頻繁に口内炎ができ、激しい痛みに悩んでいる方もいるでしょう。本記事では、そもそもなぜ口内炎が発生してしまうのか、その種類や予防法とあわせて原因を解説します。また、口内炎との共通点を持つその他の病気についても解説しているので、口内炎の原因とともにチェックしておきましょう。
口内炎とは?
口内炎とは、名前のとおり口のなかにできる炎症のことです。口内炎ができる部位や症状は人によって異なります。炎症ができた部位に応じて「歯肉炎」や「舌炎」と表現することもありますが、いずれも性質は変わりません。
口内炎の種類・症状
主な口内炎の種類と症状を表にまとめました。
【主な口内炎の種類と症状】
種類 | 症状 |
---|---|
アフタ性口内炎 | 円形もしくは楕円形で白っぽい潰瘍ができる |
カタル性口内炎 | 水ぶくれができてすぐに潰瘍になる |
ウイルス性口内炎 | 赤くただれる |
アレルギー性口内炎 | アレルギー反応による炎症が起こる |
ニコチン性口内炎 | 粘膜や舌に白斑ができる |
また、口内炎全般では以下の症状が見られます。
<口内炎全般に見られる症状>
- 粘膜が赤くなる
- 白斑ができる
- 水ぶくれができる
- ただれる
- 腫れる
- 粘膜の表面が剥がれる・硬くなる
重症化すると小さな刺激でも強い痛みを感じる場合があり、飲食が苦痛になる恐れもあるため注意が必要です。
口内炎ができやすい部位
口内炎ができやすい部位は以下の4つです。
<口内炎ができやすい部位>
- 唇の裏側
- 口角
- 歯茎
- 舌
口内炎ができる場所は原因によっても異なります。特定の箇所に繰り返し口内炎ができる場合は、原因を特定して予防策を試すとよいでしょう。
口内炎ができる原因は?予防法もあわせて解説
口内炎ができる原因は主に7つあります。
<口内炎ができる原因>
- 疲労・ストレス
- 栄養バランスの乱れ
- 口腔内の乾燥
- 外傷
- 細菌・ウイルス
- 歯磨き粉・薬
- 病気
それぞれのくわしい原因と予防法を解説しましょう。
疲労・ストレス
疲労やストレスが原因で口内炎ができることがあります。疲労やストレスを抱えると口内の代謝が滞りやすくなり、粘膜を再生させる力が落ちてしまうためです。結果的に口内に荒れやただれが発生しやすくなり、回復も遅れてしまいます。
規則正しい生活を送り、睡眠時間をたっぷり取ることが口内炎予防に有効的といえるでしょう。ストレスを抱えずに生きるのは困難ですが、趣味の時間やリラックスできる時間を少しでも多く取ることもポイントです。心身の健康を保つことが、口内環境を向上させることにつながります。
栄養バランスの乱れ
先ほど生活習慣の悪化が口内炎を招くとお伝えしましたが、それに関連する口内炎の原因として注意しなければならないのが栄養バランスの乱れです。とくにビタミンB2やビタミンB6が不足すると免疫力が下がり、口内炎ができやすい・口内炎から回復しにくい口内環境が生じてしまいます。
ビタミンB群は「かつお」や「まぐろ」などの魚介類や「豚ひれ」「鶏のささみ」をはじめとする肉類「バナナ」などの果物に多く含まれているため、これらの食材を意識的に取り入れましょう。食生活だけで改善できない場合は、サプリメントや医薬品を摂取して補うことをおすすめします。
口腔内の乾燥
口腔内が乾燥すると口内炎ができやすくなります。粘膜を保護したり、修復したりする役割を果たす唾液の分泌量が少なくなるせいで、口内炎が発生しやすくなるのです。
唾液の分泌量は自律神経が調節しているため、できるだけリラックスして過ごせる時間を増やしましょう。食べ物をよく噛んで食べることも唾液の量を増やすためのポイントです。また、口呼吸がクセになっている場合は歯列矯正で歯並びを改善し、鼻呼吸しやすい状態にすることをおすすめします。
外傷
