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過敏性腸症候群(過敏性大腸炎 略称;IBS)とストレスの関係とリラックス方法とは?

過敏性腸症候群(IBS)は、10代〜30代の若い世代が罹患しやすいのが特徴で、ストレスの多い先進国に多く見られる病気です。繊細で神経質な人ほどかかりやすい傾向があり、一時的なストレスから発症することから神経症、うつ病の一つと考えられることもあります。大腸には腫瘍や炎症などの器質的異常は認められないのに、慢性的に腹痛を伴う下痢や、便秘、下痢と便秘を繰り返すといった症状が続きます。

このページでは、過敏性腸症候群とストレスとの関係を解説し、その対処方法を見ていきます。

過敏性腸症候群(IBS)の原因について

過敏性腸症候群(IBS)を引き起こす原因は、大きく分けて次の2つと考えられています。一つは、自律神経が乱れ、緊張や不安などストレスが自律神経を介して腸の異常な蠕動運動を引き起こしているというもの。

もう一つの原因として考えられているのが神経伝達物質「セロトニン」による影響です。精神の安定に関わるため“幸せホルモン”とも呼ばれるセロトニンは約90%が腸内で作られますが、腸内細菌叢(腸内フローラ)のバランスの乱れにより自律神経に影響を与えます。腸と脳は「腸脳相関」と言われるほど密接な関わりがあるためストレスによって腸のセロトニンが過剰に分泌されると、腸脳の双方の伝達に異常が発生。それにより腸の蠕動運動がバランスを崩してお腹の不快感、腹痛、下痢などを引き起こします。ストレスが原因の自律神経の乱れは、腸はもちろん、胃などの不調に繋がる場合もあり、複合的な病状を訴える人も少なくありません。

過敏性腸症候群( IBS)の4つのタイプと症状

過敏性腸症候群( IBS)は便の形状によって、4つのタイプに分類されます。

下痢型

男性に多く、少しでもストレスを感じると下痢を引き起こします。腹痛や腹部の不快感を伴うことが多く、便に粘液が混ざることもあります。1日に何度もトイレに行きます。

「食生活は問題ないはずなのに下痢続いている」「不安や緊張といったストレスによって急に激しい腹痛と下痢に襲われる」「急にトイレに行きたくなるので外出が不安」というタイプは基本的に下痢型に当てはまります。

便秘型

女性に多く、ストレスにより便秘が続きます。腹部の不快感があり、硬い便やコロコロ便が多いため、排便時に腹痛や腹部が苦しくなることも。「薬を飲んでも改善せず、便秘が続いている」「排便時に出渋り」「腹痛を伴う、硬い排便」「やっと出しても残便感がある」「便秘が続いて食欲不振」などの症状が基本的に便秘型に当てはまります。

混合型

腹痛及び腹部の違和感、下痢と便秘が複数日間隔で交互に現れます(交代性便通異常)。

分類不能型

上記いずれにも当てはまりませんが、便の形などで判断します。

また、ガス漏れが続く、あるいは人が近くに来るとガスが止まらなくなるといったガス型の症状を持つ人もまれにいます。

過敏性症候群(IBS)におけるストレス

過敏性腸症候群(IBS)とストレスはまさに密接な関係にあります。ストレスが引き金となって罹患してしまう人が多いのはもちろん、不安や緊張、悲しみといったストレスを強く感じている人ほど過敏性腸症候群の症状が強くあらわれる傾向にあります。

世の中が便利になってインターネットやSNSなどで四六時中情報にアクセスできたり、24時間営業のお店もたくさんあるような時代には、かつてなかったようなストレスが人々にかかっていると考えられます。罹患者の割合が特に先進国で高くなっていることを鑑みても、便利な世の中ゆえの不規則なリズムや対人関係の形の変化といった要素がストレスを助長しているのではないでしょうか。

更に、夜更かしや添加物の多い食生活を繰り返すことで体内時計も腸内環境のバランスも狂ってしまいがちです。呼吸や消化器の働きなどに関与している自律神経は、生活のリズムが乱れることでその機能に影響があります。少しでもストレスを軽減させることは、過敏性腸症候群の改善にもつながります。まずはライフスタイルの見直しをしてみましょう。

ストレスとうまく付き合うための心の持ち方

ストレスに強くなる方法の一つに、ストレスをストレスとしてあるがままに受け止めるということがあります。弾き返そうとすれば、かえって重くのしかかることもあれば、逃げようとしてもスッキリしないのがストレス。だからこそ、柔軟に対応する気持ちが何より大切です。また、ストレスを受けたときの対処法として、没頭できる趣味やスポーツ、自分なりに気分転換できる方法を見つけておくのもよいでしょう。

