痛い歯肉炎にお悩みの患者さんは多いです。なかには夜も眠れないほどの痛みに悩まされ、市販薬の使用している人もいるでしょう。
この記事では、痛い歯肉炎の対処法や市販薬の効果について説明します。歯肉炎が痛む原因についても9つのポイントに分けてあわせて解説します。
歯肉炎とは
歯肉炎とは、歯周病の初期段階のことです。歯にたまった歯垢や歯石は毒素を生み出し、これが周囲の歯茎に炎症を起こして歯肉炎を招きます。歯肉炎を放置すると、炎症の範囲が広い歯周炎に進行し、やがて歯槽骨を溶かす歯槽膿漏に発展する恐れがあります。
痛い歯肉炎の原因
歯肉炎は歯垢(プラーク)の蓄積が原因で起こります。それでは、そもそもなぜ歯に歯垢が付着するのでしょうか。歯肉炎の原因となる歯垢が発生する理由は以下のとおりです。
<痛い歯肉炎の原因>
- 口内の手入れ不足
- ストレス・疲労
- 不規則な食生活
- 喫煙
- 合わない義歯やかぶせ物
- 歯並びや噛み合わせの悪さ
- 口呼吸などの口腔習癖
- ホルモンの影響
- 薬・病気の影響
歯肉炎の原因を正しく理解できていないと、治療を行ったあとに歯周病を再発させてしまう恐れがあります。それぞれの原因をくわしく解説します。それとあわせて歯周病のメカニズムについても知りましょう。
口内の手入れ不足
口内の手入れ(ブラッシング)が不足すると、歯垢を除去しないまま放置することになります。歯垢は2~3日程度放置すると石化して歯石に変わり、自力では除去できなくなるため要注意です。歯科医院で自分にあった歯ブラシと磨き方の指導を受け、正しい方法で口の中の手入れをしましょう。
ストレス・疲労
ストレスや疲労を蓄積すると、歯周病菌に対抗する免疫力が失われてしまいます。歯周病が発症する原因になるだけでなく、歯周病の悪化を助長してしまうため、ストレスや疲労がたまりにくい生活を送るように意識しましょう。
不規則な食生活
不規則な食生活により栄養バランスが乱れると、歯と歯茎の健康状態の悪化を招きます。バランスの良い食生活を心がけて、歯周病菌に対抗できる体内環境に整えましょう。また、甘い物や柔らかい物は歯にこびりついて歯垢に変わりやすいため、食べすぎは気をつけましょう。
喫煙
タバコには血管を収縮させる作用があります。タバコを吸いすぎると歯茎への血流が滞り、酸素が行き渡りにくくなって歯周病菌を繁殖させてしまうため要注意です。口内の健康を守るためにも、禁煙したり、タバコの本数を減らしたりするように意識しましょう。
合わない義歯やかぶせ物
虫歯治療で使った義歯やかぶせ物が合わない場合、その部分をブラッシングケアしにくくなります。他の歯との段差が生じている場合はとくに歯に物が挟まりやすくなり、歯周病の発生リスクが高まるため、矯正による治療がおすすめです。
歯並びや噛み合わせの悪さ
歯磨きのしにくさが歯周病に直結します。歯並びや噛み合わせが悪いと、その部分のケアが不十分になりがちです。ケアの届きにくい部分から歯周病にかかるリスクが高まるため、必要に応じて歯列矯正による改善を行いましょう。
口呼吸などの口腔習癖
口呼吸をすると口内が乾燥して、歯周病菌が増殖しやすい環境が生まれてしまいます。また、歯ぎしりをするクセがある人も、歯茎に負担がかかるせいで歯周病を招きやすくなるため注意しましょう。歯ぎしりに関しては、マウスピースを装着するなどの対策が有効です。
ホルモンの影響
女性ホルモンの影響により歯周病を引き起こすこともあります。歯周病菌の一種である「プレボテラ・インターメディア」は、卵胞ホルモンを餌にして増殖するのです。とくに女性は出産や更年期などでホルモンバランスが崩れやすいため、こういった時期には歯周病対策を強化しなければなりません。
薬・病気の影響
抗てんかん、高血圧、免疫抑制のための薬は歯周病を発生・進行させる可能性があるため注意しましょう。また、糖尿病や関節リウマチ、骨粗しょう症、ダウン症、白血病、エイズといった病気を抱えている人も、歯周病の発生確率が高いとされています。
痛い歯肉炎の対処法
痛い歯肉炎への対処法として有効なのは、以下4つです。
<痛い歯肉炎の対処法>
- 正しい歯磨きを行う
- デンタルフロスや歯間ブラシを使用する
- バランスの良い食事をとる
- 喫煙を見直す
順番に解説していきます。
正しい歯磨きを行う
もっとも重要なのは正しい歯磨きを行うことです。歯周病は歯垢の蓄積によって引き起こされるため、食後に正しく歯磨きを行い、歯垢を除去することで歯周病の発生率は下がります。正しい歯磨きの方法は、定期健診の際に医師からの指導を受けて学びましょう。
デンタルフロスや歯間ブラシを使用する
歯ブラシでは落としにくい汚れは、デンタルフロスや歯間ブラシを使って除去しましょう。歯に挟まった物を放置すると、これを栄養源にして歯周病菌が蔓延してしまいます。詰まった物は放置せず、デンタルフロスや歯間ブラシで取り除いてください。
バランスの良い食事をとる
先述したように、栄養バランスの乱れも歯周病を発症させる原因のひとつです。バランスの良い食事をとることで、歯茎に十分な栄養が行き渡り、歯周病菌に対して抵抗しやすくなります。
喫煙を見直す
喫煙が歯周病を招く恐れがあることも先ほどお伝えしました。完全な禁煙が難しい場合は、1日に吸うタバコの本数を減らしてみましょう。喫煙での血流を阻害する作用を減らすことができ、歯周病の改善につながるはずです。
歯肉炎の痛みに、市販薬は使える?
眠れないほどの痛みを感じる場合は、市販薬を使ってしのいでも構いません。抗生物質の内服薬はドラッグストアで市販されていませんが、一般的な痛み止めや、歯肉炎向けの塗り薬は広く販売されています。ただし、市販薬を使って痛みをごまかし続けるのはやめてください。瞬間的に痛みを食い止めている間も歯周病の進行は続いており、根本的な解決にはなりません。
歯肉炎の痛みが治まらない場合は、歯科医院を受診しよう
歯肉炎の痛みが治まらない場合は、歯科医院を受診して対処してもらいましょう。歯科医院では痛みを食い止められる抗生物質などの処方をするとともに、痛みを引き起こす原因である歯周病そのものの治療も受けられます。進行した状態の歯周病をセルフケアだけでの改善は不可能なので、歯周病の自覚症状を覚えたら、速やかに歯科医院への相談をおすすめします。
まとめ
痛い歯肉炎の原因は、口内の手入れ不足からストレス・疲労、口呼吸など日ごろの習慣、そしてホルモンや薬・病気の影響までさまざまです。痛みが強い場合は市販薬でしのいでも構いませんが、それだけでは根本的な解決につながりません。痛みが続く場合は、速やかに歯科医院を受診しましょう。
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