上記のようなトラブルが発生していなくても、ひとつの外傷が口内炎を引き起こすケースも目立ちます。誤って粘膜を噛んでしまったり、事故などが原因で口内に裂傷を負ったりした際に細菌が侵入し、炎症が発生することも多いのです。
事故を100%防ぐことは難しいので、口内に潜んでいる細菌の量を減らして対処しましょう。とくに歯垢や歯石はウイルスの塊なので、食後はていねいに歯磨きをしたり、定期的にクリニックで歯石取りをしたりして清潔な状態を保つことをおすすめします。
細菌・ウイルス
先述したように、細菌やウイルスが口内の傷口に侵入して炎症を起こし、口内炎が発生することがあります。ウイルス性口内炎は症状が重くなるケースも多く、強い痛みが生じるだけでなく、高熱が出る場合もあるため要注意です。
口腔内のケアを徹底して行うことに加えて、入れ歯を使っている場合は入れ歯、歯列矯正中の場合はマウスピースなど器具のケアにも力を入れましょう。また、歯科健診を受診して、個々に合った正しい歯磨きの方法を教えてもらうこともおすすめします。
歯磨き粉・薬
歯の健康のために使っている歯磨き粉や薬が口内炎を発症させる可能性もあります。とくに「合成界面活性剤」は、口内にできた傷を強く刺激しがちなため要注意です。刺激の強い歯磨き粉や薬を使うと、軽症で済んでいたはずの傷が炎症を起こし、口内炎になってしまうかもしれません。
とくに口内に傷がある場合は、歯磨き粉や薬の成分を確認して、傷口を刺激する成分が含まれていないか確認しましょう。また、ゴシゴシと力を入れて歯磨きをすると傷口を刺激してしまうため、ていねいなやさしい歯磨きもポイントです。
病気
病気にかかっている場合など、体に不調を抱えているときも口内炎が発生しがちです。たとえばただの風邪でも免疫力が低下するため、口内炎ができやすい環境が発生してしまいます。体調管理にも気を配り、できるだけ風邪をひかない・病気にかからない健康的な生活を送りましょう。
口内炎の治療方法
口内炎の治療方法は主に2つあります。
<口内炎の治療方法>
- 薬物療法
- レーザー治療
薬物療法では、消毒や抗炎症作用を持つ軟膏、シール、飲み薬などを使用します。クリニックでは患部にレーザーを照射する治療を受けられ、痛みの軽減と早期回復に期待できるため、痛みがひどい場合はクリニックに相談するとよいでしょう。
口内炎とよく間違えやすい病気とその原因
口内炎とよく間違えやすい病気は主に以下の3つです。
<口内炎とよく間違えやすい病気>
- 舌がん
- 歯肉がん
- 白板症
それぞれの原因と特徴をお伝えします。
舌がん
舌がんは舌への継続的な刺激が原因で発生するとされています。口内炎と似た症状が表れますが、2週間以上が経過しても治癒しない場合は舌がんを含めた病気を疑うべきです。舌の縁に乱れた形の潰瘍ができることが特徴です。
歯肉がん
歯肉がんは歯肉部分に発生するがんです。口内炎とともに、歯肉から出血したり、歯がぐらついたりといった症状が見られます。こちらも通常の口内炎と違って自然治癒しにくいため、口内炎が2週間以上残っている場合は検査を受けるとよいでしょう。
白板症
白板症は、頬や舌に見られる白い病変です。ただれをともなうこともあり、飲食時に痛むなどの症状も口内炎と変わりませんが、悪性化するとがんになる恐れもあるため注意しましょう。原因としては喫煙やアルコール、義歯などによる慢性的な刺激、ビタミン不足などが挙げられます。
まとめ
口内炎の原因は疲労から病気までさまざまです。規則正しい生活を送り、口腔内のケアを欠かさずに行うことで口内炎のリスクを引き下げられます。また、口内炎によく似た症状の病気も存在するため、治癒に時間がかかる場合はクリニックに相談して検査を受けましょう。
高輪クリニックでは、医科と歯科の横のつながりを大事にした医療を提供しています。ていねいな精密検査により、舌がんなどの恐ろしい病気のサインも見過ごしません。軽い症状の口内炎治療も可能ですので、口腔内のお悩みを抱えている方は、ぜひ当院にご相談ください。