ときには、寝室をともにする家族の睡眠を妨害する歯ぎしり。無意識や睡眠中に行っている方も多く、周囲の人に指摘されてはじめて自覚する方も少なくありません。
そんな歯ぎしりは、自分の歯を割ってしまうこともあるほど強い力でしているといわれています。歯を傷付けてしまう前に、改善・予防策を講じたいものですよね。
そこで今回は、歯ぎしりをしてしまう原因について解説します。予防・対策方法についてもあわせて解説するので、歯ぎしりでお悩みの方はぜひ参考にしてください。
歯ぎしりをしてしまう原因
歯ぎしりは10人にひとり程度の割合で、寝ている間にしているといわれています。現在の研究では歯ぎしりのハッキリとした原因はわかっていませんが、考えられる原因として以下の4つのことが挙げられます。
- ストレス
- 噛み合わせ・骨格
- 生活習慣(飲酒・喫煙など)
- 永久歯への生え変わり
歯ぎしりはこれまで行っていなかった人が、歯科治療やストレスから急に始めることもあります。それぞれ、どのような要因が関係しているのかくわしく解説します。
ストレス
歯ぎしりの原因として、もっとも多いとされているのはストレスです。しかし、現代人にとってストレスを感じずに生活することは非常に難しいといえるでしょう。日々のさまざまなストレスが原因で無意識に行い、歯ぎしりや歯の食いしばりでストレスを解消しているといわれています。ストレスが取り除かれると、歯ぎしりや食いしばりが止まる可能性があります。
噛み合わせ・骨格
不適切な治療や悪い噛み合わせが原因であることも考えられます。歯科治療による高さの合っていない詰め物があると噛み合わせのバランスが崩れて、無意識に高さをそろえようと歯ぎしりをしてしまうケースがあります。詰め物や被せ物が原因である場合は、治療後に歯ぎしりをするようになるのでよく観察してみましょう。
生活習慣(飲酒・喫煙など)
日ごろの生活習慣も、歯ぎしりや食いしばりに大きく関係します。たとえば、スポーツをする方は力を入れる際、瞬間的に歯を食いしばっており癖となって睡眠時にも歯ぎしりとなって表れることがあります。また、飲酒や喫煙も歯ぎしりや食いしばりの原因のひとつです。アルコールやニコチンの影響により、歯ぎしりや食いしばりがひどくなることもあるでしょう。
永久歯に生え変わっている途中の違和感(子ども)
睡眠中の子どもが、永久歯に生え変わる際に不快感を覚えて歯ぎしりをすることがあります。歯茎のむずがゆさや、揺れている乳歯が気になっていることが原因と考えられます。永久歯に生え変わると落ち着くことがほとんどのため、過剰な心配は必要ないでしょう。万が一、生え変わったあとも続けるようであれば、別の問題に原因があることも考えられるため、医師に相談しましょう。
歯ぎしりの種類
歯ぎしりのなかには自覚症状がないものもあり、周囲の人に指摘されてはじめて気づくケースも少なくありません。歯ぎしりは歯科用語で「ブラキシズム」と呼ばれ、以下のような3種類に分類されます。
- グランディング
- クレンチング
- タッピング
では、それぞれどのような特徴があるのかくわしく解説します。
グランディング
歯ぎしりのなかでもっとも多くの方に見られるのが「グランディング」と呼ばれるタイプです。歯を噛み合わせた状態で横にギリギリと擦り合わせる歯ぎしりのことを指します。グランディングは他のタイプと比較して歯に与えるダメージが大きく、歯がすり減って平らになってしまう特徴があります。先が三角になっているはずの犬歯がすり減り、平らになっているとグランディングタイプの歯ぎしりをしているといえるでしょう。
クレンチング
一般的に、食いしばりや噛みしめといわれているのが「クレンチング」と呼ばれるタイプです。上下の歯をグッと強い力で噛み込むことが特徴で、グランディングのように擦り合わせることはありません。食いしばる際に音がでることはないため自覚しにくいですが、寝ている間など長時間クレンチングをしていると、頬の内側に白い横線が入ることがあります。
