歯並びや噛み合わせの問題を解決する目的で行われる歯列矯正ですが、歯列矯正を検討中の方で、治療中は口臭が強くなるのではと心配になる方はいるのではないでしょうか。
そこで今回は、矯正治療中の口臭について解説します。
結論として、矯正治療をしている期間は様々な原因で口臭が発生するリスクが高くなっているため、対策をとる必要があるのです。
どうして矯正治療中は口臭が強くなってしまうのか、その原因について詳しくまとめたのでご覧ください。
また、矯正治療中における口臭の予防法についても紹介しますので、ニオイが気になるという方は歯列矯正を始める前にご覧いただき、しっかり対策をとっていただけたらと思います。
〇この記事で分かること
- 歯並びと口臭の関係について
- は矯正治療中の口臭について
- 口臭をチェックする方法について
- 矯正治療中の口臭の原因について
- 矯正治療中の口臭予防法について
歯並びを改善することは口臭予防に繋がる
まず、歯並びと口臭の関係性についてお話しします。
歯並びが悪いと磨き残しができやすく、虫歯や歯周病になる可能性が高まります。
そうすると菌が繁殖し、臭いの原因となるガスを発生させるので、口の中の臭いが強くなるのです。
矯正治療を受けることで歯並びが改善され、口臭の原因となるものを取り除けるというメリットがあります。
歯列矯正について
歯列矯正は、歯並びや噛み合わせが悪いことで生じる様々な悩みやトラブルを解決するために、矯正装置を用いてそれらを改善する歯科治療です。
歯列矯正には、以下の2種類があります。
- ワイヤー矯正
- マウスピース矯正
症例や目的にあった方法で治療していきます。
ワイヤー矯正とは
ワイヤー矯正は、歯にブラケットと呼ばれる装置を装着し、ブラケットにワイヤーを通して動かしたい方向に向かって歯に適切な力をかけることで、徐々に歯を動かしていく治療方法です。
ワイヤー矯正には、以下の2種類があります。
- 表側矯正…矯正装置を歯の表面に取り付ける
- 裏側矯正…矯正装置を歯の裏側にとりつける
装置は治療が終わるまで自由に取り外すことはできません。
また、基本的にどの方向にも歯を動かせるうえ、大きな力がかけられるので適応範囲が広いのが特徴となります。
マウスピース矯正とは
マウスピース矯正というのは、透明なマウスピース型の装置を使って歯に持続的に力をかけて歯を動かす治療法です。
一つの装置をずっと使い続けるのではなく、医師が定めた期間ごとに新しい装置に交換しながら計画的に歯を動かしていきます。
矯正中は常に矯正器具をつけたままのワイヤー矯正と違って自由に脱着が可能なことから、より審美性を求める方には、マウスピース矯正の方がワイヤー矯正よりも人気があります。
矯正治療中は口臭が発生しやすい
歯列矯正は、歯並びや噛み合わせを改善するための治療法として人気がありますが、矯正治療中の悩みとして多いのが口臭です。
矯正装置を使っている期間は様々な理由で口臭が発生してしまいます。
歯並びが悪い人は矯正治療によって口臭が改善することが期待できる一方で、治療中は口臭が悪化する危険性もあるのです。
矯正治療中の口臭を確認する方法
口臭が悪化するといっても、自分の口臭はどのくらいなのか、自分ではなかなか気付きにくいですよね。
口臭によって、自分では気付かないうちに相手に不快な思いをさせてしまう恐れもあるので、自分の口臭がどの程度なのかを把握しておくことも大事です。
口臭対策のためにも、今すぐできる口臭のセルフチェックする方法を紹介するのでぜひご確認ください。
唾液のニオイをチェックする
唾液のニオイで口臭を確認できます。
方法としては、手をしっかりと洗った上で、歯と歯茎の間などに触れて指先のニオイをチェックしてみましょう。
もし、唾液のニオイが臭いと感じたら口臭の可能性があります。
息を吹き込んでチェックする
自分の息を吹き込んで口臭をチェックする方法は、自宅にあるビニール袋やコップに息を吹きかけ、一度密閉して息を閉じ込めます。
その閉じ込めた息を嗅いでみて、臭いを感じるようなら、口臭の可能性があると言えるでしょう。
デンタルフロスのニオイをチェックする
デンタルフロスをお使いの方は、使用した後にフロスのニオイを確認することで、口臭があるのかある程度知ることができます。
使用したフロスが臭いと感じたら、口臭がある可能性があるので注意が必要です。
市販の口臭測定器を使ってニオイをチェックする
自分のニオイというのはすぐに慣れてしまうため、自分の口臭を客観的に評価するのは難しいとされています。
より正確に自分の口臭がどの程度なのかを知りたい方は、市販の「口臭チェッカー」とも呼ばれる口臭測定器がを使うのがおすすめです。
専用の機械に息を吹きかけるだけで口臭を数値化できるので、簡単に口臭をチェックできます。
数値が基準値を超えていれば口臭があるということなので気を付けましょう。
矯正治療中の口臭の原因
では、矯正治療中になぜ口臭が悪化してしまうのでしょうか?
