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口内フローラと腸内フローラの関係とは?口腔の悪玉菌が全身で暴れ出す?

口内フローラとは、口の中の細菌集団のことです。

口内フローラと腸内フローラは深い関係にあり、さらには全身の健康にも関係しています。

口内フローラと腸内フローラの関係、さらに口内の悪玉菌が増えると全身にどのような影響が出てしまうのかなど、口内フローラについてまとめました。

口内フローラとは

口内フローラ

口内フローラ(口腔フローラ)とは、口の中に生息する細菌や微生物の細菌集団のことです。
口の中には、500種類以上、1000億個以上もの細菌や微生物が生息しているともいわれています。

口内フローラを構成するのは、おもに3つの菌です。

誰一人として同じ状況の人がいないほど、口内フローラは複雑な仕組みとなっています。

  1. 善玉菌
  2. 悪玉菌
  3. 日和見菌(ひよりみきん)

口内フローラを構成する菌の理想的な比率は、善玉菌:悪玉菌=9:1です。

善玉菌

口内フローラの善玉菌とは、体によい働きをしてくれる菌です。理想的な比率である9割を善玉菌が占めるようにバランスを保ちましょう。

口内フローラにはこのような善玉菌があります。

  • 乳酸菌
  • 口内レンサ球菌
  • ロイテリ菌

ロイテリ菌で口内環境を改善

ロイテリ菌とは乳酸菌の一種で、もともとはヒトの体内に生息している菌です。
口内の悪玉菌の抑制作用があり、口内環境を整えてくれる性質があります。

ビフィズス菌などの善玉菌と体内で共存しますので、お口から腸まで体内の細菌バランスを整えるのに役立ちます。
ロイテリ菌はヨーグルトや、サプリメントでの摂取が可能です。

悪玉菌

悪玉菌

毎日の歯磨きがきちんとできていなかったり、砂糖を摂りすぎていたりすると、お口の中の悪玉菌が増え、虫歯や歯周病の原因となります。

口内フローラのバランスが乱れると、口内トラブルだけでなく、心筋梗塞や動脈硬化など全身の生活習慣病につながる恐れがありますので注意しましょう。

口内フローラの悪玉菌には、このような虫歯菌・歯周病菌があります。

  • ミュータンスレンサ球菌
  • プロフィロモナス・ジンジバーリス
  • トレポネーマ・デンティコーラ
  • タンネレラ・フォーサイセンシス

ミュータンスレンサ菌

ミュータンスレンサ菌は、最も有名な虫歯菌のひとつです。

虫歯菌は糖質をエネルギーとしており、砂糖を多く含んだお菓子はもちろん、米やパンなどの糖質で増殖します。

口内の悪玉菌は、歯と歯茎の境目や虫歯の穴から血管に入り込んでいくので注意が必要です。

血管に入った悪玉菌は、全身をめぐっていって炎症を起こすようになります。

日和見菌(ひよりみきん)

日和見菌は普段はおとなしくしていますが、悪玉菌が増えると悪玉菌の味方をします。
健康状態が悪くなると暴れ出す菌なので、普段から善玉菌が優勢に立てるよう口内フローラのバランスを維持するのが大切です。

口内フローラの日和見菌には、このような菌があります。

  • 肺炎菌
  • ブドウ球菌
  • 大腸菌

口内フローラと腸内フローラの関係

腸内フローラ

口内フローラのバランスが乱れるとお口のトラブルにつながりますので注意しましょう。

またお口の菌を飲み込んで腸に到達すると、腸内環境が悪化する原因にもなります。

  1. 腸内環境が悪いと虫歯になる
  2. 腸内フローラが原因で口臭が発生する
  3. みがきで腸内環境を

それぞれの内容について確認してみましょう。

腸内環境が悪いと虫歯になる

口から腸までは、1本の管で繋がっています。

腸内の悪玉菌が増えると免疫力が下がり、感染症などにかかりやすくなるでしょう。
すると口内の歯周病菌や虫歯菌も増えやすくなり、虫歯などの口内トラブルを引き起こすので要注意です。

