ご相談は
こちらから
受診予約は
こちらから

過敏性腸症候群(過敏性大腸炎 略称;IBS)と薬

「下痢もしくは便秘が続いている」「下痢と便秘を交互に繰り返す」「不安や緊張といったストレスによって急に激しい腹痛に襲われる」「ガス漏れが続く」「通勤や通学途中、あるいは会議の前に急に腹痛を伴う下痢が起こる」「急にトイレに行きたくなるので外出が不安」「ストレスを感じやすい」「頭痛が続く」「慢性的に吐き気がある」「うつっぽい」……

2ヶ月以上これらの症状が続きながらも原因が見つからない、病院へ行っても病名がわからないとき、過敏性腸症候群(過敏性大腸炎 略称;IBS)の可能性があります。

このページでは過敏性腸症候群と薬について解説します。

過敏性腸症候群(IBS)の原因とは

病院で血液検査や内視鏡検査をしても腸管には腫瘍や潰瘍などの器質的異常が見つからないため病気と診断されづらい過敏性腸症候群(IBS)。大腸の運動および分泌機能の異常で起こる病気で、原因はいまだにはっきりと解明されていませんが、大きく分けて2つが考えらます。

一つは、ストレスや極度のプレッシャーなどで自律神経のバランスが乱れた結果、腸が異常な運動を引き起こしているというもの。

そしてもう一つは神経伝達物質「セロトニン」の影響です。

精神の安定に関わるセロトニンは約90%が腸内で作られますが、腸内フローラの乱れにより分泌過多を起こしやすく自律神経に悪影響を与えます。ストレスによって腸のセロトニンが過分泌されると腸内のセロトニン受容体と結合し蠕動運動に異常が発生。それにより腸の不快感、腹痛、下痢などを引き起こすとされています。 

腸と脳は「腸脳相関」と言われるほど密接な関わりがありますが、そのシグナルが自律神経の乱れによりうまく伝達できないことで腸と意識に乖離が生じている、というのが過敏性腸症候群(IBS)の症状のもとであり、ストレスと関わりの深い病気であることは確実と言えます。 

過敏性腸症候群はストレスの多い先進国、かつ10代~30代と若い世代の患者が多く、繊細で神経質な人ほどかかりやすい傾向にあります。急激なストレスで発症しやすいことから、神経症、うつ病の一つと捉えられることも。

また、胃腸の身体的症状のみならず、めまいや頭痛、同期、肩こりなどを伴う自律神経失調症や睡眠障害、不安、気分の落ち込みによるうつ、イライラといった精神状態になりやすいのも過敏性腸症候群(IBS)の特徴と言えます。

治療方法は食事療法や運動療法、薬物療法、心理療法等が一般的ですが、一時的な改善に留まってしまっているのも現状です。若い世代が罹患しやすいため受験生や学生、社会人としての行動、活動が阻まれることで、引きこもりがちになるなどQOL(生活の質)の低下も問題視されています。

症状が長期化するほどメンタル面でもさらなるストレスを生む悪循環を引き起こしてしまい、そのスパイラルからうつ症状を招くなど、精神面でも深刻な状態に陥りがちです。

過敏性腸症候群(IBS)の4つのタイプ 

過敏性腸症候群(IBS)は便の形状から、便秘型、下痢型、混合型(便秘と下痢を交互に繰り返す)、分類不能型の4つのタイプに分けられます。

下痢型

男性に多く、少しでもストレスを感じると下痢を引き起こします。腹痛を伴うことが多く、便に粘液が混ざることもあります。

便秘型

女性に多く、ストレスにより便秘が続きます。硬い便やコロコロ便が多いです。

混合型

腹痛及び腹部の違和感、下痢と便秘が複数日間隔で交互に現れます(交代性便通異常)。

分類不能型

上記いずれにも当てはまりませんが、便の形などで判断します。

また、ガス漏れの症状もあり、自分でコントロールがきかずガス(おなら)が漏れ続けたり、背後に人が立つとかならずガスが漏れてしまうという患者さんもまれに見られます。

過敏性腸症候群( IBS)の治療方法

過敏性腸症候群(IBS)の治療方法としては食事療法、運動療法、薬物療法、心理療法が一般的です。

まずは生活習慣を見直す

過敏性腸症候群(IBS)を改善するためは、まずは生活習慣の見直しです。食事療法では食べ過ぎや脂質過多、刺激の強い食生活を見直し、飲酒や喫煙は控え、また質の良い睡眠や適度な運動を心がけることも大切です。

ガス漏れの方は腸に空気を送り込んでしまいやすい早食いや、すすりながら飲む熱い飲料、炭酸飲料はなるべく避けることも改善に繋がります。

過敏性腸症候群(IBS)の運動療法

運動療法においてはウォーキングやストレッチなど適度な運動はストレスケアにも有効ですし排便を促すためには効果的ですので、まず気軽な運動を日常生活に取り入れてみてはいかがでしょか?