先ほど紹介しましたように歯列矯正には大きく分けて、
- ワイヤー矯正
- マウスピース矯正
上記2種類の方法がありますが、それぞれの矯正方法において口臭が発生する原因を説明します。
口臭の原因①磨き残しがある
ワイヤー矯正の場合、常に矯正装置を付けているため歯が磨きにくくなります。
磨き残しがあると、そこから細菌が発生するため口臭が起こりやすいです。
装置の取り外しができるマウスピース矯正の場合でも、磨き残しにより歯の汚れについた状態でマウスピースを装着すると、菌が繁殖して口臭を発生させます。
また、磨き残しは虫歯のリスクも高くなり、虫歯による口臭も発生させてしまうのです。
口臭の原因②口の中が乾燥している
ワイヤー矯正、マウスピース矯正どちらの場合でも当てはまりますが、矯正装置を付けていると1〜2mm程度の厚みがあるぶん、口が閉じにくくなってしまい、無意識に口呼吸になることがあります。
特にマウスピース矯正は、歯全体を覆うので、全体的に厚みがでてしまうために唇が閉じづらくなるのです。
口呼吸をすると口腔内が乾燥して細菌が増殖し、口臭が出やすくなってしまいます。
口臭の原因③口腔内が炎症を起こしている
矯正装置がつくと、口内炎や口傷ができやすくなってしまいます。
矯正装置が舌や口の粘膜に接触すると起こる口内炎を、カタル性口内炎と言います。
矯正の初期段階で起きやすく、口内炎を発症すると1日や2日では治りません。
そして、傷や口内炎が悪化して化膿すると、そこから口臭が発生してしまいます。
口臭の原因④マウスピースの洗浄不足
マウスピース矯正はワイヤー矯正とは違い、食事や歯磨きの際に装置を取り外せるため口腔内を清潔に保ちやすいとされています。
ですが、マウスピースはポリウレタンというプラスチック素材でできており、性質上臭いがうつりやすいです。
そのため、マウスピースをしっかりと洗浄しなければ口臭が発生する原因となります。
口臭の原因⑤マウスピースに細菌が付着する
マウスピース矯正の装置は使っていくうちに細かい傷が付くことがあり、傷に菌が付着し繁殖すると口臭の原因となります。
マウスピースはプラスチックの素材で作られているため、長く使用していたり、雑に扱っていたりすると劣化してしまうのです。
ですから、マウスピースの取扱いには十分慎重に行わなければなりません。
口臭の原因⑥唾液の自浄作用が低下している
唾液には、自浄作用といって口の中の歯垢(プラーク)や食べかすを洗い流す作用が働きます。
ですが、マウスピース矯正で装置を装着していると、口の中全体に唾液が行き渡らなくなり、唾液による自浄作用が弱まってしまうのです。
そのため、マウスピース矯正中は唾液の口臭予防効果があまり期待できないと言えます。
矯正治療中に口臭を抑える方法
先ほど解説しましたように、矯正治療中は口臭が悪化する危険性が高いため、心配になりますよね。
では、口臭を抑えるには矯正中、どのような点に注意すれば良いのでしょうか。
口臭を予防する方法として考えられるのはこちらです。
- 食後に歯磨きをする習慣をつける
- 歯間ブラシやデンタルフロスを活用する
- 食べ物をよく噛んで唾液の分泌量を増やす
- マウスピースのお手入れを丁寧に行う
- マウスピースの正しい保管方法を守る
- 歯医者で汚れを落としてもらう
それぞれ詳しく説明しますので、矯正中の口臭が気になる人はぜひチェックしておきましょう。
