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八重歯は治療が必要?原因と治療法を解説

八重歯といえば日本ではチャームポイントと考える人もいますが、欧米では結婚や就職に影響するマイナス要素です。

昨今では、欧米的に八重歯をマイナスと考える人と共に治療を望む声も増えています。

この記事では、「八重歯と犬歯とは」「八重歯になる原因」「八重歯の治療法」を解説しますので、八重歯でお悩みの方は参考にしてください。

それでは、見ていきましょう。

八重歯とは

八重歯とは、前から3番目の犬歯が歯列に収まり切らず、他の歯に上から被さって生えている状態です。

犬歯は外から見えやすく、日本では周囲の人から「可愛い」「チャームポイントだね」と言われたりもしますが、本人にとってはコンプレックスとなり、人前で笑うと八重歯が見えてしまうので嫌だという人もいます。

八重歯は「乱杭歯(らんぐいば)」「叢生(そうせい)」と呼ばれる不正咬合のひとつで、症状によっては矯正した方が良いケースがあります。

八重歯になる原因

八重歯になる主な原因は、永久歯に生え変わる際に顎と歯の大きさが釣り合いが取れず、犬歯の生える「スペース不足」によって起こります。

永久歯は28本(永久歯を除く)生えてきますが、顎の発達が未熟だと十分な歯列弓を作れず、犬歯が歯列の外側に飛び出してしまうのです。

乳歯が虫歯になり放置すると、早期に抜け落ちスペースが閉ざされ、八重歯を誘発することがあります。

食生活において柔らかいものばかりを食べていると、噛む力が弱いため顎の骨に刺激が少なくなり顎が十分に成長しません。
結果、顎が小さくなりスペースが十分に確保できずに、犬歯が歯列からはみ出してしまい八重歯になってしまうのです。

八重歯のデメリット(放置するリスク)

日本では「八重歯が可愛い」「チャームポイント」とする風潮もありますが、八重歯の状態では以下のリスクがあります。

  • 歯磨きがしづらい
  • 虫歯・歯周病のリスクが高る
  • 他の歯への負担
  • 口内炎のリスク
  • 口呼吸への影響
  • 口臭の原因となる
  • そしゃく能率が低下する