発酵食品やヨーグルトなどに含まれる乳酸菌は、善玉菌を含んでいます。

これらの食品は腸内環境を改善するので、虫歯予防のためにも意識して食べましょう。

腸内フローラと口臭

ケアは万全なのになかなか口臭が改善されないという方は、腸内フローラが原因かもしれません。

腸内の悪玉菌が増加すると便秘になり、老廃物は血液を循環して口臭となって排出されます。

また腸の腐敗物質が血液に流れ出して、呼吸を通して口から排出される場合もあるのです。

腸内環境悪化の便秘は、口臭だけでなく体臭にも影響しますので注意しましょう。

舌磨きで腸内細菌を取り除く

舌磨きも毎日の習慣に取り入れましょう。

舌には目に見えない汚れがついています。

特に起床時は口呼吸や唾液の減少で、口内細菌が増殖した状態となってしまっていますので注意してください。
舌に汚れがついたまま食事をすると、細菌も飲み込むことになり腸にも悪影響です。

舌磨きのやり方

歯磨きをするように、舌磨きをして口内環境と腸内環境を整えていくという方法もあります。
慢性的な便秘に悩んでいる方は、舌磨きを取り入れると改善されるかもしれません。

舌磨きの基本的な手順はこちらです。

  1. 舌ブラシなど専用器具を用意する
  2. 軽い力で奥から手前に掻き出す
  3. 1~3回程度繰り返す

ハードなブラッシングにならないよう、軽い力で行うのがポイントです。

起床時など1日1回程度の頻度で良いでしょう。

力を入れすぎたり、頻度が多すぎたりすると、舌を傷つけて細菌がつきやすくなってしまうので適切な頻度で取り入れていきましょう。

口内フローラの悪玉菌が増えると全身に悪影響

口内フローラ悪玉菌

口内フローラや腸内フローラの悪玉菌が増えると、虫歯や歯周病の原因になるだけではありません。

血液を循環して全身に悪影響が出てきてしまいます。

  1. 心臓病や動脈硬化、脳梗塞
  2. 糖尿病を引き起こす
  3. 早産・低体重児の原因になる
  4. 誤嚥性肺炎の確率が高まる
  5. 認知症のリスクが増える

悪玉菌がどのように悪影響を及ぼすのか、説明します。

心臓病や動脈硬化、脳梗塞

口内フローラの悪玉菌が増えると、動脈硬化や脳梗塞などにつながる可能性があります。

なぜなら口腔環境と腸、さらに血管は深い関係があるからです。

腸が吸収した栄養は血管から全身に送られますし、腸も血管から栄養をもらっています。

そのため悪玉菌が増えないよう普段の生活で意識しましょう。

糖尿病を引き起こす

2型糖尿病の患者さんは、腸内フローラのバランスが乱れています。
悪玉菌が増加して血中に入ってしまうと、インスリンの分泌量が低下することがわかっているのです。

腸内フローラや口内フローラを改善させれば、血糖値が改善する可能性があります。

腸内細菌に善玉菌を増やせば、代謝や免疫を高められ、血糖コントロールも良くなるでしょう。

早産・低体重児の原因になる

悪玉菌が作り出すエンドトキシンという毒素は子宮を収縮させるホルモンに酷似しているため早産や低体重児の原因になります。

エンドトキシンは歯周病菌の一種なので、妊婦さんの歯周病には、より注意が必要です。

妊娠中は唾液の成分の変化や口腔ケアの時間がとれないので、虫歯や歯周病のリスクが増えます。

妊婦検診で歯科検診を導入している市町村もありますので、お住まいの地域にそのようなサービスがあるか調べてみてください。

誤嚥性肺炎の確率が高まる

誤嚥性肺炎とは、食事などが誤って肺に入り起きてしまう肺炎です。

本来であれば食べ物は食道を流れていきます。

健康な方であれば気管に入ってもむせ込んで出せますが、高齢者になるとむせ込む力も弱くなってしまい、そのまま肺で肺炎を引き起こすリスクがあるのです。

また入れ歯を使用している方は、細菌が多く付着していると考えられます。

誤嚥性肺炎は、食事形態や嚥下機能の強化などでも予防になりますが、口内フローラを整えるのも重要な対策のひとつです。

認知症のリスクが増える

認知症機能と腸内環境が強く関連していると、国立長寿医療研究センターが明らかにしています。

腸内細菌の代謝産物と認知症に関連あり 国立長寿医療研究センターは、腸内細菌が代謝する物質(代謝産物)と認知症が 関連することを見出しました。特に糞便中の乳酸は認知症において低値を示しま した。国立研究開発法人 国立長寿医療研究センターより引用

