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子宮内フローラの乳酸菌を増やす方法&ラクトバチルス菌と妊娠の関係

腸内の善玉菌と悪玉菌のバランスを整える、腸内フローラについてはご存じの方も多いでしょう。
子宮内にも乳酸菌があり、善玉菌や悪玉菌が存在しています。

これらは子宮内フローラと呼ばれ、子宮内の乳酸菌のバランスは、子宮内の健康や妊娠の確率や妊娠継続に影響があるとわかってきました。

そこで今回は、以下について解説します。

  • 子宮内の善玉菌とは?
  • 子宮内の善玉菌を増やす方法
  • 子宮内の菌のバランスが崩れるとどうなってしまうのか

子宮内の善玉菌「ラクトバチルス菌」

ラクトバチルス菌

人間の腸内は様々な菌が存在しており、細菌の集団がお花畑のように見えるので「腸内フローラ」と呼ばれています。
子宮内にも同じように多種多様な菌が存在していて、「子宮内フローラ」と呼ばれます。

子宮内に多く存在するのが望ましい善玉菌は、「ラクトバチルス菌」です。
まずはラクトバチルス菌について、詳しくご説明します。

  1. ラクトバチルス菌の働き
  2. ラクトバチルス菌と妊娠
  3. ラクトバチルス菌と流産・早産
  4. 子宮内フローラの理想的割合

不妊治療でも注目されている、ラクトバチルス菌について正しく理解しましょう。

ラクトバチルス菌の働き

ラクトバチルス菌とは、膣や子宮に存在する乳酸菌で、いわゆる善玉菌の一種となります。
人間の口や腸にも存在する善玉菌で、栄養素の吸収を高めたり、腸を正常に動かしたりしてくれています。

糖から乳酸を作り出すという仕事もしてくれていて、子宮や膣を健康に保つ役割もあります。

子宮内の環境を整える

女性の子宮内には多種多様な菌が存在していて、その中でもラクトバチルス菌は子宮内の環境を整えるという役割があります。
免疫環境を整えてくれますので、着床や妊娠に大きく影響する菌であるとわかってきました。

ラクトバチルス菌の働きで子宮を良い状態に保つのはもちろん、細菌性膣炎や尿路感染症などのトラブルを防いでくれる存在でもあります。

悪玉菌優勢で受精卵が異物に!?

子宮内に悪玉菌が優勢になってしまいますと、受精卵が異物と捉えられ、排除されてしまう場合があります。
そのため子宮内の環境は、常に善玉菌が優勢になるような環境を作っておくようにしなくてはいけません。

ラクトバチルス菌は善玉菌なので、悪玉菌や病原菌が過ごしにくい環境を作ってくれています。
望んでもなかなか妊娠しない、着床しても育ちにくい、という方は、ラクトバチルス菌が少なく、悪玉菌が多いのが原因かもしれません。

ラクトバチルス菌と妊娠

ラクトバチルス菌妊娠

ラクトバチルス菌の働きによって、子宮内フローラが整うと妊娠・着床しやすくなるといわれています。
不妊治療で体外受精を行った妊婦さんを調べると、ラクトバチルス菌が豊富な人の方が妊娠しやすいという結果が出ています。

そのため、不妊治療でも子宮内フローラを整えることが重要だと、考えられるようになってきています。

ラクトバチルス菌と流産・早産

ラクトバチルス菌は、着床・妊娠だけでなく、流産や早産とも関係があります。
「妊娠はするから不妊症ではないけれど、不育症かもしれない」という方も、ラクトバチルス菌を意識してみましょう。

妊娠しただけではなく、10ヶ月間は子宮で赤ちゃんを育ててあげなくてはいけませんので、子宮内の環境が重要だとわかります。
細菌性膣症になると早産のリスクも上がりますが、ラクトバチルス菌は細菌性膣症の予防効果もあります。

子宮内フローラの理想的割合

子宮内フローラの善玉菌であるラクトバチルス菌の理想的な割合は、90%以上です。
「何回か胚移植に挑戦しているけど着床しない」という方の約半分は、子宮内フローラの乱れが原因だといわれています。

子宮内フローラのラクトバチルス菌を意識すると同時に、まずはご自身の子宮内フローラの状況を理解するのも大切です。

自分のラクトバチルス菌を知る

子宮内フローラは検査をすればわかります。
着床不全や反復流産に悩んでいるという方は、子宮内フローラの検査を検討してみてもいいかもしれません。

検査をすると、子宮内のラクトバチルス菌やその他の菌の割合を把握できるでしょう。
結果によって、ラクトバチルス菌を増やす抗菌薬やサプリメントを処方されたりと、改善に向けて治療を開始できるケースもあります。