タッピング
上下の歯をカチカチと噛み合わせる「タッピング」と呼ばれるタイプもあります。3種類のなかでも比較的割合の少ないタイプで、歯を小刻みに噛み合わせることが特徴です。日中でも癖のようにカチカチと音を鳴らすことがあるため、周囲の人が気づきやすく指摘を受けて自覚することもあるでしょう。また、同じ寝室の人がタッピングの音が気になり寝付けないこともあります。
自分は就寝中に歯ぎしりをしている?セルフチェック
自覚症状の少ない歯ぎしりですが、自分で確認できるいくつかのチェック項目があります。一人暮らしで周囲の人から指摘を受けられない方や、忙しくて歯科医院になかなか出向けない人は、以下で紹介するセルフチェックを行ってみましょう。
- 朝起きたときに顎が疲れている
- 知覚過敏の歯が多い
- 頬や舌に歯を押し付けたような白い線が入っている
- 歯がすり減っている
- 顎の内側に骨が盛り上がっているようなコブがある
以上のような症状が見受けられる方は、就寝時に歯ぎしりや食いしばりをしている可能性があります。何の対策も施さずに放置してしまうと、歯に亀裂が入ったり詰め物や被せ物が割れたりするケースがあります。
歯ぎしりを改善・予防する方法
歯ぎしりは長期にわたって続けていると、歯や顎に大きなダメージを与えてしまいます。無意識で行っている場合や寝ている間に行っている場合は、自力での改善が難しいケースが多いため、早めに歯科医院へ相談するようにしましょう。
歯ぎしりの改善・予防には、以下のような項目を意識してみましょう。
- ストレス解消
- ナイトガードの導入
- 噛み合わせの調整
- 質の伴った睡眠
では、それぞれの項目をくわしく解説します。
ストレス解消
歯ぎしりや食いしばりの原因にストレスが関係しているケースでは、ストレス発散をして改善させる方法があります。軽い運動やストレッチ、趣味に没頭する、よい香りを嗅いだり好きな音楽を聴いたりと、自分に合った解消法で無理なく行うことが大切です。こまめなストレスの解消で、自然と歯ぎしりの頻度が減るでしょう。
ナイトガードの導入
寝ている間に装着する「ナイトガード」と呼ばれるマウスピースの装着も有効です。無意識のうちに行われている歯ぎしりから、歯や顎の負担を軽減させます。ナイトガードは日中に付けても問題ないので、割れやすいセラミックやジルコニアなどの被せ物が入っている場合、強い食いしばりが原因の破損などから保護する用途としても使用できるでしょう。
噛み合わせの調整をしてもらう
補綴(ほてつ)治療や歯列矯正で噛み合わせを改善させると、歯ぎしりの解消につながることがあります。高さが不ぞろいな被せ物や詰め物があると、高さをそろえようと無意識に歯ぎしりや食いしばりをすることがあるからです。被せ物や詰め物をつけ替えたり、噛み合わせそのものを矯正したりすることで、歯ぎしりを軽減できることもあるでしょう。
質の伴った睡眠
歯ぎしりを改善するために、日ごろの睡眠にも意識を向けてみましょう。横向きやうつ伏せ寝は片方の顎や歯に圧力がかかるため、歯ぎしりの症状を悪化させているかもしれません。また、高さの合っていない枕の使用も控えましょう。寝具やマットレスも身体に合っているものを選ぶと、日中の緊張から解けてリラックスした状態で眠りに就けます。質のよい睡眠にこだわることも、歯ぎしりの改善にもつながるでしょう。
まとめ
歯ぎしりの原因や改善方法を紹介しました。歯ぎしりは歯に与えるダメージが大きいため「歯ぎしりくらい大丈夫」と考えていると大切な歯を失ってしまうケースにつながることもあるでしょう。歯ぎしりをしていることに気が付いたら、歯科医院を受診して適切な対処法を受けるようにしましょう。
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