食後に歯磨きをする習慣をつける
矯正治療中は器具との間などに汚れが付着しやすいので、通常よりも丁寧なブラッシングをして口の中をきれいに保つ必要があるのですが、疎かにしてしまうと口臭に繋がります。
歯ブラシで取り除ける歯垢は、そのままにしておくと歯石となり固まって落としづらくなってしまうので、食べたら歯磨きをするということを習慣付けましょう。
どうしても歯磨きができないときは、うがいをするか水を飲むなどの対処をすることで口臭悪化が軽減されます。
歯間ブラシやデンタルフロスを活用する
一般的には歯ブラシを使ってケアをしますが、歯ブラシだけでは落としきれない汚れがあります。
デンタルフロスや歯間ブラシは歯と歯の間に残っている食べかすや歯垢を綺麗に取り除けます。
矯正をしていないときでもこれらは大変有効ですが、特に矯正中は口の中は清潔な状態を保つことが必要不可欠なので、ぜひ取り入れるようにしましょう。
食べ物をよく噛んで唾液の分泌量を増やす
口の中が乾燥すると口臭が悪化するとお話ししましたが、それを防ぐために唾液の分泌量を増やすことが大切です。
食べ物をよく噛んで食べ、唾液を多く分泌させるように意識しましょう。
また、水分をこまめに補給すると唾液が出やすくなります。
マウスピースのお手入れを丁寧に行う
マウスピースについた汚れが口臭の原因となるので、丁寧にお手入れをして清潔に保つ必要があります。
マウスピースのお手入れ方法は、基本的には水道水で指で優しく擦ります。
毛が柔らかめの歯ブラシで磨く、専用の洗浄剤を使用するなどがありますが、以下の点には気を付けてください。
- 強く擦る
- 毛の硬い歯ブラシを使う
- 熱湯消毒する
間違った洗浄方法を行うとマウスピースに傷がつき、そこから菌が繁殖して口臭に繋がるため、気をつけましょう。
マウスピースの正しい保管方法を守る
マウスピース矯正で使用する矯正装置ですが、使用しないときは通気性の良いところで専用のケースに保管しましょう。
水気がある状態や不衛生な場所で保管していれば、細菌が増殖しやすく、臭いの原因となります。
また、マウスピースを保管するケースも定期的に洗浄して清潔な状態を保ちましょう。
歯医者で汚れを落としてもらう
矯正治療中の口臭予防は自宅でお手入れが大前提ですが、どうしても磨き残しがあるなど、セルフケアでは限界があるのも確かです。
ですから、歯医者で定期的にメンテナンスを受けるのがおすすめです。
歯医者でクリーニングを行うと歯と歯の間だけでなく、歯と歯茎の間や歯と矯正器具の間など、セルフケアできないできないところでもしっかり汚れを落とせます。
矯正をするならしっかりとした口臭対策を
矯正治療中の口臭の原因と予防法を解説しました。
歯列矯正は矯正装置を付けるために、どうしても口臭問題が生じてしまいます。
口臭が全くない人はいないため、気にし過ぎるのは良くありませんが、口腔内を清潔に保てるように気をつけることで口臭予防になるでしょう。
歯列矯正を検討している方は口臭トラブルに見舞われないためにも、
- 食後に歯磨きをする習慣をつける
- 歯間ブラシやデンタルフロスを活用する
- 食べ物をよく噛んで唾液の分泌量を増やす
- マウスピースのお手入れを丁寧に行う
- マウスピースの正しい保管方法を守る
- 歯医者で汚れを落としてもらう
上記の項目を意識して対策をとりましょう。