認知症ではない方の便からは善玉菌である乳酸菌が多く検出され、認知症の方の便は悪玉菌が多くなっているという報告があります。

口内フローラを整える方法

口内フローラ整える

毎日の生活の中では、どのように口内フローラを整えていけばいいのでしょうか。

適切なケア方法を知って、無理なく日常に取り入れていきましょう。

  1. 適切な口腔ケア
  2. ドライマウスの予防
  3. 口腔環境のために良い食事をする
  4. キシリトールを取り入れる

適切な口腔ケア

口腔ケアの基本は、やはり毎日の歯磨きです。

  • 毎食後に歯磨きをする
  • 歯の四面を磨く
  • 歯間はデンタルフロスなどを使う
  • 舌を磨く

特に重要なのは、就寝前の歯磨きと起床後の歯磨きです。

就寝中は細菌が増えるタイミングなので、寝る前と起きた直後はきちんと歯磨きをしましょう。

ドライマウスの予防

ドライマウスとは、その名前の通り唾液が少なくなって口が乾燥してしまう状態です。

以下の自覚症状がある場合は、ドライマウスの可能性があります。

  • 口の中の乾燥を感じる
  • 口がネバつく
  • 喉や唇が乾く
  • パンなど乾燥した物が食べにくい
  • 味覚がおかしい
  • 口臭が気になる
  • しゃべりにくい

殺菌作用のある唾液の量が少なくなると悪玉菌が増える原因になります。

唾液を多く分泌させる食べ物

食事を見直すと唾液を多く分泌させられるようになります。

唾液の分泌を促すには、以下のような物がおすすめです。

  • グルタミン酸が含まれる「昆布」
  • 咀嚼回数が増える「ガム」
  • 酸っぱい「梅干し」「レモン」

グルタミン酸は昆布に含まれる旨味成分ですが、摂取すると唾液の分泌時間が持続しますので、おすすめです。

酸味のある梅干しやレモンは、香りだけでも唾液が出てくるでしょう。

さらに噛む回数を増やすために、よく噛むというのもシンプルですが効果的な方法です。

口内環境のために良い食事をする

口内環境を整えるために、食材選びでも意識できることがあります。

どんな食材が口内フローラにとってよい食材なのかを知って、迷ったときには選択できるようにしておきましょう。

「緑茶」「紅茶」で水分補給する

緑茶や紅茶は、虫歯菌の酸の生成を抑制する作用があります。
さらに歯を再石灰化させるフッ素も含まれていますので、口内環境を整えられる飲み物です。

また緑茶にはカテキンが含まれており、このカテキンは悪玉菌の繁殖を抑える働きがありますので歯周病予防になります。

オメガ3脂肪酸を含む「青魚やくるみ」

オメガ3には壊れた細胞を修復する働きもあり、歯周病予防にも注目されている成分です。

オメガ3脂肪酸は不飽和脂肪酸の一つで、脂肪の多い青魚やくるみ、えごまオイルなどに含まれています。

またオメガ3は、良質な油で腸内環境を整えてくれる食材としてもおすすめです。

「玄米」「雑穀米」食物繊維の豊富な物

雑穀米玄米善玉菌

玄米や雑穀米など精製されていないお米は、食物繊維が豊富です。
パンがお好きな方であれば、全粒粉パンを選択しましょう。
糖質が少なく、虫歯の原因となる悪玉菌を増やしにくい食材となります。

逆に精製された白米やパンは、多糖類のでんぷんを原料としていて悪玉菌のエサになる食材なので注意が必要です。

キシリトールを取り入れる

キシリトール虫歯を予防する成分として、耳にしたことがある方も多いでしょう。

キシリトールには、歯垢の酸を中和して、虫歯菌であるミュータンス菌の活動を弱める働きがあります。

また唾液の分泌を促進したり、再石灰化を促す働きもあります。

ガムとして販売されているキシリトールは唾液の分泌量も増えますし、手軽に取り入れられるのでおすすめです。

口内と腸内はセットで整えよう

口と腸は1本の管でつながっていますから、切っても切り離せない関係です。

どちらかだけを徹底的に整えようとするのではなく、相互関係を理解して、双方の環境を整える必要があります。

今日から口内フローラを意識してケアをスタートさせ、全身の健康維持を目指していきましょう。

高輪クリニックの歯科診療の特徴