ジルコニアブリッジとは、ブリッジ治療で用いる素材の一部、もしくは全部をジルコニアでまかなった治療法です。ジルコニアは天然歯よりも硬い素材なので割れにくく、審美性も高いなどの特徴があります。本記事では、ジルコニアブリッジのメリット・デメリット、そしてジルコニアの種類などをくわしく解説します。
ジルコニアとは?
ジルコニアの正式名称は「二酸化ジルコニウム」で、これは人工ダイヤモンドの一種です。宝飾品として使われることが多い素材ですが、近年では歯科治療の素材としても使われるようになりました。ジルコニアの特徴は強度が高いことで、とくに奥歯のブリッジ治療に用いると有効的です。
ブリッジ治療とは?
ブリッジ治療とは、失った歯を補うために行う治療法です。失った歯と隣り合う2本の歯を削って土台にし、3つの義歯を埋め込んで治療します。健康な歯を削らなければならないことが欠点ですが、義歯が安定しやすく、使っていて外れにくいことがメリットです。
ブリッジ治療の種類
ブリッジ治療の種類は、まず「保険適用」と「保険適用外」の2種類にわかれます。保険適用の場合は費用を抑えられますが、使用できる素材が限られることが特徴です。反対に保険適用外の場合、費用が高額になることと引き換えに、ジルコニアを含む審美性や機能性の高い素材を使った治療ができます。双方の違いについて見ていきましょう。
保険適用のブリッジ
保険適用のブリッジには、主に「硬質レジン(歯科用プラスチック)」が使われます。ただし硬質レジンを使えるのは前歯から犬歯までの範囲内で、それよりも奥の歯には銀歯を使わなければなりません。そのため審美性や機能性は高くないものの、最大3割負担で治療を受けられることがメリットです。
保険適用外のブリッジ
保険適用のブリッジ治療では、ジルコニアを含む審美性や機能性に長けた素材を利用できます。先述した硬質レジンには変色しやすいなどの欠点がありますが、保険適用外のジルコニアやセラミックには変色のリスクがほとんどありません。天然歯に近い仕上がりを期待したい方には、保険適用外のブリッジがおすすめです。
ジルコニアとセラミックの違い
保険適用外のブリッジ治療には、主にジルコニアとセラミックの2種類が使われます。しかし、正確にはジルコニアもセラミックのなかのひとつです。セラミックは金属類や有機材料を除く、すべての無機材料を総称する言葉なので、人工ダイヤモンドの一種であるジルコニアもセラミックに含まれます。
ただし歯科治療においては、ジルコニアとセラミックは明確に区別され、主に「強度」と「見た目」が異なります。比較表をご用意したので、それぞれの特徴を比べてみましょう。
【ジルコニアとセラミックの違い】
内容 | ジルコニア | セラミック |
---|---|---|
強度 | とても高く割れにくい | やや高く割れることがある |
見た目 | 天然歯に近い | 天然歯とほぼ変わらない |
ジルコニアの強度はとても高く、割れたり欠けたりするリスクがほとんどありません。ただし見た目の美しさではセラミックがやや上回ります。それぞれの特徴を把握したうえで、治療する箇所も加味しながら、より適した治療法を選ぶとよいでしょう。
ジルコニアを用いたブリッジ
ジルコニアを用いたブリッジは主に以下の2種類です。
<ジルコニアを用いたブリッジ>
- フルジルコニア
- ジルコニアセラミック
それぞれの特徴をわかりやすく解説します。
フルジルコニア
全体をジルコニアで作った義歯をフルジルコニアといいます。メリットは強度の高さや変色のしにくさで、義歯を装着した直後の状態を寿命まで保ちやすいことが特徴です。ただしセラミックと比べると審美性ではやや劣り、周囲の歯と色合いの違いが出る場合があります。
ジルコニアセラミック
ジルコニアをベースにしながら、義歯の表面にセラミックを焼き付けた素材がジルコニアセラミックです。耐久性はジルコニアのままですが、表面がセラミックになるため、より天然歯に近く仕上げられます。ただし、セラミックの欠点である割れやすさはそのまま引き継がれるため、強度ではフルジルコニアに劣ることが欠点です。
ジルコニアブリッジのメリット・デメリット
ジルコニアブリッジには、これまでにも解説してきたようないくつかのメリットとデメリットがあります。改めてその両方をまとめて解説するので、ジルコニアブリッジがご自身に合った治療法なのかどうかを確認しておきましょう。
ジルコニアブリッジのメリット
ジルコニアブリッジのメリットは次のとおりです。
<ジルコニアブリッジのメリット>
- 天然歯よりも強度が高く、歯ぎしり・食いしばりで劣化する可能性が低い
- 衝撃を受けたとしても割れにくい
- 保険適用の硬質レジンと比べて審美性が高い
ジルコニアブリッジのメリットは何といっても強度の高さです。天然歯を上回る強度なので、歯ぎしりや食いしばりなどのダメージに強く、咀嚼の機会が多い奥歯の治療にも適しています。また、保険適用で使われる硬質レジンと比べて審美性が高く、天然歯に近い見た目に仕上げられます。
ジルコニアブリッジのデメリット
ジルコニアのデメリットは以下の3つです。
<ジルコニアブリッジのデメリット>
- 周辺の歯を傷付けるリスクがある
- その他の治療法と比べてやや費用が高い
- 審美性ではセラミックにやや劣る
ジルコニアのメリットは強度が高いことですが、天然歯よりも硬いため、周囲の歯を削るなどして傷付けるリスクがあります。審美性に関してもセラミックにはややおよびません。また、強度の高さと審美性のよさを両取りできる「ジルコニアセラミック」の場合は、その他の治療法よりも費用が高いことがデメリットです。
ジルコニアブリッジにかかる費用相場
ジルコニアブリッジにかかる費用相場を、保険適用のものも交えながらご紹介します。
【ジルコニアブリッジにかかる費用相場】
種類 | 費用相場/1本あたり |
---|---|
硬質レジン | 約1万円 |
金属 | 約5,000円 |
フルジルコニア | 約8~9万円 |
ジルコニアセラミック | 約10~11万円 |
上記費用のほかに、検査費や治療費、メンテナンス費などがかかります。治療費・メンテナンス費の目安は1回あたり3,000円前後です。検査費はその他の治療費に含まれる場合もありますが、歯科医院によって異なるため、事前にくわしく確認しておきましょう。
まとめ
ジルコニアとは人工ダイヤモンドの一種で、強度が高いことが最大の特徴です。ただし、天然歯よりも硬い素材でできているため、周囲の歯を傷付ける場合があるなどの欠点もあります。保険適用ができずに治療費も高くなりがちなため、その他の素材とメリット・デメリットを比較しながら治療法を検討するとよいでしょう。
高輪クリニックでは、ジルコニアを用いたブリッジ治療はもちろん、保険適用のブリッジ治療やインプラント・入れ歯の治療も行っています。患者様の歯の状態を確認し、ご希望を伺ったうえで治療法の提案が可能です。ジルコニアの特徴についてもっとくわしく知りたいという方も、まずは当院にご相談ください。