子宮内の乳酸菌を増やす方法

子宮乳酸菌増やす方法

子宮内フローラの乳酸菌を増やして、細菌のバランスを理想通りに保つ方法はあるのでしょうか。
ラクトバチルス菌を増やすためにサプリメントを飲むなどの方法もありますが、自分でできる改善策もありますので、ご紹介します。

  1. 腸内フローラを増やす
  2. 膣内フローラを増やす
  3. ラクトバチルス菌を増やす

腸内フローラを増やす

子宮内フローラを整えるには、腸内フローラを整えるとよいです。
一般的にいわれる「腸活」をすると腸内細菌が整い、子宮内の細菌環境も改善されていきます。

腸活のイメージは便秘の改善、肌質の向上など、子宮環境とは一見関係なさそうにみえるかもしれません。
例えば口には口内フローラという細菌群も存在しますが、腸内フローラを整えると口内フローラも整ったりと全身の体調管理に影響するともいわれています。

腸内フローラは妊婦さんを支える

「妊娠すると腸内フローラを整えた方がよい」という勧めがあるほどに、腸活も重要です。
着床・妊娠した後の妊婦生活においても、腸内フローラを意識した生活を続けられるとよいでしょう。

妊婦さんに腸活を勧める理由には、これらの点が挙げられます。

  • ホルモンバランスの変化による便秘改善
  • 免疫力を向上させる
  • 肌荒れなどのトラブル防止
  • 体重増加のコントロールのため

腸の健康は全身の健康維持にも役立ちますので、覚えておきましょう。

腸内フローラを増やす食べ物

腸内フローラ増やす

腸内フローラを改善させるために意識したいのは、食べ物です。
善玉菌を多く含む発酵食品、善玉菌を育てるためのオリゴ糖や食物繊維を多く含む食品を摂取するとよいといわれています。

  • ヨーグルト
  • 味噌
  • 納豆
  • キムチ
  • ごぼう
  • りんご
  • 海藻類 
  • きのこ類

「腸内フローラのため……子宮内フローラのため……」と頑張りすぎると疲れてしまいますし、ストレスを溜め過ぎてもいけません。
普段の生活に取り入れやすい物から、美味しく取り入れて、無理なく続けていけるスタイルを見つけていきましょう。

膣内フローラを増やす

腸内フローラ、子宮内フローラがあるように、膣の中には膣内フローラが存在しています。
膣で働く善玉菌もラクトバチルス菌で、理想的な膣内フローラのバランスを保てると、清潔で健康な膣内を維持できます。

膣内フローラを意識する方法は、以下のとおりです。

  • 腸内フローラを整える
  • タンポンを長時間使用しない
  • 喫煙しない
  • 房事過多に注意
  • 膣内洗浄しすぎない
  • 通気性の良い下着をつける
  • しっかり休む
  • 糖質を控える

膣内フローラを整えるにも腸活が影響してきますので、腸活を意識した食生活を取り入れてみましょう。
また下着の通気性を意識したりと、膣を清潔に保つのも重要です。

雑菌のエサになるのが糖質なので、普段糖質を摂りすぎていると自覚がある方、デリケートゾーンのにおいなどが気になる時には、食事の糖質をカットしてみてください。

オリモノがバロメーターに

膣内は自分では見られませんが、オリモノがバロメーターになります。
ストレスや睡眠不足など、ちょっとした負担が原因でオリモノの色やにおいが変化した経験がある方もいらっしゃるでしょう。

色が違う、においが違う、など、気にしたいのは「いつもと違う」という点です。
正常なオリモノは白っぽく、少し酸っぱいにおいですが、個人差がありますから、いつもの自分と比較するのが大切です。

オリモノの不調に気づいたら、膣内フローラも意識して、少し生活習慣を見直してみましょう。

ラクトバチルス菌を増やす

子宮内の乳酸菌は「ラクトバチルス菌」なので、直接的にラクトバチルス菌を増やす方法も取り入れていきましょう。
サプリメントは医師に処方してもらうなどの方法がありますが、自宅で取り組める方法をご紹介します。

ラクトフェリンを摂取する

タンパク質の一種であるラクトフェリンは、悪玉菌を抑え、善玉菌を増やす環境を整えてくれます。
ラクトバチルス菌を増やすためにも、ラクトフェリンを摂取するのがおすすめです。