歯磨きがしづらい

八重歯で犬歯が歯列の外側に飛び出していると歯磨きがしづらく、毎日の口腔ケアにおいてワンタフトブラシやデンタルフロスが必須となり、手間がかかります。

虫歯・歯周病のリスクが高る

八重歯により重なった歯の隙間は汚れが落としにくく、歯垢や歯石がたまり、細菌の温床となります。

その結果、虫歯や歯周病を発症するリスクが高まります。

他の歯への負担

八重歯は上下の歯の噛み合わせから外れています。

そのため噛んでいる歯1本1本にかかる負担が大きくなり、その状態が長く続くと将来的に歯を支えている歯槽骨に影響がおよび歯を失う要因になります。

口内炎のリスク

八重歯が頬や唇にあたって口内炎を誘発したり、転倒や事故で八重歯が原因で唇を切ってしまう症例が見られます。

口呼吸への影響

八重歯が原因で唇が閉じにくくなってしまうと口呼吸になり口の中が乾燥します。

口内乾燥により起こる唾液量の減少は、「細菌や汚れを流したり、繁殖を抑える」抗菌作用を低下させむし歯になりやすくなります。

口臭の原因となる

八重歯により歯と歯の隙間などに汚れが蓄積し口臭を引き起こすことがあります。

八重歯を常にプラークフリーな状態にするのは困難なため、時間の経過と共に口臭が出やすくなります。

そしゃく能率が低下する

八重歯はかみ合わせに参加していません。

本来、犬歯であれば下の歯とかみ合うことで、そしゃく運動に貢献しますが、八重歯は位置関係で不可能です。

犬歯が八重歯となることでそしゃく能率を低下させてしまいます。

八重歯を治療すべき人

八重歯の治療は、行うべき人と放置しても良い人で分かれます。

主に治療を行った方が良い人は、以下のような人です。

  • 磨き残しが多く・ブラッシングが苦手
  • 八重歯がかみ合わせに参加していない

磨き残しが多く・ブラッシングが苦手

八重歯のブラッシングは難しい面もあり、磨き残しが多いようであれば矯正治療を受けた方が良いといえます。

磨き残しが多いと口腔衛生が悪くなり、虫歯や歯周病のリスクが上昇します。

八重歯がかみ合わせに参加していない

八重歯のほとんどのケースは犬歯がかみ合わせに参加していないため、他の歯に大きな負担がかかっています。

八重歯を治して歯列全体のかみ合わせを安定させ、そしゃく能率を向上させることが身体の健康では重要です。

八重歯の治療法

八重歯の治療はお口の中の状態や患者さんの価値観などによって方法が変わります。

ここではそんな八重歯の治療法をそれぞれ詳しく解説します。

  • 抜歯矯正
  • 非抜歯矯正
  • マウスピース矯正
  • ワイヤー矯正
  • 裏側矯正

抜歯矯正

抜歯矯正は歯を抜いて矯正するもので、一般的には「小臼歯(前から4~5番目の奥歯)」を抜いてスペースを確保し八重歯を正常な位置に戻します

抜歯については抵抗があるかもしれませんが、小臼歯はそしゃく機能面においてそれほど大きな役割を担っていないので、小臼歯を抜歯しても大きなデメリットはありません

もちろん、八重歯を正常な位置に移動することがより大きなメリットとなる場合のみ、小臼歯を抜歯します。

非抜歯矯正

八重歯の非抜歯矯正は比較的軽度の症状に用いられる治療です。

具体的には、前歯の側面を0.25mmほど削ることで、不足しているスペースを確保します。
削る量は最小限なので、歯の寿命が縮まるようなことはありません

マウスピース矯正

マウスピース矯正はマウスピースを装着して八重歯を治療します。

マウスピースは歯列に合わせ個別に透明な樹脂で作成するのでフィット感も良好です。

マウスピース矯正はメリットも多く、具体的には以下のものがあります。

  • 矯正中であることを周囲の人に気付かれにくい
  • 比較的弱い力が歯を移動させるので治療に伴う痛みが少ない
  • マウスピースは患者自身で着脱できるので食事や歯磨きの際に取り外せる

ワイヤー矯正

ワイヤー矯正は、最も古くからあるポピュラーな矯正治療です。

ブラケットを歯列に装着しワイヤーの緊張により歯並びを改善します。

重度の八重歯の症状もワイヤー矯正ならしっかり治療できますが、デメリットも多くあります。

  • 装置が目立ちやすい
  • 装着時の違和感・異物感も比較的強い
  • 装置は固定式なので自由に取り外せない

デメリットとしては上記があげられます。

ワイヤー矯正は適応範囲が広く、不正咬合のほとんどに対応することができます。

裏側矯正

裏側矯正とは、歯列の舌側(裏側)にブラケットを装着しワイヤーで引っ張る治療法です。

歯科学では舌側矯正(ぜっそくきょうせい)と言い、歯科医師としての知識や高い技術と経験が求められます。

八重歯に限らず不正咬合に広く用いられ、裏側矯正は外貌が目立たないという点で希望される方も多いようです。

八重歯の矯正治療の流れ

矯正治療の流れは大きく3つの項目に分かれます。

  • 矯正方法を決める
  • ワイヤー矯正の場合
  • マウスピース矯正の場合

矯正方法を決める

  1. カウンセリング:矯正に関する質疑応答
  2. 歯列の並び・咬み合わせ・虫歯および歯周病などをチェック
  3. 精密検査:レントゲン撮影、CT撮影を実施
  4. ワイヤー矯正、マウスピース矯正のどちらで矯正を進めるかを判断
  5. 診察して矯正開始

ワイヤー矯正(表側・裏側)の場合

  1. 精密検査の結果により抜歯か非抜歯を判断
  2. IPR・側方拡大・奥歯の後方移動など検討
  3. 抜歯の必要性を検討:八重歯の抜歯もしくは小臼歯の抜歯
  4. 抜歯:八重歯もしくは小臼歯
  5. 虫歯・歯周病の最終チェック
  6. 矯正器具を装着し矯正スタート
  7. 通院:およそ1ヶ月に1度、矯正器具の調整
  8. ゴールまで歯が動いたら矯正装置を外す
  9. 保定装置を一定期間装着
  10. 保定装置を外して矯正治療完了

マウスピース矯正の場合

  1. 精密検査の結果により抜歯か非抜歯を判断
  2. 精密検査を元に3D画像により治療計画を作成し確認
  3. 抜歯なしで歯がどのように動くかシミュレーション(IPR・側方拡大・奥歯の後方移動)
  4. 抜歯が必要な場合のシミュレーション(八重歯ver、小臼歯ver)
  5. 計画の確定後、マウスピースを型取りして製作
  6. 虫歯・歯周病の最終チェック
  7. 虫歯・歯周病などの異常がなければマウスピースの装着開始
  8. およそ10日ごとにマウスピースを交換していき、2〜3ヶ月ごとに通院
  9. 全てのマウスピース装着終了
  10. 保定装置を一定期間装着
  11. 保定装置を外して矯正治療完了

治療の流れで重要なこと

八重歯の抜歯はできることなら避けた方が良いといえます。

また、ワイヤー矯正とマウスピース矯正との施術で、どちらが適しているのかは担当歯科医とよく相談する必要があります。

八重歯治療にかかる費用

ワイヤー矯正およびマウスピース矯正の料金・費用相場は以下表の通りです。

種類料金相場
表側矯正60~100万円
裏側矯正100~150万円
マウスピース矯正50~100万円
(マウスピースの製作枚数による)

