ける作用を持つ「大根おろし」などを、毎回の食事にプラスすると有効的です。
生活習慣が乱れている
生活習慣の乱れも免疫力の低下を招きます。睡眠時間をたっぷり取ったり、睡眠の質を向上させたりすることで体力を回復しやすくなり、免疫力が高めることが可能です。また、ストレスのため過ぎもトラブルのもとになりますから、適度な発散を心がけましょう。
種類2:カタル性口内炎(外傷性口内炎)
カタル性口内炎では、赤い炎症や斑点、水ぶくれ、ひび割れなどの症状が見られます。物理的なダメージが原因での発症が多く、唇の裏側や表側、舌、頬などあらゆる箇所に口内炎ができることがあるため注意しましょう。こちらも痛みをともなうことが多く、人によっては口臭が強くなる可能性もあります。
入れ歯や矯正器具が接触している
カタル性口内炎の原因として多いのが、入れ歯や矯正器具の接触です。尖っている箇所が粘膜に触れて傷を付け、そこから細菌が侵入して炎症を起こしてしまいます。接触が気になる場合は歯科医師に相談し、入れ歯や矯正器具を調整できるか検討してもらいましょう。
唇の裏側を噛んだ
唇の裏側を誤って噛んでしまい、その傷が口内炎へと発展するケースも見られます。間違って噛んでしまうことは誰にでもありますが、何度も噛んでしまう場合は噛み合わせの悪さがその原因かもしれません。クリニックで歯並びの検査を受け、状況に応じて歯列矯正などの治療を検討するとよいでしょう。
虫歯の影響
虫歯や歯周病、歯槽膿漏といった疾患も口内炎の原因です。虫歯の影響などで欠けた歯が唇にあたって傷を付けることもありますから、歯のトラブルは放置せず、すぐに適切な治療を受けましょう。
種類3:ウイルス性口内炎
ウイルス性口内炎は、ウイルスの種類によって以下の4パターンに分類できます。
<ウイルス性口内炎の種類>
- カンジダ性口内炎
- ヘルペス性口内炎
- 手足口病
- 梅毒などの性感染症
それぞれ特徴と原因が異なるため、個別に解説していきましょう。
カンジダ性口内炎
カンジダ性口内炎では、白くて柔らかい苔のようなものが口内の全体に広がります。原因はカンジダ菌など真菌が過剰に増殖したことで、糖尿病などの影響で免疫力が低下した人の発症例が多いことが特徴です。痛みをともなうことはあまりありませんが、カンジダ菌の増殖を抑えるために抗真菌剤を使った治療や当院ではカンジタに効く乳酸菌サプリをご用意しています。
ヘルペス性口内炎
ヘルペスウイルスへの感染で発症する口内炎で、唇の表側・裏側のほか、舌や歯茎などにも発生します。発疹とともに高熱などの症状が表れることがあり、水ぶくれができたあとに破れて潰瘍になることが特徴です。主な感染者は3歳くらいまでの幼児ですが、1度感染するとヘルペスウイルスは体内に潜伏するため、大人になってからの再発もあります。
手足口病
手足口病は6~8月の夏に流行することが多い病気で、とくに5歳未満の子どもが発症するケースが目立ちます。唇をはじめ口内の粘膜全般、そして手と足など全身に水ぶくれができることが特徴です。有効な特効薬がなく、対症療法で回復を待たなければなりません。
梅毒などの性感染症
梅毒や淋病、後天性免疫不全症候群(エイズ)などの性感染症の症状として口内炎が出ることもあります。痛みの有無や症状は感染した病気の内容によりさまざまです。性感染症そのものの治療を行わなければ、口内炎の原因を撲滅できません。
種類4:その他の口内炎
その他の口内炎としては以下の2種類も考えられます。
<その他の口内炎の種類>
- アレルギー
- 薬の副作用
それぞれ代表的な例をご紹介しましょう。
アレルギー
食べ物や金属のアレルギー反応によって口内炎を発症するケースです。とくに多いのは入れ歯や矯正器具に使われている金属が発症させるアレルギーで、接触している箇所がただれるなどの症状が表れることがあります。
薬の副作用
薬の副作用で口内炎ができることもあります。抗がん剤治療を行っている人の発症例が目立ちますが、市販の風邪薬から副作用が出る人もいるため要注意です。合わない薬の服用は避け、それが常用薬の場合は担当医に相談しましょう。
唇にできた口内炎を早く治すための方法
唇にできた口内炎を早く治す方法は、口内炎の種類によって異なります。4つの種類に分けて最適な対処法を解説するので、ご自身の症例に合った方法を確認しましょう。
アフタ性口内炎の場合
アフタ性口内炎を早く治すために心がけるべきことをリストアップしました。
<アフタ性口内炎を早く治す方法>
- 免疫力を向上させる
- 口腔内をしっかりとケアする
アフタ性口内炎は免疫力の低下により発症するケースがほとんどです。ビタミンを摂取するなど食生活に気を配り、睡眠時間を増やす・ストレスを発散するといった方法で体内環境を改善させましょう。また、口内に潜むウイルスの量を減らすために、歯磨きなどによる口腔内のケアも欠かせません。
カタル性口内炎の場合
カタル性口内炎を速やかに治すためのコツは以下のとおりです。
<カタル性口内炎を早く治す方法>
- 刺激物の摂取を控える
- 接触する入れ歯や矯正器具を調整する
物理的なダメージによる発生がカタル性口内炎の特徴です。傷口を広げないために、完治するまでは刺激物の摂取を控えましょう。また、入れ歯や矯正器具が唇に傷を付けている場合は、完治と受傷を繰り返してしまいますから、歯科医に相談して調整の依頼をおすすめします。
ウイルス性口内炎の場合
ウイルス性口内炎の場合、原因となるウイルスを減らす・なくす治療を行わなければなりません。専門の病院を受診して、病気そのものを改善させましょう。
その他の口内炎の場合
その他の口内炎の場合は原因により対処法が変わります。アレルギーであれば原因となるアレルゲンの除去が必要ですし、薬の副作用ならば薬を変更しなければなりません。担当医に相談し、原因が不明な場合はアレルギー検査を受けることも検討しましょう。
まとめ
口内炎が唇にできる原因は、口内炎の種類によって異なります。まずはご自身の口内炎の原因を知り、最適な対処法を確認しましょう。専門的な治療や調整が必要な場合は、まず歯科医や担当医への相談をおすすめします。
高輪クリニックでは、医科と歯科が連動した医療の提供が可能です。口内炎の検査でもあらゆる可能性を念頭に置き、トラブルを見落とすことにないよう細心の注意を払っております。唇やその周辺にできる口内炎にお悩みなら、ぜひ当院にご相談ください。