便秘型の方は、便意のタイミングを逸しないように調整することがスムーズな便通を促すため、便秘解消への第一歩となります。まずはライフスタイルを整えることから始めましょう。

過敏性腸症候群(IBS)の薬物療法

生活習慣の見直しだけでは改善へと至らない場合、薬物療法が使われます。

過敏性腸症候群への第一段階の薬

・整腸剤

薬物療法の第一段階で用いられるのがビフィズス菌などの整腸剤です。腸内環境をよりよい状態へと導くサポートをします。市販の薬としても入手可能なものが多いです。どのタイプにも使用できるものとしてコロネルなどが代表的な薬となります。

下痢型のための薬

・高分子重合体

水分を吸収する作用で便の水分バランスを整えます。

・セロトニン3受容体拮抗薬

腸の蠕動運動の異常を改善へと促し、下痢の症状を緩和します。

・抗コリン薬

お腹の痛みに有効です。

・漢方

ストレスで下痢がはじまるタイプには甘草瀉心湯、痩せ型で手足やお腹に冷えがあり下痢が続くタイプには人参湯など。

・他、止瀉薬など

病院で処方されるものもありますが、市販の薬と同様のものが処方される場合もあります。

便秘型のための薬

・粘膜上皮機能変容薬

便をやわらかくする効果があります。

・セロトニン4受容体刺激薬

腸の動きを活発にして便意を促し、便秘解消へと導きます。

・漢方

体力が中程度で緊張が取れないタイプには小柴胡湯号桂枝加芍薬湯、体力が低下したタイプには桂枝加芍薬大黄湯などが処方されます。

・他、便秘薬など

病院で処方されるものもありますが、市販の薬と同様のものが処方される場合もあります。

過敏性腸症候群(IBS)の心理療法

ストレスなど心因により症状が現れる病気のため、精神面でのケアは大変重要です。

不安やストレスの原因となっているものを突き止め、解消していくことは治療のために欠かせませんし、医師との相談の上、必要に応じてカウンセリングやメンタルクリニック、心療内科、あるいは精神科での受診も有効と言えます。

不安解消の薬物療法として抗うつ剤や抗不安剤などが処方されることもあります。

過敏性腸症候群(IBS)の最新の治療法とは

生活習慣の見直しや心理療法、薬物療法によって一定の改善はあるものの、症状が長期に及ぶ場合は根本的な治療効果が出ていないことも事実です。そこで過敏性腸症候群(IBS)の最新の治療方法として注目を集めているのが、腸内フローラマッチングです。

患者さんがどのような腸内細菌叢(腸内フローラ)であるかを腸内フローラ検査で確認し、検査結果から適切な乳酸菌をマッチングさせることで腸内フローラのバランスを整えます。

腸内環境が整えば自律神経の乱れも改善するため、長年悩まされていた過敏性腸症候群の症状から回復に至るケースが既にかなりの数に上っています。

また、口腔内の金属が原因のアレルギーやガルバニー電流なども自律神経に悪影響を与えるため、それらの有無を確認して原因と考えられる場合は取り除いていくことも効果的な治癒に繋がります。

一般の診療で行われる血液検査や内視鏡検査では一人の体に1200種 100兆個存在すると言われる腸内フローラを検査することはできません。当クリニックでは腸内フローラ検査と口腔内金属アレルギー検査をいち早く取り入れ、数多くの治療実績を上げております。

お腹の悩みのない、心地よい毎日を過ごしませんか? ぜひ一度当クリニックにご相談ください。

監修:長岡 美妃

現代医療に携わりながら病の根本原因、医療本来の在り方、さらに真の社会の在り方、女性の生き方を追求している医師。 東京女子医大消化器外科センターにて癌の外科治療に従事。

その後、福岡の秋本病院にて緩和ケアセンター長として多数の方の精神的苦痛を和らげてきた経験をもつ。 内視鏡の技術にも定評がある上、コミュニケーション能力が非常に高く、患者様からの信頼がとても厚い。 著書:『「真の」医療者をめざして』 他

高輪クリニックの医科診療の特徴