軽い自己暗示により深いリラックス効果が得られる自律訓練法

過敏性腸症候群(IBS)の症状を緩和する方法として有効なのが「自律訓練法」です。椅子に座った状態でも、仰向けに寝た状態でもできる、簡単な自己催眠です。寝る前やゆっくりできる時間に5分〜10分目安で行います。

椅子に座った状態

椅子に深く腰掛けて両手を太腿の上に軽くのせ、背中を自然に伸ばします。伸びてふっと力を抜くなどしながら緊張をほぐし、足は肩幅くらいに楽に開きます。

仰向けに寝た状態

手足を自然に開いた状態で楽に仰向けに寝ます。指先まで力を抜いてリラックスします。

  1. 心の中で「私はとても落ち着いている」と何度か繰り返し、心地よい景色やイメージを思い浮かべます。
  2. リラックスモードに入ったところで「右手が重くなっていく」と心で繰り返し唱え、重さを感じたら、今度は同様に左足、右足、左足、とそれぞれの部位の重さを唱えながら感じていきます。
  3. 次に「右手が温かくなる」と心で唱えながら同様に左手、右足、左足が温かくなることをイメージしていきます。
  4. 次に「私は楽に呼吸をしている」と心で繰り返します。
  5. さらに「お腹が温かくなっていく」と心で唱えながらお腹が温かくなることをイメージし、深いリラックス状態に入ります。
  6. 自己催眠を解くため、まず体が軽くなっていくところをイメージし、私の両手を組んで背筋を伸ばしたり、手を開いたり結んだりグーパーを繰り返すようにして、最後にゆっくりと目を開きます。

その他のリラックス方法

運動療法

適度な運動で体を動かすことで気分転換しやすくなります。好きなスポーツはもちろん、太極拳や気功など呼吸を意識する運動も自律神経の改善にプラスです。

音楽療法

心地よい音楽を聴くことでリラックス状態へと導かれます。波の音など環境音楽なども気分を落ち着かせる効果があります。

アロマテラピー

アロマオイル(精油)はストレスケアにとても有効です。ディフューザーがなくてもボウルに80度くらいのお湯をはって、アロマオイルを数滴たらせば香りが拡散できます。アロマオイルはなるべく天然のものを選ぶようにしましょう。(ストレスにいい精油)ラベンダー、サンダルウッド、カモミール、フランキンセンス、ゼラニウム、ローズウッドなど。

入浴法

熱すぎない約40度くらいのお湯にゆっくり10〜15分浸かりましょう。干したよもぎや、干したみかんやゆずの皮などを入れると香りに癒され、体もより温まります。

腹式呼吸

一番シンプルですが、心を落ち着かせる効果が高い方法です。鼻から息を吸って、下腹部を膨らませ、下腹部をへこませながら口からふーっと息を吐き出します。

腸内フローラがストレス耐性を変える

近年の研究により、過敏性腸症候群(IBS)の原因として、腸内フローラのバランス崩壊との関わりがわかってきました。過敏性腸症候群の方の腸内フローラは腸の健康を保つために必要な乳酸菌が殆ど存在しないケースも多く見られます。人によって、症状へ向かう引き金は様々ですが、まず言えることは腸脳相関が悪循環に陥ってしまっていること。それはまたストレス耐性を著しく低下させることに繋がり、うつや不安症の発症のもととなります。

ここ数年、高い治癒率で注目を集めている治療法が、腸内フローラ治療です。腸内フローラ検査により、腸内細菌叢(腸内フローラ)のバランスをチェックしたうえで適切な乳酸菌マッチングを行い、腸内環境を整えます。 当クリニックは、遺伝子・腸内フローラ研究の第一人者である陰山康成医師が、過敏性腸症候群の治療にいち早く腸内フローラマッチングを取り入れ、高い改善率をあげております。まずは当院で腸内バランスの検査を受けてみませんか?

監修:長岡 美妃

現代医療に携わりながら病の根本原因、医療本来の在り方、さらに真の社会の在り方、女性の生き方を追求している医師。 東京女子医大消化器外科センターにて癌の外科治療に従事。

その後、福岡の秋本病院にて緩和ケアセンター長として多数の方の精神的苦痛を和らげてきた経験をもつ。 内視鏡の技術にも定評がある上、コミュニケーション能力が非常に高く、患者様からの信頼がとても厚い。 著書:『「真の」医療者をめざして』 他

高輪クリニックの医科診療の特徴