ラクトフェリンが多く含まれるのは加熱していない乳製品で、ナチュラルチーズや生乳です
市販のヨーグルトでも、「ラクトフェリン入りヨーグルト」などもありますので、探してみると手軽に手に入るかもしれません。

葉酸・ビタミンD ・カルシウム

葉酸、ビタミンD、カルシウムは、妊娠に欠かせない栄養素です。
さらに細菌性膣炎の症状を回復させる成分としても知られていますので、子宮内フローラのバランスを整えるのに意識したい栄養素ともいえるでしょう。

ラクトバチルス菌の子宮内フローラを保つのは、数をひたすら増やすというよりもバランスが大切です。
善玉菌を増やすという点と共に「悪玉菌を増やさない」というのもバランスを保つポイントになります。

子宮内フローラが乱れる原因

子宮内フローラ

どんなにラクトバチルス菌のために良い生活を心掛けても、子宮内フローラが乱れるような生活を続けていては、効果が期待できません。
子宮内フローラが乱れてしまう原因がありますので、思い当たる点はないか、改めて確認しておきましょう。

  1. 子宮内フローラの悪玉菌とは
  2. 生活習慣の乱れ、ストレス
  3. 女性ホルモン分泌の低下
  4. 免疫力の低下

子宮内フローラの悪玉菌とは

子宮内フローラの割合は、善玉菌であるラクトバチルス菌が90%以上が望ましいバランスだといわれています。
その他、存在する悪玉菌には、どのような種類の菌があるのでしょうか。

  • ガードネレラ菌
  • レンサ球菌
  • 大腸菌
  • ウレアプラズマ
  • マイコプラズマ

これらの菌が子宮内で増殖してしまうと、子宮内フローラのバランスが乱れ、不妊や流産の原因となります。

ガードネレラ菌はあまり聞かない菌ですが、膣で増殖すると膣炎をおこして、オリモノから悪臭を放ったりします。

これらの悪玉菌を増殖させないように、善玉菌と悪玉菌のバランスをとっていきましょう。

生活習慣の乱れ、ストレス

どの健康法でも無視できないのが、生活習慣です。
基本的な生活習慣を維持するのは、全ての健康の基本になるといってもいいでしょう。

食事・睡眠・排出を基本として、乱れの自覚がある場合には、リセットできるようにしましょう。

女性ホルモン分泌の低下

女性ホルモンの分泌が低下していくと、子宮内フローラも乱れていきます。
加齢や不摂生、ストレスが原因で女性ホルモンの分泌が下がるといわれています。

女性ホルモンの低下を治療していく場合は、クリニックで医師と相談して方針を決めていきます。

免疫力の低下

子宮内フローラは腸活とも関係があるとお伝えしましたが、免疫力はこれらに関わるといえます。
腸活とも関係してくるので、免疫力は食生活でも改善させていけます。

まずは体調を整えて、心身共に健康な状態で、子宮内フローラにもアプローチしていけるようにしましょう。

子宮内フローラが乱れると

子宮内フローラ乱れる

子宮内フローラが乱れると、妊娠や着床、さらには出生率にも影響があると先述しました。
子宮内の善玉菌が豊富で、環境が整っていれば健康な状態を保てますが、子宮内フローラが乱れると病原菌の侵入を許すことになります。

子宮内フローラが乱れると、以下の病気の原因になる場合もあります。

  • 尿路感染症
  • 慢性子宮内膜炎
  • 細菌性の膣炎
  • 性感染症
  • 子宮頸がん

慢性子宮内膜炎は軽い炎症が続く病気ですが、着床不全や早産や流産の原因となります。
自覚症状がないので本人に気付きにくい特徴があります。

ラクトバチルス菌が健康に働く子宮内であれば、これらの病原菌を排除する力が働きます。
また膣内フローラが乱れると、子宮頸がんの危険もあります。

今日から子宮内フローラを意識

健康な子宮内フローラを維持すれば、妊娠や妊娠継続に効果があるとわかりました。
子宮内フローラの善玉菌である、ラクトバチルス菌を増やすには、食生活や生活習慣が重要になります。

ご自身の子宮内フローラの状況を確認するための検査も可能です。
子宮内フローラの改善は不妊治療でも重要視される点なので、ドクターに相談して真剣に取り組んでいくといいでしょう。

人間の体には、たくさんの臓器がありますが、全てつながっています。
子宮だけ、膣だけに目を向けるのではなく、腸活を取り入れて体内から改善していくのも良いでしょう。

高輪クリニックの歯科診療の特徴