ワイヤー矯正の値段の内訳

ワイヤー矯正には、前述してきた矯正装置以外にも検査費や調整費などの料金も必要です。

ワイヤー矯正に必要な料金の内訳は下記の通りです。

<矯正料金の内訳(相場)>

  • カウンセリング:無料〜5,000円程度
  • 精密検査:10,000〜65,000円程度
  • 診断料:10,000~50,000円程度
  • 虫歯・歯周病治療:1,500〜10,000円程度/回
  • 抜歯:5,000〜15,000円程度/本
  • 矯正装置:30〜170万円程度
  • 保定装置料:10,000〜60,000円程度
  • 保定観察料:5,000円程度/回

カウンセリング:無料〜5,000円程度

カウンセリングでは矯正の精密検査前に、歯科医に自分の歯並びの悩みを相談し歯並びを見てもらいます

そして医師から歯科矯正について説明を受けたり質問し、矯正をするか否かの判断する場です。

カウンセリングと精密検査(歯型取り・レントゲン撮影・写真撮影など)を一緒に行うクリニックもあります。

精密検査:10,000〜65,000円程度

精密検査では、以下の内容を実施します。

  • 問診:歯並びが悪いことでの不便や自覚症状などを歯科医がたずねる
  • レントゲン撮影
  • 歯型採得:3Dスキャナーまたは印象材を使った歯型取り
  • 写真撮影:口腔内・顔貌

この他にも歯並びや顎の状態、むし歯や歯周病の有無などをチェックします。

診断料:10,000~50,000円程度

精密検査の結果をもとに、歯科医師による診断をする際にかかる料金です。

診断では治療計画の立案(歯の動かし方をシミュレーション)をしたり、治療方針の決定(どのように治療を進めていくかを決定)をします。

虫歯・歯周病治療:1,500〜10,000円程度/回

精密検査で虫歯や歯周病が見つかった際には、原則として先に治療してから矯正を行います。

矯正専門クリニックの場合、別の一般歯科で虫歯や歯周病を治療します。

・上記は保険診療の場合の値段の目安
・自由診療(自費診療)で虫歯や歯周病を治す場合は上記以上の金額が必要

抜歯:5,000〜15,000円程度/本

矯正では歯を移動するスペースを作るために抜歯を必要とする場合があります。

矯正専門のクリニックの場合は、別のクリニックで抜歯をしてもらわなければなりません。

矯正のための抜歯は原則自由診療です。

矯正装置:30〜170万円程度

種類料金相場
表側矯正60~100万円
裏側矯正100~150万円
マウスピース矯正50~100万円
(マウスピースの製作枚数による)

調整料(3,000〜10,000円程度/回)

調整料とは、矯正装置の調整にかかる料金です。

ワイヤー矯正では通常、通院の度に調整を行います。
通院の頻度は症例や患者さんのスケジュールによって異なりますが、おおむね1か月に1回程度の場合が多いです。

トータルフィーシステム(最初に総額料金が提示)のクリニックの場合には調整料が含まれている場合があります。
クリニックによっては調整毎に料金がかかるところもありますので、カウンセリングの際に確認が必要です。

保定装置料:10,000〜60,000円程度

歯科矯正では矯正治療完了後に、後戻り(整った歯並びがもとの位置に戻ってしまうこと)しないよう、リテーナーと呼ばれる保定装置をつけます

保定とは整った歯並びを身体になじませる期間です。

保定装置はいくつかの種類があり、クリニックや装置の種類によって料金が異なります

保定観察料:5,000円程度/回

保定観察とは、保定期間中に歯並びや口の健康状態を定期的に歯科医にチェックしてもらうことです。

最初に提示される料金に含まれているトータルフィーシステムの場合と観察の度に料金を支払う場合とがあります。

八重歯治療の費用まとめ

八重歯の治療にかかる費用は、ワイヤー矯正(表側・裏側)・マウスピース矯正によって異なります。

相場としては80~100万円程度の費用がかかると考えるのが妥当です。

裏側矯正に関しては、値段が少し高くなる傾向にあります。

また、治療期間によっても費用は変わるので、事前に確認しておくとよいでしょう。

八重歯の治療を検討してみましょう

この記事では、「八重歯と犬歯とは」「八重歯になる原因」「八重歯の治療法」「八重歯治療にかかる相場料金」を解説してきました。

八重歯は、そのまま放置すると、虫歯や歯周病にかかりやすくなったり、その他の歯に大きな負担がかかったりするなど、さまざまなリスク・デメリットを伴います

そんな八重歯の症状が気になる方は、まず矯正相談を受けることをおすすめします。

マウスピース矯正
高輪クリニックの歯科診療の特徴